エヌ・ワンハンドレッド 大井幸衣さんNo6

 

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「100年たってもずっと好きなものを」
とカシミヤを中心としたブランド「エヌ・ワンハンドレッド」を
立ち上げた大井幸衣さんに
ビジネスとお金にまつわるお話を伺っています。

 

実はこのお話を伺っていたのは、昨年の夏のことでした。

でも、今、大井さんはもう次の舞台に向かって走り出していました。
新たな会社を始めることにしたそうです。

「何をする会社ですか?」と聞いてみると……。

「う〜ん、投資会社みたいなものかな」と大井さん。

え? と驚きました。
大井さん、お金転がす人になっちゃうの?って(笑)
どうやらそれは違ったよう。

「投資業というと、有価証券を買って、それを運用して、その運用利益で
どうこうする……って思いがちだけれど、そんなことはつゆとも考えていません。
そうじゃなくて、私がやりたいのは、『人に投資する』ってこと。
何千万っていう大きなお金はないけれど、
たとえば、50万とか100万とかのお金がここにあったとして、
誰かと何か面白いことを始めたい、ってことになったとして、
私がそのお金を投資をすれば、
それで何かが実現できるかもしれないでしょう?
何かがやりたいっていう気持ちがある人を
そういう形で応援したいんです。
事実、私たちも、そうやって助けてくれる人がいたから
エヌ・ワンハンドレッドをスタートできたわけですから」

50歳で大井さんたちが「n」をやめてから半年後
その会社にバッカーとなってもらったそうです。
1年後に、250万円ずつ出し合って、独立して会社を作りました。
「以来8年間、無借金経営を貫いているんですよ」と大井さん。


「例えば1000万とか2000万の売り上げを目指すとき、
同額ぐらいの運転資金が必要なわけではなく、
目指す売上金額の10分の1程度でも
それが実現できることを身を以て知ったんです。
その”ちっちゃい版”をやろうかなと思って」

 

ここでも、大井さんは自分の道で次に進むための種を拾っていらっしゃいました。
「あのとき、助けてくれた人がいたから、成功できた。
だから、今度は私が誰かの手助けをしたい。
そして、一緒に夢を見ることを面白がりたい」

そんな大井さんの発想に、私は「う〜ん、こりゃかなわん!」と
感動したのでした。

 

「何か面白いことをやろうとしている人と出会ったとき、
例によって、まだ誰とも出会っていなんだけど(笑)
そんな受け皿があったほうが、
スピードを持って『やりたいこと』が現実になるし
そうしたら、、もしかしたら100万円の投資が5~6年で1000万か2000万に
なることだってあるかもしれないじゃないですか?
宝くじかもよ、このアイデア」
と大井さんは笑いながら、この話をしてくれました。

 

「エヌ」のときも「エヌ・ワンハンドレッド」のときも、
まだ海のものとも山のものともわからないブランドを
知り合いの編集者が雑誌で紹介してくれ、
知人たちが、自分たちで着て、口コミでそのよさを広めてくれました。
「何かを始めるとき、必ず助けてくれる人がいたんです。
『恩人帳』を作らなくちゃ!」。

こんな風に、誰かに何かをしてもらったら
感謝の気持ちを忘れず、必ず恩返しする……。

それも大井さんのすごいところ。
そしてそんな思いを形にして、
60歳からの新たなビジネスとして立ち上げようというのです。

 

 

誰かが持っているほんの少しのお金が、
別の誰かが、何かを始めるエンジンに点火できるかもしれない……。
大井さんがこれから手掛けようとしているのは、
ご自身の経験から生まれた
ビジネスの連鎖のようでした。

 

実は、この回が最終回になる予定でした。
でも、最後にもう一度聞いてみたくなりました。

「これからビジネスをやろうと考えている人への、
大井さんならではのアドバイスってなんですか?」って。

だから、最終回その2を次回お届けしたいと思います。

 


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