どんな人もそのまま、ありのままでいい。所千春さん Vol.2

どこかにひっそりと隠れている「私はここにいます。誰か見つけて!」
という思いを、誰かにお届けするお手伝いができれば……と始めたコンテンツ、
「私を見つけてプロジェクト」。

誰かのモヤモヤを言語化し、
その中に潜んでいる思いを一緒に見つける「おしゃべり」
と言う活動を始めた、所千春さんにお話を伺っています。

vol.1では、この「活動」を生み出す源でもある、
所さんご自身の辛い時代の体験を伺いました。

長野県にあるご自宅は、古い平屋の一軒家。
隅々まで掃除が行き届き、
キッチンの棚には、いつも使う器や道具がきちんと収められていました。

8年前にこの家を買い、リノベーションしたのだそう。

「隅々まで掃除をすることが、自分の掃除につながるのだろうなと思っています」
と所さん。

廊下に飾ってあった家族写真を拝見すると、
今の所さんの雰囲気と随分違って見えました。

「きっと最近金髪にしたからですね。
これもチャレンジのひとつで。
誰かの目を気にせず、自分らしく進んでみようと思って」と笑います。

あの、涙のzoomでの打ち合わせの時には
「これを手元に置いていたんです」
と、私に伝えることを、書き綴った数枚に及ぶ紙を見せてくれました。

何をするにも一生懸命!
全力で走り、考え抜き、書き綴って、準備するそう。
「そんな自分を受け入れられたのもここ数年です。
真面目であることを、ネガティブに捉えていた時期もあって。
できないことを、ずっと求めて続けていました」

昔も今も、心と体の健康にとても興味があるそうです。
「からだの学校」と言うオンラインの講座を受講したのち、
今は、同じ先生の東洋医学の講座で学んでいる最中。

「『これを食べてはいけない』と思い込むと
さらに自分に制限を与えることになってしまうので、
『どうしてこれを食べてしまうのか』という根本を考えるんです。
ちなみに、一田さんは、やめられない食べ物ってありますか?」

と聞かれたので「う〜ん、甘いものがやめられないかも」
と答えてみたら……。

「なぜ、一田さんは甘いものが食べたいのだと思いますか?」
と聞かれて絶句!
そんなこと、考えたこともなかったので……。

「何でだろう? おいしいから……」と小さな声で答えました。

「なぜ、おいしく感じるのだと思いますか?
私、一田さんの本を読んでいて思うのは、
ずっとこれまで生きてこられた中で、緊張が強いんじゃないかなあということです。
お仕事で緊張したとか、
生まれ育った環境も、どちらかと緊張が強い方なのかなと……。
コーヒーがやめられないのも、発散させたい、巡らせないから何です」

なるほど〜!
ちょっとしかお会いしていないのに、
どうしてこんなに私のことがわかるの? とびっくりです!

こんなふうに、今まで得た知識や、持っている感覚から
自然に言葉が出てくる……。
どうやら、それが所さんの活動「おしゃべり」を支えるパーツになっているよう。

「自分のために学び始めたことが根拠となって、
私自身の強みになってきた感じがしますね」と語ってくれました。

さて、そろそろ「おしゃべり」の具体的な内容について
お話を伺ってみましょう。

「何をどうしたらいいかわからなくて、八方塞がりになってしまっている人に
私とのおしゃべりをするなかで、『こうしたら変わるかもよ』と
光を見つけるお手伝いができるかもしれないな、と思っています。
今の状況から抜け出すお手伝い。
自分の人生に迷子になっている人、
どこに向かっていっていいかわからなくなっている人の
道標を見つけるお手伝いができるかもしれない。

人生の中で持ってしまったおそれ、くせ、思い込みを
手放すお手伝いができるかもしれない。
心を整えるお手伝いができるかもしれない。
それが、体調の改善につながるかもしれないって思っています」。

この所さんの説明の中の「お手伝い」と「かもしれない」
という言葉がキーワード。

といのも、人はやっぱり他人では変えられないから。
自分を変えられるのは自分だけ。
変わるには、覚悟が必要で、
所さんは、「私ができることはお手伝いしたい」と語ります。

