仕事仲間だったのに、「ライターやめます!」ってどういうこと? 大野祥子さん Vol.1

長らく、読み物コンテンツの更新ができていませんでした。

やっと「新しい、働き方」の6人目の記事の準備ができました。
コロナ禍になって、今まで当たり前にできていたことが「できなくなる」体験をした昨今。
今の時代だからこそ、軽やかに、伸びやかに、自分の軸足を変えてみた、という人に話を聞いてみる、
という特集です。
今まで、伊藤まさ子さん平井かずみさん山本綾子さん中川正子さん板倉直子さん、
などをご紹介してきました。

 

 

6人目のご紹介は、インテリア雑誌を中心にライターとして活躍していらっしゃる大野祥子さん。
私が1冊まるごと企画、編集を担当させていただいている
「天然生活」別冊の「暮らしのまんなか」でも、お仕事をお願いしておりました。
一緒に名古屋にインタリアの取材に行ったこともあったなあ。

そろそろ次号の取材を始めようかな〜と思っていた頃、
大野さんに「また、お願いしま〜す!」とメールを出したら
「実は、私ライターのお仕事をちょっとお休みしようと思っているんです」
というお返事でびっくり!

さらに!
「今、私インスタの方をがんばっていて……」
とのこと。
えっ? インスタ? どういうこと?

よくよく聞いてみると、その頃でフォロワーさんがなんと5万人!
えっ! ご、ご、ごまんにん〜!!

いったい何が起こっているの〜? とちんぷんかんぷん。
あれからさらに月日が経ち、今ではフォロワー8万人以上という、人気インスタグラマーに変身されていました。

「今、自分でZINE(個人が自由なテーマで制作した冊子のこと)を作っているんです」とのこと。
しばらくして、出来上がった「しょ〜こジャーナル」というその冊子を
さっそく私も購入させていただきました。

そこには、私が知っている、フリーライター大野祥子さんが、
別人に生まれ変わるプロセスが、丁寧に綴られていました。
素直に正直に、ご自身のことを綴ったその文章に、私は大、大、感動をしてしまったのでした。

ぜひ、ゆっくり話を聞かせて……。
そうお願いして、ご自宅に伺ってみました。

築22年の団地風マンションで、娘さんと2人で暮らす大野さん。
ふすまをはずし、光と風を取り入れた部屋は、
隅々まで整理されて、さりげなく花が飾られ、心地いいこと!

大野さんの変身の第一歩は、このご自宅を整えることからスタートしました。
そのお話を伺う前に、
少しだけ、大野さんの「これまで」について聞いてみました。

シングルマザーで、お子さん3人を育てられている、ということは
ずいぶん以前から知っていました。

結婚して専業主婦に。
「でも、家にいるのがしんどくて……。
私、家事がすごく苦手なんですよ。
ずっと家にいるのは耐えられない。
マイホームも買いたいし、お金を稼ぎたい……と
まずはヤクルトレディをはじめて、その次に、書く仕事がしたくて広告代理店のアルバイトを始めました。
でも、子供が体が弱くてすぐ熱を出して……。
だったら、家でできる仕事がいい、と時間の融通がきくようにフリーライターになったんです」

離婚したのは、フリーになって10年が経った頃。
長男が中学生、次男が小学校高学年、一番下の娘さんはまだ保育園の年長さんだったそう。

「お金がなくて実家に頼ったり、出張の時に来てもらって泊まり込んでもらったり、
友達にも預かってもらって助けてもらいましたね」と大野さん。

私も離婚経験者なので、ひとりになった時の「この先食べていけるだろうか?」という
切羽詰まった不安はとてもよくわかります。
私は一人暮らしだったけれど、3人の小さなお子さんがいらして、
働きながら、ご飯を作り、ひとりで生活を回していくのは、どれほど大変だったことでしょう!

定期収入がある会社に勤めようとは思わなかったのですか?
と聞いてみました。

「ライターという仕事が楽しかったし、これ意外はできないって思っていましたね」。

今では、28歳になった長男、26歳の次男は独立。
19歳の娘さんと2人暮らしになったそう。

フリーライターという仕事で、立派に3人の子供を育て上げた
それ辞めようとしているなんて……。

いったい何が起こったのか……。
次回は、大野さん変身前夜のお話を伺います。

 

 

撮影/石川奈都子


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