皆さま、こんにちは。
ライター塾6期生の川阪果奈です。
この連載『カナのお暇』では、私の退職話を漫画『凪のお暇』に重ねながら、人生リセットストーリーとして綴っています。
さて、朝ドラ『あんぱん』がもうすぐ終わりを迎えますね。
私が幼稚園の時に『それいけ!アンパンマン』の放送が始まり、アンパンマンには親子2代でお世話になりました。アンパンマン誕生の経緯に感動の毎日です。アンパンマンの丸い顔に千尋の姿が重なってしまいます…。
そんなドラマ大好きっ子である私が、今から数年前、ドラマの撮影現場に遭遇したことがきっかけで、会社を退職し、なぜか禅の思想にハマったという前回「episode_4 カナ、心のメタボ?」からの続きです。 よろしければお付き合いください♪

コロナ禍では、氏神様の花手水が楽しみでした。
不都合な真実?
退職後、自分の中に巣食う劣等感に気づいた私は、禅の本を読み、自分が「心のメタボ」だと自覚し、心のメタボを解消すべく、モノを捨てたり掃除をして、「足るを知る」を意識するようになりました。
捨てても捨てても、今必要なものは揃っているし、「ない」と思っていたけど「ある」ことに気づき、心の底から満足感が湧き上がってくる感じがしました。
いつも不安で、いつも不満だった心が、掃除で満たされていくなんて…!と目からウロコの禅ブームの最中、私はとんでもないことに気づいてしまいました。
なんと私、雅姫さんじゃなかったんです。
…は?
私、会社を辞めて時間ができたら、雅姫さんになれると思っていたんです。
…は?
モデルでデザイナーの雅姫さん。
私よりちょうど10歳年上の雅姫さんは「いつかああなりたい」が詰まった存在で、雑誌やご著書はもちろん、ブログ、インスタグラムもチェック!
独身時代は、雅姫さん御用達アイテムの中で手が届くものには手を伸ばし、レペットの靴やハンターの長靴、エルエルビーンのトートバッグにアルファベットの刺繍を入れ、自由が丘の雅姫さんのお店にも行っていました。
結婚した時は、雅姫さんがよくブログに載せていたワンプレートご飯に憧れて、大きな平たいお皿も買ったし、ヒヤシンスの水耕栽培もやりました。
しかし、アイテムを手に入れても中身が伴わないという現実が。
素敵で美味しそうなご飯の数々…、料理や暮らしといった自らクリエイトする部分がどうにもショボい。ワンプレートご飯を乗せるつもりだった大きな平たいお皿は、宅配ピザ専用に。おかしいな?
私だって、時間があれば素敵で美味しそうなご飯を作れるのに。
時間があれば、もっと雅姫さんっぽくなれるのよ。
器にきれいに盛ったり、美しくお花を飾ったり、おもてなししたり…。
ファッションも暮らしも楽しんでいるステキなお母さん。
そんな風に、私も、雅姫さん的な人間になれると思っていたのです。時間さえあれば。
今の私が雅姫さんじゃないのは、「時間がないから」だと本気で思っていたのです。
が!違いました。
時間ができても料理はめんどくさい。
「時間があればおしゃれなお料理作るのに!」と思っていたけど、時間があってもやりませんでした。
これにはびっくりでした。今までの不満ってなんだったの?と。
時間がなくて料理ができない!(本当はしたいのに)。
「時間がなくて余裕がなくて◯◯できない!(本当はしたいのに)」と思っていたことは全部、やりたくないからやっていなかっただけでした。
時間がないとか余裕がないとか全然関係なかった!これは、私にとってものすごい衝撃でした。
もしも、会社をやめずに我慢に我慢を重ねて、ようやく定年を迎えた後に気づいていたら危なかったです。
それまでに私は何十年も、周囲に不満を撒き散らしていたことでしょう。何々のせいで何々できない!と。
おそらく、数十年にわたって「いつか」と思って、無理して買い溜めた服とか食器がたくさんあって…
やっと定年を迎えた後に、え、私、全然興味ないじゃんって。こっちじゃないじゃんって。
大して欲しくないものを集めまくって大量に抱えて、え、私、誰?ってなるところでした。
そして、禅の本に出会って全部手放す展開?めっちゃ無駄ー!
お金やモノが無駄になるのは許容できても、不満を巻き散らしてきた時間、人間関係は取り戻せません。
「不満」という顔を何十年も続けていたら、どんなに美容に投資したところで…と考えると恐ろしいです。

今月末でお休み期間に入られるコロモチャヤさん。ハト時計があるので、娘は「ポッポのお店」と呼んでおりました。
望みを間違える
こじらせOL時代はいつも「何々が無い」「何々が足りない」って思っていました。
お金で買えるものから買えないもの、形あるものから形のないものまで。
いつも欲しいものがたくさんあって、2つしかない手を最大限に伸ばしていました。
そして、手に入らないからいつも不満。
しかし、心のメタボ解消大作戦によって「満足感」を感じられるようになったら、手に入れたいもの、「望み」を間違えていたことに気づきました。
漫画『凪のお暇』の凪ちゃんも、退職前はモラハラ彼氏・慎二との結婚を切望していたことを思い出しました。
自分を見くびる同僚たちをギャフンと言わせ、母親の期待に応える手段として最高のカードだった慎二との結婚。
凪ちゃんが退職し、慎二とも別れ、天然パーマ全開の素の自分で生きられるようになったら、慎二との結婚が最高でもなんでもなかったとわかります。
「なんだかなあ」という毎日は、慎二との結婚でひっくり返すのではなく、自分が変わるしかなかったのに、それには気づいていなかったのですよね…。

