都会でエコ生活その6 洗剤はもういらない

長い間、洗剤を買うことにためらいがありました。人工的なきつい匂いは好きになれないし、濃く、どろっとした液体を下水に流すのも気が進みません。容器はプラスチックばかりで捨てるしかありません。場所や汚れによってさまざまな種類があり、専用のものを買わないといけないような気持ちになるのも、なんだか腑に落ちませんでした。

ドラッグストアに行くと、めまいがするほどたくさんの種類の洗剤が所狭しと並んでいます。どうしてこんなに種類があるのだろうと疑問に思ったことはありませんか?私達はただ普通に生活しているだけなのに、こんなに洗剤を使わないと落とせない汚ればかりなのでしょうか?

【掃除】

少しでも洗剤を減らしたい!そう思い、洗剤一つ一つについて本当に必要?と自問自答するようになりました。トイレ用洗剤を手放し、お風呂用洗剤を手放しと減らす中、図書館でナチュラルクリーニングの本に出会いました。ナチュラルクリーニングとは、自然界にある物質や食品由来の素材を使う掃除のこと。実践されている方も多いかと思います。

トイレは除菌も兼ねて、アルコールを使うのが一番スッキリしますね。クエン酸やお酢もアンモニア臭をやっつけてくれます。お風呂や洗面所を磨くのには重曹を、水道周りの水垢にはクエン酸が効きます。排水溝の匂いやつまりには、過炭酸ナトリウムを使います。

とあれこれ書いてしまうと、ややこしく感じるかもしれません。私が使っているのは、重曹、クエン酸(または酢)、セスキソーダ、過炭酸ナトリウム、そしてアルコールです。

石けん百貨という通販サイトで袋入りを購入

 

これらは、アルカリ性の重曹、セスキソーダ、過炭酸ナトリウムと、酸性のクエン酸(酢)に分けることができます(アルコールは中性です。)

汚れは主に、油汚れ、人の体から出る汚れ(皮脂、手垢)などが酸性で、水あか、石けんかす、アンモニア臭(尿石)、カルキなどがアルカリ性。これらの汚れは中和させると落ちます。酸性の汚れにはアルカリ性の洗剤を、アルカリ性の汚れには酸性の洗剤を使えば良いということです。

この汚れは酸性?アルカリ性?と迷ったら、ベタついているものが酸性、カチカチに固まっているものがアルカリ性です。これで大体予想がつくのではないかと思います。

汚れはわかっても、どれを使ったら良いかと悩むことがあるかもしれません。重曹は水に溶けにくいのでゴシゴシと洗いたい時、研磨したい時に向きます。セスキソーダは水に溶けやすいので、スプレーして掃除したい時、広範囲な掃除などに向きます。頑固な汚れには、アルカリ性の一番強い過炭酸ナトリウムを、と性質を理解すると使い分けが容易になっていきますよ。

中和させればいいということを知ると、家の中の汚れはナチュラルクリーニングで対応できることがわかります。すると、トイレ用洗剤やお風呂用洗剤といった、場所ごとに売られている専用の洗剤はいらないのです。

【食器洗い】

毎食の食器洗いにも洗剤は必要ありません。ですが、洗剤のことを考える前にやることがあります。お皿の汚れを拭き取ってしまうのです。我が家では、古いTシャツからのウエスや紙ゴミで拭き取っています。特に油汚れは拭き取るだけでとても簡単に洗うことができます。お鍋も同様です。

油などの汚れは酸性なので、水に溶けやすいセスキソーダをスプレーに入れておき、シュッと一拭きして洗っています。水500mlに対してセスキソーダ小さじ1/2を入れるだけ。これでさっぱり洗えます。

ですが、もっとお勧めな方法があります。それは糠を使うこと。

我が家では毎朝、小さな精米器で玄米を分付き米にしてから炊いているので、糠が出ます。この糠を洗剤がわりに使うと、とてもさっぱり洗い上がるのです。特に油汚れには糠がお勧めです。油汚れは、別の油で落とすとラクです。糠にも脂肪分が含まれているので効果を発揮するというわけです。

米糠はご存じのとおり、石鹸や化粧水にもなるものですから、手荒れの心配がないのが良いところです。むしろ綺麗になってしまうかも。

また話はそれますが、糠は布巾の漂白にも使えます。ナベに湯をわかし、その中に米ぬかを入れ、汚れたふきんを入れてしばらく煮るだけ。ちゃんと布巾がきれいになりますよ。

小さな精米器と2合を五分付きにした際の糠

 

【洗濯】

洗濯にはセスキソーダを使っています。皮脂などの汚れは酸性ですから、アルカリ性で水に溶けやすいセスキソーダがベストです。水30Lに対してセスキソーダ大さじ2を入れてよく溶かしてから、洗濯物を入れます。その際、洗濯機を一時停止して、数時間から一晩ほどつけおきしておくと汚れが浮きたち、さらに効果が出ます。

それでも落ちにくい汚れや染み付いた汗の匂いには、過炭酸ナトリウムの出番です。過炭酸ナトリウムの方が、セスキソーダよりもアルカリ性が強いからです。お湯で効果を発揮するので、45度ほどのお湯によく溶かして使います。3Lに対して大さじ2杯が目安です。そこに気になる衣類を30分から1時間ほど入れてつけおきしておきます。可能なら温度が下がらないように蓋をするとより効果的です。これで、しつこい汚れも匂いもとれ、さっぱりと洗い上がります。

衣類をふんわりさせたいときは、すすぎの際にクエン酸を小さじ2入れると良いです。でも私は面倒なのでやっていません。家族の服はTシャツやデニムばかりで、ふんわりさせたいおしゃれ着が少ないからです。また、柔軟剤ほどの効果はありませんが、洗濯物を干す際にしっかり振ると繊維が起きてふんわり感が出ます。特にタオルなどには効果があるのでぜひやってみてください。

 

こうしていくと、重曹、セスキソーダ、過炭酸ナトリウム、酢(またはクエン酸)、アルコールがあれば、部屋中のお掃除、食器洗い、洗濯まで賄えます。それぞれに洗剤を買う必要は全くなくなりました。シンクや洗面所の下にたくさんの洗剤が並ぶ光景はもうありません。

何よりドラッグストアに立ち寄る必要がほぼありません。ドラッグストアに立ち寄ると、新しい商品に目がいったり、買う必要もなかったのについ買ってしまうことがありますよね。でもそれは本当に必要なものでしょうか?お金は本当に使いたいところにどーんと使う方がずっと気持ちがいいものです。

ところで、各家庭から排出された水は下水へ流れ、下水処理場できれいな水にしてから河川に流されるのが一般的です。そのため、各家庭が下水に油や洗剤などを流してしまうと、下水処理の負担が増えます。掃除や洗濯は毎日のことです。小さな努力も取り組む方が増えれば、きっと大きな効果があると思うのです。ナチュラルクリーニングを知れば、きつい匂いからも解放されて、家もさっぱりして、環境にも良いといいことづくめだと思います。その洗剤は本当に必要?と考えることから始めてみませんか?

私のエコルール【洗剤見直し編】
1)本当に必要か考える
2)ナチュラルクリーニングを活用
3)ドラッグストアになるべく立ち寄らない


特集・連載一覧へ