都会でエコ生活その5 プラに頼らない買い物のアイデア

ゴミの分別をしていると、こんなにプラスチックを使用しているのかと暗澹たる気持ちになることがあります。ゴミを増やさないようにと長らく気をつけてきたつもりなのに、なかなか減らないなあと。衣料品や雑貨など、レジで包装を断ることができるものは申し出るようにしていますが、最初からプラ袋に小分けされいる食材はそうもいきません。個包装になっているものは買わない、過剰包装になっているものは買わない、といったことに気をつけていても、なかなか減らすことができないのが現状です。

プラ袋に入っている食材は買わないとかっこよく宣言したい気持ちはあっても、実際に自分が住んでいる東京ではハードルが高いと感じます。そのため、食材については完璧を目指さず、自分が暮らす範囲内でできること、無理をせず続けられる方法で考えてみることにしました。

【野菜】

野菜をたくさん食べる我が家では、プラ袋なしで買う方法はないかと、あれこれ試してきました。

子どもが幼児の頃は買い出しもままならなかったこともあり、定期宅配の野菜セットをよく利用していました。オーガニックや有機、エコといったうたい文句を掲げているところが多かったので、届くお野菜はきっと段ボールにごろごろと入っているのだろうと勝手なイメージを抱いていました。しかしながら、全てがプラ袋に入っており、ゴミについてはスーパーで購入するのと変わらないなと残念に思った記憶があります。

トータルで3箇所の定期宅配を利用しましたが、ある宅配は、個包装された野菜をさらに大きなビニール袋に入れて届く形式になっていました。大きなビニール袋はいらないのでは?と問い合わせると、ルールなので変更できないとのことでした。

改めて考え直し、いくつかの手段を見つけました。ひとつは、農家さんから直接買うことです。例えば、私は岐阜の千空農園から時々お野菜を買いますが、千空さんはプラ袋をなるべく使わず、新聞紙に包んで発送してくださいます。

知り合いの農家さんがいなくても、食べチョクという生産者さんから直接買えるサイトもあります。直接連絡を取ることができるので、可能ならプラ袋を使わないでくださいと伝えることもできます。農家さんの都合でプラ袋を使用するしか方法がない場合もありますが、そう考えている人がいる、というニーズをお伝えすることができます。

もしご近所にあれば、畑に足を運ぶのもいいかもしれません。数は少ないですが、東京にも畑の隅で直売している農家さんがあります。鮮度抜群ですし、包装なしで買えることもあります。

個人商店を利用するのもおすすめです。今は少なくなりましたが、個人商店の八百屋さんでは、カゴの上に野菜や果物を陳列したり、ダンボールに入った状態で販売しているお店もあります。自粛期間中に近隣を自転車でくまなくまわったところ、カゴに乗せてお野菜を販売している八百屋さんを二軒も発見しました。こういった昔ながらのお店は、地域に長く根付いているので、常にお客さんもいっぱい。商品の回転も早いので、新鮮なお野菜がプラ袋なしで買えるありがたいお店です。

自然食品のお店などでは、プラ袋なしでの販売を基本としているところも多いですね。よく利用するsiki(祐天寺)では、新聞紙で作った袋に入れてくれます。

さらに一歩すすんで、自分で育てるというのも手です。私は植物を育てることが好きなので、庭やレンタル畑で野菜を育てています。旬の野菜は、小さな面積でも驚くほど収穫できますよ。もっと簡単にベランダや玄関先で、ハーブを育ててみるのもおすすめです。紫蘇や細ネギ、パセリ、バジル、ミントなどは簡単に育てられますし、あるととても便利です。新鮮な上に、ゴミもゼロ。趣味と実用を兼ねて楽しめるのではないかと思います。

【豆腐】

そういえば、自分が小さな頃は、お豆腐屋さんがバイクに乗って、ラッパを吹きながら家の前まで売りに来ていました。ラッパの音が聴こえると、母にボウルを渡されて、よくお豆腐を買ったものです。ボウルに直接、お豆腐を入れてもらえるので、ゴミはゼロ。素晴らしいシステムだったなと思います。今、住んでいる地域では、ラッパの音は聞こえないので、私が容器持参で伺えばいいと思い立ち、ご近所のお豆腐屋さんをいくつかたずねてみました。しかしながら、どのお豆腐屋さんも、すでに最初からパックしての販売でした。切り分けた豆腐を大きな水槽から取り出してくれる、という絵を想像していましたが、残念がながら我が家の近くにはないようです。もし皆さんのご近所にあれば、ぜひトライしてみて欲しいです。

【肉】

お豆腐屋さんには振られましたが、よく利用するお肉屋さんにも容器持参で伺ってみました。このバッドに入れてくださいと頼んでみると、意外にもあっさりと快諾。お肉は、紙でくるんだ後に、さらにビニール袋に入れられることが多いですが、これらのゴミが出ないだけでも嬉しいですね。こころなしか、バッドに並ぶお肉の姿がとてもきれいに見えます。

【おやつ】

よく利用する和菓子屋さんでもお願いしてみることにしました。こちらも快諾してくれて、お団子を包装なしで買うことができました。今はあまり見かけなくなりましたが、以前は、和菓子屋さんの店先にベンチがあり、買った団子をその場で食べられるところも多かったように思います。包装なしで買うことが当たり前にあったのですから、意外なことではないかもしれません。

お願いすることにも慣れてきて、ご近所のケーキ屋さんにも容器持参で伺うようになりました。ケーキ屋さんでは紙の箱に入れてくれますが、その箱ももったいないと思っていたからです。どなたかに差し上げるならきれいな包装も必要だと思いますが、家で食べるならこれで十分ですね。

