新しいコンテンツ、「私を見つけてプロジェクト」で、前回からご紹介しているのは、葉山の整体、はり灸、漢方茶の施術所「kibaco」です。vol、1では、実際に私が体の調子を見ていただき、施術を受けた様子をレポートしました。今回は、漢方茶をご紹介します。実は、漢方茶について、なんにも知らなかったワタクシ。この度お話を伺い、自分の暮らしの中でも飲んでみて、やっと「漢方茶ってなに?」という正体がわかってきました。
施術が終わると、「一田さん、自宅の方でお茶でも飲みながらお話ししませんか?」と誘ってくださいました。そう、「kibaco」の施術所があるのは、小牧翼さんと咲子さん、そして小学生の息子さんが暮らすご自宅の一角なのです。誰かの家を見せていただくのが大好きなワタクシ。さっそくいそいそとおじゃましました。施術所の扉を一度出て、庭を通り、もうひとつの扉から入ります。
ドアを開けた途端、「うわ〜!」と声が出ました。真っ白な壁と木の温もりに満ちた空間の向こうに階段が見えます。アーチ型の入り口のすぐ横に、絵本の並んだ本棚がしつらえられ、まるで秘密の小さな図書館のよう。「子供も大人も、この階段に座って本を広げられたらと思って」と咲子さんが教えてくれました。
階段を通り2階に上がると、広々としたワンルームが広がっていました。日当たりがよくて気持ちがいいこと! 東京から葉山に引っ越して、小牧さん一家の暮らしもガラリと変わったそう。ここで、いつもご家族で飲んでいるという漢方茶をいただきました。「なんとなくつらい」がいちばんやっかい!
翼さんが漢方茶に出会ったのは、商社を辞め、整体院に勤めていた頃。
「同僚が漢方茶を勉強しているって教えてくれて。東洋医学的に体質を判断して、その人に合わせてブレンドしてお茶を作るということを聞いて、すごく面白いと思ったんです。整体やはり灸という外からのアプローチに加え、漢方茶では内からのアプローチができる。その両方があったらすごくいい! そこから奈良の漢方茶の先生に会いに行って、勉強し、漢方茶ブレンダーの資格を取りました」。
実は、私は「漢方」というものにあまり馴染みがなく、せいぜい風邪かな?と思うときに葛根湯を飲む程度。どうして葛根湯か? といえば……。普通の風邪薬を飲むと、確かに症状は早くおさまるのですが、その後、なかなか体がシャッキリしないのです。体本来の力が取り戻せないというか……。症状はおさまるのに元気になれない……。それよりも、「あれ、ちょっとおかしい……」という日に、葛根湯を飲み、暖かくして早めにベッドに入って眠ってしまえば、朝すっきり目覚めることを知りました。
「漢方茶のいいところってなんですか?」と聞いてみると……。
「漢方茶も、整体やはり灸と同じなんですが、『未病』というか、『不定愁訴』と言われる、病院に行かなくてもいい程度だけれど、なんとなく辛い。病院に行っても『なんでもない』と言われるのにだるい……。そんな症状にいちばんハマるってことなんです」と翼さん。
なるほど! それなら思い至ります。
疲れがなかなか抜けなくて、頭がクリアにならない……。更年期障害なのか、肌がポリポリとかゆい。手足が冷えて、なかなか眠れない……。この取材に一緒に行ったカメラマンの近藤さなちゃんは、むくみがひどくて、朝起きると足が腫れていたり、靴下を履くと、ゴムの型がついてしまうのだとか。こういった症状は、なかなか原因がわからず、そもそもどんな病院に行ったらいいかもわかりません。
「なんとなくつらい」って、いちばんやっかいで、我慢しているうちに具合が悪いことさえ感じられなくなってしまいます。
そんな時に……と勧めてくれたのが「二週漢」という名のkibacoオリジナルの漢方茶でした。お茶を飲むことは、自分の違和感に気づくこと
お茶には4種類のブレンドがあります。
活力をとりもどして元気になりたい人には「いきいきブレンド」、気分を落ち着けたいなら「リラックスブレンド」、ポカポカと暖かく過ごしたい人には「あったかブレンド」、溜め込みがちなものを手放したいなら「すっきりブレンド」。
さっそくいただいてみると……。
あれ?
漢方茶と聞くと、匂いが強くて癖があって……と思っていたのに、飲みやすいこと!
「三年番茶や烏龍茶などをベースにしているので、普通のお茶と同じように飲んでいただけるんです」と咲子さんが教えてくれました。小牧さんご家族も、お子さんも含めて日常的に飲んでいらっしゃるのだとか。
すぐに症状が緩和するわけではありません。「二週漢」と名付けたのは、二週間ほど続けて飲んでいると、じわじわと効いてくるということ……。
「なんか調子が悪い、というのはまだ病気ではないけれど、何歩か手前にいるんですよね。薬品みたいにパッと効くわけではないけれど、長い目で見て、体調、体質の改善につなげてほしいと思っているんです」と翼さん。
そっか! とわかった気がしました。
私は、毎朝起きたらお湯を沸かし、煎り番茶を煎れてポットに詰めています。それを漢方茶に置き換えてみたらいいんだ! 日常の中に取り入れることで「なんとなく具合が悪い」ことを、少しずつ改善する。つまり、体の違和感を放りっぱなしにするのではなく「お茶」というツールを通し「セルフケア」する。どうやら「二週漢」には、そんな役目があるよう。さっそく私も「リラックスブレンド」をいただき、家で試してみることにしました。
まずは、ポットで普通に煎れて休憩時間に。
いつものをお茶を、漢方茶に置き換えたら……。
次は、いつものポットのお茶を漢方茶に。
三年番茶をベースに「マイカイカ(ハマナス)」が入っているので、少しバラのような香りがします。ネムノキの樹皮「ゴウカンヒ」や、私が大好きな爽やかな香りの「クロモジ」、「ヤコウトウ」「ケツメイシ」なども。飲み始めて、そろそろ二週間が経ち、すっかり私の生活の一部になりました。
以前飲んでいたいり番茶も、スモーキーな香りが大好きだったけれど、「お茶を飲む時間」が、そのまま「セルフケア」につながっていると思うと、一石二鳥のような得した気分になります。
私は、原稿を書きながらも、絶えずマグカップを手元に置いて、ちびちびとお茶を飲んでいたいタイプ。そのお茶を変えることで、無意識だった「お茶を飲む」という習慣が、「自分に向き合う時間」に変わりました。
漢方茶のお茶の香りが、自分を大切に思うことを、思い出させてくれる気がします。
まだ病気ではないけれど、なんとなくだるい、つらい、疲れる……。
そんな「なんとなく」を知らない間にリセットしてくれるのが、漢方茶のいいところ。
50代後半になって、疲れやすくなっているワタクシ。少しずつでも疲れが溜まる前にケアできるように……。このお茶と一緒に過ごしてみようと思っています。
みなさんも、自分にあった漢方茶を暮らしに取り入れてみてはどうでしょう?
4種類のお茶のどれを選びますか?
kibaco
神奈川県三浦郡葉山町長柄424-1
042-854-4219
kibaco tea factory
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撮影/近藤沙菜