顔にも手にも体にも。1本で全てを満たすシンプルさ 「avec」荒井利代子さん vol.2

 

ご自身の手荒れから、自分が本当に欲しいものを作りたい、
と、化粧品開発のプロであるお父様と一緒に
クロモジの香りの「avec=アヴェック」というスキンクリームを作った荒井利代子さん。
前回は、ご実家を訪ね、荒井さんとお父様の古川利正さんにお会いしたところまで
ご紹介しました。

ご実家の壁には、百合や沈丁花、きゅうりの花など
さまざまな植物の絵が飾られていました。
私は、ちょうどNHKの朝ドラ「らんまん」で、
植物学者牧野富太郎氏が植物画を描く話を見たところだったので、
気になって、「あれ? これどなたが描かれたのですか?」
と聞いてみると……。
なんと、お母様の作なのだとか。

ご実家の庭には、バラや百合の花が咲き、
梅が青い実をつけ、たくさんの草花が大切に育てられていました。

聞けば、お母様は料理もお得意で、
荒井さんが幼い頃から、お菓子を作ってくれていたそう。
丁寧に整えられたご実家の様子から
荒井さんが、「シンプルで肌によい、そして使い心地を満たすクリームを作りたい」
と考えた根っこが、ここにあるのかもしれないなあと思いました。

そして、そんな庭の片隅に、
クロモジの木も植えられていました。

実は荒井さんがお父様と作られたのは、「スキンクリーム」という名前です。
どうしてこのネーミングに? と聞いてみると‥‥。
顔にも体にも手にも使えるからなのだそう。

「今お店で売られているものは、
どうして、ハンドクリーム、ボディクリーム、フェイシャル用のクリームって
別れているのかな?とずっと疑問に思っていたんです。
私は、できるだけシンプルケアの方がラクだと思っていたし、
ものを増やしたくないし、
すべてをこの『スキンクリーム』1つだけで満たすことができればいいなと考えました。
ひとつでよければ、旅行に行くときにもこれだけ持っていけばいいからラクでしょう?」
と荒井さん。

利正さんは、外資系の化粧品会社で、
アイシャドウなどのメイク用品から、基礎化粧品までを手掛け、
その後石鹸・洗剤メーカーに転職。
シャンプーやリンスなどの開発に携わりました。
その後再度、ヘアケアが関連の外資系専門メーカーへ。

化粧品開発は、専門分野があり、利正さんのように
オールマイティに関わる人は少なかったのだとか。


「私たち研究者にとって本当にいい処方のものができたとしても、
それが営業的に売れるとと判断されなければ商品化はされません。
どんなに一生懸命作ってもボツになったりするわけです。
会社側が『この材料を入れてくれ』と言われても、
安全性に問題がありそうなら、
私たちは『入れたくない』と言う。
その頃から、私は体に優しい、地球に優しい、
というものを作りたいと考えるようになっていました」と利正さん。

そして、なんと50歳を目前に退職。
当時としては珍しく、フリーランスのコンサルタントとして独立されたそう。
荒井さんが大学生の頃で、
働き盛りの一家の大黒柱が、安定を捨てて独立されるなんて!
今目の前にいらっしゃる、白衣を着たお父様は、
穏やかで、優しそうなのに、
案外やんちゃで、ハングリーでいらしたのかしら?
などと想像してしまいました。

独立後はあらゆる分野を手掛けてこられた経験から、
科学的エビデンスに基づいて、人や環境に負荷をかけないものづくりを続けてきたそう。


ほんの少し成分を変えただけで、ハンドクリーム、ボディクリーム、フェイシャルクリームと
種類を増やし、商品数を増やす……。
そんな業界の常識から一歩外に出たとき、
「1本あれば十分じゃない?」
という荒井さんの思いと、お父様の意見がぴたりと重なったよう。

こうして、体すべてに使うことができる
「スキンクリーム」が誕生したというわけです。

「私は、これを顔はもちろん、体にも、手にも、そして髪の毛にも使っているんです」
と荒井さん。
乾燥しやすく、シワが気になるアイクリームとして愛用しているお客様もいるのだとか。

チューブ型にしたのは、どこにでも持ち歩くことができるように。
キッチンに置いて、洗い物が終わったときに、
洗面所に置いて、外出から帰って手洗いした後に
パソコンの横に置いて、仕事の合間に。
寝室に置いて、寝る前に……。

さらりとした使い心地で、ベトつかないので、
作業と作業の合間にも使えるのがいいところです。

「いつも手元に置いて使って欲しいんです。
暮らしの相棒になってくれるといいなあと思って」。

「avec=アヴェック」とは、フランス語で「〇〇といっしょに」という意味。
「いつも自分に寄り添ってくれるもの」として名づけたそう。

同じクロモジでも、育つ場所によって、少しずつ香りが違うそうです。
「これは、東北のクロモジを使っていますが、
関西など西の方に行くと、もう少し甘い香りなんです。
北の方が清涼感が強いようですね。
少しだけ野薔薇の精油も入っているので、
爽やかでありながら、優しい香りに仕上がっていると思います」

顔から手、体まで全部に使ってもよし、
手持ちのスキンケアと組み合わせてもよし。

私は、ずっと気に入るボディクリームに出会えずに、
毎回違うものを試しては「ちょっと違うなあ」と感じてしまう
「ボディクリーム難民」でした。
でも、この「avec」のスキンケアクリームに出会ってから、
お風呂上がりに体に塗るのはこれ、と定着しました。

さっぱりとした体に、このクリームを塗って、
クロモジの香りをいっぱいに吸い込む満足感と言ったら!

最後にベッドに入ったあとに、踵や足の裏に塗って完了!

我が家でも、お風呂に入る前にはバスタオルと「avec」のスキンクリームをスタンバイ

1日の最後に踵のケアを

みなさんにもぜひ、このクロモジの香りを楽しんでいただきたい。
そして、しっとりするのにさっぱり、という相反する使い心地の不思議さを
1本で、すべてを満たす潔いシンプルさを
「なんてことないのに、つい使いたくなる」
というこのクリームならではの魅力を体験していただきたいなあと思います。

一度使ってみれば、きっとクロモジの香りを手放せなくなると思います。

このスキンクリームを使ってみたい方は、「avec」のホームページからどうぞ!
スキンクリームのほか、クロモジの精油や、クロモジやスキンクリームにも使っているハーブをブレンドしたハーブティも販売されています。

みなさんの暮らしの相棒になってくれますように。

撮影/近藤沙菜(下2枚をのぞく)

 

 

 

 

 


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