気づけば2月も半ば過ぎ。毎年のことですが、繁忙期というのは一日のスピードが尋常じゃありません。
自分の担当業務はもちろん、若者たちのサポートに奔走する日々。思えば私も、たくさんの先輩方にこうやって育ててもらったものです。いくらでもお手伝いしますとも。

無事に期末が乗り切れますように、お参りにきました。水道橋の金刀比羅宮東京分社、東京のこんぴらさんです。
やるべき仕事は泉のように湧いてくるので、一日中心休まることがありません。「梅津さん、ちょっといいですか」「梅津さん、僕、謝らないといけないことが…」ひっきりなしに席に来る後輩たち。ためこまず、声を上げてくれるのは本当にありがいことだよ。なんでも言ってね。喜んで!
……バタバタのあまり、某居酒屋さんのようなテンションになってしまいました。
平日はなかなか落ち着いてものを考えられないので、ときには休日出勤させてもらうことも。普段100人以上が働いているオフィスに一人っきり。誰にも話しかけられず、電話も鳴らず、メールもこない。Todoの見落としが無いか、バタバタと判断したことの振り返り、資料や契約書のチェック……。いつもより集中力が発揮されているのが自分でも分かります。

おみくじをひいたら吉! ちょっと気分がよくなりました♪
私は裁量労働制(働く人の専門性や業務の特殊性を考慮して、労働時間の設定に裁量を与える制度)で働いています。これは今の自分にはとても合っていて、頑張るときは頑張る、帰れるときは帰る、メリハリが効かせられるのが良いところ。自分に決定権があると感じられるのは精神的にとてもよく、会社から信用されている感じがします。
しかし、なんだかタクシー帰りや休日出勤がちょっと癖になってきている気もしていて……。とある日曜日、オフィスに向かう電車の中で久しぶりに開いたのがこちらです。

『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』(堀内都喜子/ポプラ新書)
これは私だけかもしれませんが、やる気満々で働いているときは、ブレーキをかけるような本(ワークライフバランスとか、メンタルヘルスとかについて書かれた本)には手が伸びません。それよりも、懸命に働く人を描いたフィクションや、「ビジネスで成功するためには」といった攻めた内容の本が読みたくなる。
今の私はとても前向き。忙しく働いていても充実感・達成感をもっている状態なので、「午後4時に仕事を終える」というタイトルはちょっとぬるく感じられるなというのが正直なところ。でも、自分が極端な方向に傾倒していきそうなときほど、真逆の価値観をぶつけた方がいいですよね。
著者の堀内さんは、大学時代にフィンランドに留学。帰国後もフィンランド系企業で働いた後、フィンランド大使館に勤めた経験をもとに、日本人からすると不思議でならないフィンランド人の働き方を紹介する一冊です。
フィンランドといえば、世界幸福度ランキング7年連続第一位という驚異の国。充実した社会保障制度、クリーンな政治、自然との共生……。ランキング常連の北欧諸国の中でも突出した存在です。
平等な教育制度・子育て支援制度により格差が少なく、社会全体がフラットなのもフィンランドの特徴。働き方にもそれがあらわれていて、夕方にはすぱっと仕事を終えて、「Good Enough」をモットーに過剰なことはしない。早帰りも長い休暇もお互いさま。自分の生活スタイルに合わせた柔軟な働き方を、上司とも同僚とも自然体で相談できる雰囲気。
特に印象的だったのが、堀内さんが描写するフィンランド人の「あっさりさっぱり」な性質。
誰かが失恋した時、誰かが子育てで悩んでいる時、病気がわかった時、どうしても都合が悪くて家族の冠婚葬祭に参加できなかった時、仕事をクビになった時、「それが人生、仕方ないね」とあまりにも本人も周りもあっさりしていて、戸惑う時がある。――『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』より
過度に共感やケアを求めない、一歩引いたあっさりした人間関係。顔合わせの面談は時間の無駄と考え、メールでOKとする文化。歓送迎会やお祝いごとも、仕事終わりの夜の時間ではなくさくっとランチタイムに。
読んでいて、目から鱗がぽろぽろと……。というより、自分にへばりついた余計なものがデトックスされていくような感覚に。
私もつねづね、仕事関係のコミュニケーションはサラリとしたいと思っているのです。しかしヒートアップしてくるとつい、過剰な説明・過剰なフォロー・過剰な感情労働をしてしまう……。
「せっかくだから」「後悔のないように念のため」「誰かに嫌われたくない」「私のことを認めてほしい」そんな心理が、私をますます忙しくさせているのではないかと思いました。
いろいろなプレッシャーやストレスのある今だからこそ、全てから解き放たれて自分の時間を大切にしたり、家族や友人たちと過ごしたりして充電する。それがまた活力となったり、新たなインスピレーションをもたらしたりもする。――『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』より

ネットでも買いますが、やっぱりリアルな書店が大好き。お休みの日はこれくらい買い込んで、ひたすら読むのが至福のひとときです。
先月は「変わろう!」と決意していたはずが、また自分で自分に催眠術をかけて、繁忙の海に飛び込んでしまっていた今日この頃。人はそんなに簡単には変われません。でも、頑固なまでにマイペースを守ろうとするフィンランド人をお手本にして、“あっさりさっぱりで生きること”を自分に少しずつ許してあげようと思います。