わたしのサードプレイスの見つけ方

 

この「外の音、内の香」が、私だけのものではなく、 色々な人があちこちで、
見つけてきたことを持ち寄る「場」になればいいなあと思って
たちあげたコンテンツ「ライターズマルシェ」。

今回から、新しい連載が始まります。
書いてくれるのは、ライフコーチの木山理絵さん。

ただただ、「私の話」を黙って聞いてくれる。
そして、「そうだね……」と言ってくれる。
そんな「誰か」がいるだけで、人は自分で自分を幸せにすることができる……。
そんな力を教えてくれたのが木山さんでした。

それは、ご自身がつらい体験をして、
「聞いてもらった」経験があるからこそ。

つらいとき、悲しいとき、
もうひとつの居場所=「サードプレイス」があったなら……。
そんなテーマで綴っていただく予定です。
私も楽しみにしています。

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みなさん、はじめまして!ライフコーチとして活動をしています、木山理絵と申します。
もともと小学校の教員として働いていましたが、退職してフリーランスになり3年経ちました。

「ライフコーチって何する人?」と思われた方、きっといらっしゃると思います。
まだあまり世の中に知られていないし、言葉で説明するのがとても難しい仕事です。

活動についてもっと知ってほしいと思い、去年、特集・連載「私を見つけてプロジェクト」に
勇気を出して申し込みました。

一田さんのお力を借りることで、自分のSNSで発信するだけでは見つけて欲しくても
なかなか見つけてもらえなかった方たちに、私を見つけてもらえるようになりました。
ぜひ、記事を読んでみてくださいね。

 

この度、一田さんに機会をいただき「わたしのサードプレイスの見つけ方」というテーマで連載をさせていただくことになりました。
今回は初回なので、まずはじめに少しだけわたしの話にお付き合いください。

私が育ったのは長崎県の小さな町。
祖父母、​​歯科医院を営む両親、教員をしていた叔父と2人の叔母、従兄妹たち11人の大家族で育ちました。

忙しく働く親たちにかわり、日中、幼いわたしたち孫の面倒を一手に引き受けていたのは祖父母。
家族の中で祖父母は絶対的存在。
心配をかけないように、迷惑をかけないようにと、親に口すっぱく言い聞かされて育ちました。

実家の前には「おこぼさん」と呼ばれる古いお地蔵さんが並んでいて、町の人が代わる代わる掃除をしたり、町会費でおこぼさんの衣装やお供えする花を購入したりしています。
町内会の回覧板が、現役ばりばりで残っているような7〜8世帯の小さなコミュニティです。

何不自由なく暮らしていた私ですが、ふりかえると誰にも言えないフクザツな気持ちがあることに気がつきました。

それは、「何をしていたか」「どこでどんな友だちといたか」「どんな服装だったか」といった普段の行動や、受験の結果、就職、結婚、出産など、とても個人的な情報もご近所につつぬけなこと。
もちろん町内の他の家庭の情報も祖父母はよく知っていて、食事の時に話題にのぼります。

大人たちの会話から、世間体が大事であることを肌で感じました。
「世間に噂されるようなことをすると家族に迷惑がかかる」「目立つことは悪いこと」というものさしが、自分の中に自然とできあがったのだと思います。
でも同時に、子ども心になんとも言えない居心地の悪さを感じていました。

 

「サードプレイス」という言葉を聞いたことがありますか?

サードプレイスとは、第3の場所のことです。
第1の場所は自分が住む家、第2の場所は学校・職場・地域など普段所属するコミュニティ。
そことは別に存在する自分にとって居心地のいい居場所がサードプレイス。
アメリカの社会学者レイ・オルデンバーグと言う人が提唱したそうです。

気軽に何気ない会話ができて、リラックスできる場所ならどこでも。
家庭、学校、職場や地域から一歩外へ出て、安心できるコミュニティを持つことで、役割や責任から解放され、リラックスして自分らしくいられます。

言葉にならない居心地の悪さを感じながら誰にも言えなかった子どもの頃から、「ここではないどこかに行きたい」「わたしの居場所ってどこにあるんだろう」と、ずっと探し求めてきたように思います。

「ここではないどこかがある」と知ったことも大きかったかもしれません。
小学生の時は毎晩テレビにかじりつき、青春時代にはファッション雑誌の世界の虜になりました。

「なるほど!ザ・ワールド」や「世界丸ごとHOWマッチ」「世界ふしぎ発見」など、80年代後半から90年代にかけて放送されていた、世界のいろいろな国々を紹介する番組が大好きでした。
雑誌をひらけば、東京やパリ、NYのおしゃれな街並みや楽しそうに自由に暮らす人たち、眺めているだけで心が踊る素敵なお店もたくさん。

「知っている」ことってとても大事だなって思います。
知らないと選ぶことができません。
いろんな選択肢があることをただ知っているだけでも、不思議と少し気が楽になったり、大丈夫と思える。

インターネットの普及やSNSによって、多くの情報に誰でも気軽にアクセスすることができるようになりました。
溢れる情報は、気をつけていないと心がざわっとしたり、無意識に長時間触れすぎてしまって疲れたりするけれど、自分が今いる場所では見つけることができない、他の選択があると「知る」にはとてもよいツールです。

物心ついたころから、自分のことを知っている人が誰もいない場所で生きてみたいと考えるようになりました。
何をしても誰といても、何を着てもどこにいても自由で大丈夫と思える、新しい世界を見つけたかったんです。
そんな気持ちに気づいた時から、私のサードプレイスを見つける旅が始まりました。

長崎の小さな町を出発し、福岡、横浜、そして世界一周旅行へと広がっていきますー。

「わたしのサードプレイスの見つけ方」を紐解き、言葉にすることで、今、自分の場所に大きな不満はないけれど息苦しさを感じている人や、ひとりでがんばりすぎて苦しくなっている人にとって、自分の居場所を見つけるヒントになることを願って。

 

まとめ

「知っている」ことって大事。
知っているだけで気が楽になることもある。
必要になった時、知っていると自分で選ぶことができるから。


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