お気に入りはリンゴのタルト。丸々一個ぺろりです。
不都合な真実 パート2
そうかあ、私は雅姫さんじゃなかったのかあ…。
その裏には、もう一つの真実がありました。それは、私の専業主婦願望が偽りであったということ…!
私はずっと「働きたくない」と思っていました。夫の収入だけで暮らせる人が羨ましい。
毎朝、通勤途中で幼稚園の前を通るのが苦痛でした。私はどうして子どもを保育園に入れて、会社へ向かわなければならないのだろう?どうしてこんな人生なんだろう?
幼稚園の前で楽しそうにおしゃべりしている親子を尻目に自転車をすっ飛ばしながら、「私って、可哀想」と”自己憐憫のびんびん物語”を毎日やっていました。
自己憐憫のびんびん物語は、漫画『凪のお暇』で、凪ちゃんのお母さんが自分の若い頃を振り返る時に出てきます。
自分の人生を諦め、娘の凪ちゃんに期待をかけるお母さん。びんびん物語は、お母さんの過去として語られますが、実は、自分の現状を肯定するために都合よく作り変えていた過去、物語でした。
お母さん自身は、自らが作り出した「嘘」に気づいておらず、過去を共に過ごした人と再会したことで当時の詳細を思い出し、「あれ?」と事実に気づいていくところは、まるでホラー。読んでいる方も背筋が凍りました。
私のびんびん物語もまた大嘘でした。
私の場合、過去ではなく、現在進行形で可哀想な自分を捏造していました。私は専業主婦タイプなのに、会社勤めをせざるを得なくて可哀想。
しかし、本当は、会社で働いている方がマシ!保育園しか無理!というタイプでした。家事も育児も向いていない!
だからといって、別にバリキャリ願望はなく、向上心はあるけどキャリア志向は低い…。
ただ、自分が働かなきゃいけない状況は、私にとってめちゃくちゃ都合が良かったのです。それは、家事育児をおろそかにできる大義名分になっていました。
そう考えると、あの不満だらけの毎日は、私の望みが叶っていただけでした。わ〜認めたくない!

クリスマスのフォレ・ノワール。コロモチャヤさんのスイーツは、オシャレで美味しくて最高です!
「時間ができたら」の箱
不満だらけの日々は、実は自分にとって好都合だった!と気づいてしまった理由は、会社をやめて時間ができても、子どもとの関わり方が変わらなかったからです。
子どもがYouTubeを見てくれている時間が一番ホッとする~。
「時間があれば、私はもっと良いお母さんになれる」と思っていたけど、働いている時と全然変わりませんでした。子どもにあれをやらせて、これを一緒にやって…、なんて色々考えていたけどどれもやらなかった。
世の中にはスゴイお母さんによるスゴイ教育方法がたくさん紹介されていて、そういうのを見たり聞いたりすると、私もやらなきゃ!でも時間が無い!って思っていましたが、これまた時間があっても全然やらない。
子どもの通信教育の教材は、2年分まるまる封も開けずに溜めて、ようやく解約しました。
親子ともども、そういうのには興味ないのだと自覚しました。
封を開けてないんだから半年で気づけよ!あきらめろ!と思いますが、それができなかったんですよねえ。
だって、ただ「時間がないだけ」だと思っていたから。
「やりたくない」じゃなくて、「時間がない」。「興味が無い」じゃなくて、「時間がない」。
時間があれば、別人のような暮らしが送れる…なーんてことはありませんでした。やっていないことはやりたくないだけ。やりたくないんだからしょうがない。
時間ができてしまうと、その現実を突きつけられ、ようやく白旗を上げられました。
「時間がない」という状況は夢に満ちていました。
「時間ができたらやりたい」という箱を作れて、そこに夢をポンポン入れておける。
時間ができて箱をのぞいてみると、あれ?ってなりました。
「わーい!ようやくできるぞ!」とはならず、「今日はいいかな…」と、ちょっと気が重くなるのです。
衝撃の事実~!
ドラえもん(大山のぶ代さん)の声で、頭の中に響きます。
いやあ、びっくりびっくり。
ここまで、ステイホームしながら本を読んだり映画を観たり、掃除をしまくって、自分のこれまではすべて望み通りだったと気づきました。色々やれたし、反省できたし、もういいかな。これにてお暇終了…!という気持ちになりましたが、もう戻るところはありません。
求職活動への焦りを抱えつつ、私には別の大仕事が待っています。
いよいよ出産の日が迫ってきました。
続く

キッシュも大好きです。ライター塾の仲間や一田さんと何度もご一緒しました。またの日を楽しみにしています…♪