2024年ももうすぐ終わり。
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今年最初の忘年会で生レモンハイボールを。
なにかにつけて1年を振り返っているのですが、なかなか混沌とした面白い年だったように思います。職場の環境が少し変わり、正式に副業が認可され、新しい連載もはじまり、人間関係にも変化が。
体感としては、気力より先に体力が悲鳴を上げる場面が多かったかな。運動不足がたたってぎっくり腰を2回やり、疲れやすさ・肌や体型の変化をひしひしと感じる1年でもありました。
食事も睡眠もその他もろもろも、正直優等生とはほど遠い私。優等生どころか、学校をさぼってばかりで酒たばこに手を出し、髪の毛はまっきんきんのヤンキーレベルの劣等生かもしれません。年上の友人が多いせいか「奏ちゃんは若いから!」と言われることが多く、自分の体力を過信していたな~と思います。
やりたいことがあって、チャンスが目の前にあって、応援してくれる人もいて。
そんな恵まれた環境にいたとしても、自分の基盤がしっかりしていないとどうしようもないんだなと再確認しました。ここで言う基盤とは、健康と住居。メンタルも社会的ステータスも自分の力だけではままならないものだけれど、健康と住居ならなんとかなる。来年のテーマはこの2つで行こうかなと思っています。
そんな風に考えはじめたときに、早めのクリスマスプレゼントのように届いたのがこちらの本でした。
集め、積み上げた量を誇るのではなく、よく土を耕し、手入れされた庭のような美しさと豊かさ、そのような庭に仕えることの喜びを、これから書き綴っていこう。――『図書館を建てる、図書館で暮らす 本のための家づくり』(橋本麻里・山本貴光/新潮社)より
著者は、学芸プロデューサーであり美術にまつわる執筆・監修を幅広く手掛ける橋本麻里さんと、文筆家・ゲーム作家の山本貴光さん。
仕事柄膨大な蔵書を抱えたお二人が、「本と暮らす」を最優先にした家づくりに取り組んだプロジェクトを追ったドキュメンタリーのような一冊です。神奈川県の逗子に土地を見つけ、設計を担当した建築家の三井嶺さんと共に、「森の図書館」と名付けられた自宅兼仕事場を建てるまでが三人それぞれの文章でつづられています。
ふんだんな写真と共に紹介されるこのユニークな建築プロジェクトは、本の虫の心をくすぐりまくり。予約注文していてやっと届いたその夜に一気に読み切った後も、ずっと通勤バッグに入れているほど大好きな本になりました。ふとしたときに開くと、じんと心に養分が注入される気がするんです。
「森の図書館」とはいえ、一般に公開された図書館ではなく、あくまで個人(橋本さんと山本さん)の住居。
「図書館に住む」というのは、読書家が一度は夢見たことがあるであろう理想の暮らしですよね。本の中でお二人の読書履歴・本と共に暮らしてきた引越し履歴もみっちりと紹介され、共感と驚嘆が交互に押し寄せてきます。装丁のたたずまいからわかる通りの静謐さに満ちた美しい本なのですが、読みながら内心で興奮が渦巻いて大変でした。
私は、「暮らし」というものに正直苦手意識があります。特に、「自分にとって心地よい暮らし」のイメージがどうしてもわかないんですよね……。だからこそ一田さんが発信される暮らしのコンテンツに憧れがあり、大好きなのですが。
住まいについても、そろそろ引越を考えたいタイミングなのですがなかなか検討が進まず……。物件情報を見たり、素敵な暮らしをしている人の話を読んだり聞いたりしてもどこか他人事に感じてしまって。「素敵だな~」、以上。という感じ。
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我が家の本たちのオフィシャルな居場所は、壁の高さの作り付けの棚×2。そしてそこからあふれた本たちがリビングテーブルや寝室に……。
しかしこの本を読んで、私にとっての心地よさとは「本と共に暮らす」だけでいいんだなと気づきました。
立地がどうとか、インテリアがどうとか、暮らしの道具がどうとか、朝や夜のルーティンがどうとか、そういうことも大切だと思うけれど、最優先は本。ただ、本たちと同じ空間にいられればいい。本と読書を最優先に考えられた住まいを(橋本さんたちのレベルは到底叶えられないとしても)私なりに追求すればいいんじゃないだろうか。
〈森の図書館〉は、建物全体が本のために造られていて、同時に生活の空間でもある。どちらかというと本が主役で人間は本に仕えるような気分でもある。司書ならぬ仕書といおうか。――『図書館を建てる、図書館で暮らす 本のための家づくり』より
長らく続いた「住まい」を巡るモヤモヤ旅に、ひとつの区切りがついた気がします。モヤモヤ「旅」と言っても、現実には何も行動できていない、私の脳内で行われていた独り相撲。決断してしまえば行動は早いのが私の良いところのはずなのに、ずっとグダグダしていたんですよね。
来年は、ひとまず今の住居を「本と暮らす」コンセプトにつくりかえてみよう。そしていつか、私も「図書館に住む」をなんらかの形で叶えたいと思います。
そんな本の虫らしい決意と共に、年末のご挨拶を。今年も読書日記を読んでくださりありがとうございました。皆さまそれぞれ、良いお年をお迎えください。
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忘年会に遅刻しそうになりながら駆け足で乗り換えした日本橋駅にて。ポルトガル人のバルトロメウ・シド・ドス・サントスさんという方が制作したものだそうで、大航海時代・古地図をモチーフにポルトガルから日本・長崎への旅を描いた作品。本のタイトルも日本語で描きこまれていて、ついつい見つめてしまいました。昔は毎日のように使っていた駅なのにぜんぜん気づきませんでした。「これ、家に飾りたいな」とふと思ってパチリ。