花の名前をひとつ知る。知らない言葉をひとつ学ぶ。

 

朝、外に出ると、す〜っと涼やかな風が肌にあたり驚きました。
酷暑の後は、ほんの少し気温が下がるだけで、
ずいぶん涼しいと感じるものなんですね〜。

いつも歩く道で、めちゃくちゃかわいいちっちゃな花を見つけ、
何かなあ〜と画像検索してみたら「ヘクソカズラ」でした。

この時期よく見かけるオレンジの花は「ノウゼンカズラ」。
花の名前を覚えると、来年再会したときに「おお〜、今年も咲いたのね!」と気づくことができます。
名前がないと、日常の後ろを流れる単なる「背景」に過ぎないのに、
名前を知ったとたん、その存在が自分のものになる……。

これって、花の名前だけではなく、いろいろなことに言えるよなあと思います。

このごろよく聞いている「COTEN RADIO」で知ったのは「ネガティブ・ケイパビリテイ」という言葉。
「ケイパビリティ」とは、「才能」や「能力」という意味です。
「ネガティブ・ケイパビリテイ」とは、「未解決なものを受容する能力」。
つまり、「答えの出ない事態に耐える力」という意味。

ネットで検索していたら、大好きな作家帚木蓬生さんが「ネガティブ・ケイパビリテイ」という
本を出されていることを知りました。
精神科医の帚木さんは、せっかくよくなった精神病の患者さんが
退院して、しばらくすると、また具合が悪くなって入院してくる様子を見て
「どうしてだろう?」と無力感に押しつぶされていたのだと言います。
そんな時に論文で知った言葉が「ネガティブ・ケイパビリテイ」という言葉。

そこにはこんな風に書いてあったそう。

「今では有名になった兄弟宛の手紙の中で、キーツはシェイクスピアが『ネガティブ・ケイパビリティ』を
有していたと書いてある。『それは事実は理由をせっかちに求めず、不確実さや不思議さ、
懐疑の中にいられる能力』である」

そして、帚木さんはこんな風に書いていらっしゃいました。

「私たちは『能力』といえば、才能や才覚、物事の処理能力を想像します。
ネガティブ・ケイパビリティは、その裏返しの能力です。
論理を離れた、どのようにも決められない、宙ぶらりんの状態を回避せず、耐え抜く能力です。
(中略)
私たちにとって、わけのわからないことや、手の下しようがない状況は、不快です。
早々に解答を捻り出すか、幕をおろしたくなります。
しかし私たちの人生や社会は、どうにも変えられない、とりつくすべもない事柄に満ち満ちでいます。
だからこそ、ネガティブ・ケイパビリティが重要になってくるのです。
私自身、この能力を知って以来、生きるすべも、精神科医という職業生活も
作家としても創作行為も、随分楽になりました」

つまり、「ネガティブ・ケイパビリティ」という能力がある、
とその存在を知ることで、
無理に答えを出さなくてもいい。
「わからない」という状態のままでもいい、ということを受けいられる、
ということです。

私もすぐ、答えを求めて「すっきりしたがり」なので、
混沌とした迷いの中にいることを、受け入れられるようになりたいなあと思いました。

「言葉を知る」「ものの名前を知る」という力ってすごいですね〜。

昨年もこのブログに書いたけれど、
おへその取材で「新しい日常料理ふじわら」の藤原奈緒さんに教えていただいた、
ろばの家」のホールトマトを、今年も買いました。

生でもない、水煮でもない、というこのトマト。
本当においしいのです。

そのままフライパンで焼いて食べるだけでもおいしいし、
パスタのソースにも使えるし、
私は、毎日食べるスープを作るときに、1個ずつ入れて煮込んでいます。

昨夜は、これでアクアパッツアを作りました。
今の時期、あさりがおいしいですよね〜。
タイの切り身とあさり、冷蔵庫の残り野菜、そしてこのトマトを加えて煮込むだけで
ソースまで舐めたくなるおいしい1皿が出来上がります。

開封したら、私は半分は小分けにして冷凍しています。
これでずっと食べ続けることができるんですよね〜。

あさりは、おへそチームの和田紀子さんに教えていただいた方法で塩抜き。
浅めのバットに塩と水を入れてあさりを。
上から新聞紙をかぶせておくと、
あさりちゃんが、びっくりするほど遠くまでぴゅ〜っと水を吐いてくれます。

私はまだまだ原稿がてんこ盛り!
おいしいものを食べて、乗り切ろうと思います!

みなさんは、最近覚えた「名前」や「言葉」がありますか?

今日もいい1日を!


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