ところで、容器を持参する場合は、できるだけ混んでいる時間帯は避けるようにしています。容器に入れる方が簡単だと思いますが、普段通りの包装のほうが慣れているでしょうから、面倒に感じられたらもったいないと思うからです。お互い気持ちよく買い物ができるようにと思っています。

【納豆】

さて、頻繁に食べるもので、プラゴミの量がもっとも気になっていたのが納豆です。納豆は我が家の必需品なのに、プラゴミももれなくついてきてしまいます。納豆のケースをなんとかしたいと考えるうち、そうだ!自分で作ればいいじゃないかと思い立ち、トライすることに。調べてみると、ヨーグルトメーカーで簡単に作ることができるとのこと。ヨーグルトメーカーは、ヨーグルトや納豆だけでなく、塩麹や甘酒も作れるとあって、利用価値があるだろうと迎えることにしました。

好みの大豆を茹で、市販の納豆を少々加えて、ヨーグルトメーカーに入れます。24時間ほど発酵させると、ちゃんと納豆ができあがっていました。時間はかかりますが、放置しているだけなのでとても簡単。写真の納豆は、お豆の茹で加減が足りなかったため、ハリのある食感になってしまいましたが、できたての美味しさは格別でした。ゴミが減るからという理由だけでなく、美味しい納豆が食べたいからという理由でも続けられそうです。

【鰹節】

プラごみなしの購入が、一番難しいと感じたのは乾物類です。わかめ、昆布、ひじき、高野豆腐などの乾物は我が家の必需品。食べる頻度もとても高いのです。しかしプラ袋に入っていない乾物を見つけることができません。日本は湿気が多いので、プラ袋に密閉されている必要があるからです。でも一品だけ、可能な乾物があるのです。それは鰹節です。実は、鰹節削り器をかれこれ10年以上、愛用しています。以前は、削り節の小袋に入っているタイプを使っていましたが、ゴミが出ることよりも、決まった量であることが不便だなと思ったことがありました。そこで、鰹節削り器と鰹節の塊を買い求め、そのレシピに必要な量を削るようになりました。量の調節がしやすいだけではありません。削りたてはとても香り豊か。味わい深いコクがあり、とても美味しいのです。この味を知ってしまうと、もうパック入りには戻れなくなります。しかもゴミが出ないとなれば、利用価値は大きいのではないでしょうか?

【量り売り】

もしご近所に量り売りの店があれば、ぜひ利用してみてください。品揃えの良さでおすすめは、バルクフーズマーケット(元住吉)です。ナッツ、ドライフルーツをはじめ、スパイス、乾燥野菜、オリーブオイル、はちみつ、洗剤など200種類以上の商品を量り売りで買うことができます。私は、作りたてのナッツバター(目の前でナッツからナッツバターになる機械があります)やアガヴェシロップなどを購入しています。持ち込みの容器に入れられるのもいいですね。

東京近郊なら、取り扱う種類は少ないですが、店舗の多いビオセボン(麻布など)が利用しやすいでしょうか。無印良品(有明店限定)でも食材やお菓子の量り売りがあるそうです。品物限定ですが、洗剤などの量り売りをするエコストア(恵比寿)、オリーブオイルとヴィネガーの量り売りをするオイル&ヴィネガー(池袋など)などもあります。また、京都にある量り売り専門店、斗々屋はぜひ行ってみたいお店です。乾物に加えて、野菜や果物などもあるそうです。

【米】

量り売りで一番なじみがあるのは、お米屋さんかもしれません。個人商店のお米屋さんなら、今でも変わらず、量り売りしてくれますね。好きな量で買い求めることができますし、いろいろな産地や銘柄を試すことができるのも楽しいです。私は、農家さんから直接買う他に、近所のお米屋さんも利用しています。

【酒】

プラ包装からは少しそれますが、昔から続くエコなシステムとして、リターナブル瓶があります。一升瓶やビールの瓶などは長く、リサイクルされてきました。我が家では、ご近所のカクヤスで瓶ビールを頼み、次回配達時に回収してもらっています。瓶のラベルにリターナブルと書かれている場合は、容器保証金が含まれている瓶ということです。回収してくれるかどうか利用する酒屋さんにたずねてみてください。また自治体でリターナブル瓶を回収しているところもあるようです。

さて、様々な小さな試みを経て、我が家のプラゴミは一番多かった頃に比べると半分程度になりました。ゼロには程遠い量ですが、それでも少し肩の荷が降りた気がします。いつも容器を持参できているわけではありませんが、少し気を配るだけで減らせたことが励みにもなりました。代替え案が見つからない食材もまだまだあるので、今後の課題として引き続き考えていこうと思います。

たった3人の家族のゴミを半分に減らしたところで、地球上のいたるところで深刻化している環境問題には焼け石に水どころか、何の役にも立っていないだろうなとは思います。けれど、常に問題意識を持つことは、自分にも家族にも、特にこの先長く生きていくだろう子供には大切なことだと思います。また、選んで買い物することは、問題意識を持っていることを他者に伝えていくことにもなります。小さなことではありますが、これからもずっと考え、ずっと続けていきたいと思います。

次回は、食材以外に使われるプラスチック製品、洗剤や化粧品などに目を向けます。

私のエコルール【食材と献立のダイエット編】
1)農家から直接買う
2)個人商店や量り売りを利用する
3)自分で作る


特集・連載一覧へ