そんな活動は、カウンセリングでも、セッションでも、コーチングでもなく
しっくりきたのが、ただの「おしゃべり」だったそう。

これまでも、少し苦しそうな友人、知人を自宅に招待し、話を聞いてきました。

夫と喧嘩をして、その苦しさを「怒り」で表していた女性には
「怒っているんじゃないよね。あなたが傷ついたんだよね、
ショックだったね」と声をかけると、静かに涙を流したそう。

原因不明の不調に悩んでいた男性に話を聞いてみると
ずっと人生で蓋をしてきたことが見つかって、
「体も心も軽くなって、薬を飲むことさえ忘れていました」
とびっくりされたことも。

最後に所さんは、こんなふうに教えてくれました。

「いろんなことにトライして、克服してきたのですが、
私のまだ乗り越えられていないことは
『私のそのままを愛してほしい」という気持ちです。
それは、まだ乗り越えられていないんです。
でも、母は母なりに私を愛してくれていたのは、
やっとわかるようになりました。
自分が愛して欲しいと思っていることも、やっと認められるようになったかな」

だからこそ、所さんは
「どんな人も、そのままでいい。ありのままでいい」
と言います。

モデルで、私も時々お話している山葉子さんが主宰する
「魔法学校」にも所属し、山さんのセッションも受けたという所さん。

「母との関係がうまくいかなくて、どうしたらいいかわからない、と
相談した時に
『自分が自分の親になる覚悟を決めなさい』とアドバイスをいただきました。
そっか……。
その覚悟が私にはなかったのか。
やっぱり私は母に求めていたんだと気づいたんです。
だから、今、自分で自分に愛を注ぐ練習中です。
『ご飯が出てきても、私はケーキがいいのって言っていいのよ』
と葉子先生がおっしゃって、
そうそう、そうだよねって思いました」と笑います。

「人前に出て、どう思われるのかが本当に怖くて、
でも、今このプロジェクトで、赤裸々に自分のことを語る覚悟なんですが
よくよく考えると、本当に恐ろしいです。(笑)
でも、これも私が人生を変えようとする第一歩だから」

そう語ってくれた所さんの言葉の力強かったこと!
撮影を終えて、大好きだという近所の公園に連れて行ってもらいました。
遠くに山が連なって、池があり、大きな岩がある。
その気持ちいいこと!

その岩の上で「バンザ〜イ」と手をあげて伸びをした所さん。
あの泣き虫だった姿が嘘のようです。

不安でも、できるかどうか自信がなくても、怖くても、
人は「よし」と自分で歩く方向を決めて、腹を括れば、
こんなにも晴れやかな顔になるのだと
目の前でそのお手本を見せてもらったような気分になりました。

苦しんで、何とかそこから抜け出そうともがいた時期が長かったからこそ、
どこかの誰かが、モヤモヤとしていること、
辛いのに、その辛さを何かにすり替えてふたをしようとしていることに
気づいてくれます。
そして、「教えてやろう」とか「こっちが正しい」と
押し付けることは一切ないのが、安心だなあと思うのです。

今回お会いしてみて、一番感じたのが、その「安心感」でした。
人は元気な時には、自分で自分のことを何とかすることができます。

私は優等生体質なので、誰かに頼ることが本当に苦手。
自分がダメダメな姿をなかなか人に晒すことができません。
でも、「それでも」と一人ではどうしようもなくなる時、
やっと人に自分の弱さを話すことができる……。

「もうだめだ」と自分の放り出さざるを得なくなった時、
話を聞いてもらう相手に求めるのは、
「受け止めてくれる」という安心感だと思います。
所さんには、その懐の深さと、
多く傷ついたからこその優しさがあります。

今、所さんは少しずつ「おしゃべり」の活動を具体化させています。
もし、所さんとおしゃべりしてみたい方がいらしたら、
こちらのインスタのDMから申し込んでみてください。

所さんと二人で、澄んだ空気の中公園を散歩して
何だかごちゃごちゃした心の中にある塊が
スッキリさっぱり掃除され、
ピュアに再生したような気分になりました。

きっと、所さんに会った人はみんなこんな気持ちになることと思います。
これから、素敵な「おしゃべり」の輪が広がりますように……
と願わずにはいられません。

所千春さんのinstagram @sonomama.123

 

撮影/清水美由紀

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