1本の傘が生まれるまで。スペシャルな傘と出会いました。

 

 

3年ほど前、仕事で知り合ったプロダクトマネージャーの高橋元希さんに、
有松絞りで作ったというアクセサリーや洋服を紹介してもらい、
名古屋市の有松市を訪ねました。(その時の様子は、こちらから→

その高橋さんから1か月ほど前に久しぶりに連絡がありました。
「イチダさん、傘を作っている工場を見に行きませんか?」

えっ?傘?
「ジャカード織りで、生地から作っているんです。
ペイズリー柄の傘とか、イチダさんが好きそうだなあと思って……」

「わあ、面白そう、行く行く!」と、山梨県西桂町を訪ねました。
一緒に行ったのは、高橋さんと共に働く、企画、販売ディレクターの大和田洋子さんです。
まずは、大和田さんが持ってきてくれた傘を拝見することからスタート。

これがまあ、素敵なのです!

 

 

プリントの柄とは違って「織物」なので、立体感と光沢感が違う!
「持つと顔色が良くなるんですよ。
プリントとは違って、生地の色を拾って光が入ってくるので、傘の中に色が落ちるんです。
だから、この傘、『ほめられ傘』とも呼ばれるんですって」
と教えてもらいました。

 

なんと、こちらは北欧の「スティグ・リンドベリ」とのコラボ商品。
いったいどうやって作っているんだろう?
とさっそく創業1866年という槇田商店さんを訪ねました。
お話を伺ったのは、6代目になるという槇田洋一さんです。
工場の中には、たくさんの傘生地のサンプルが並んでいました。

「この地域の織物の特徴は、糸を染めてから生地を織る先染の織物です。
服地作りで培われた技術と傘を組み合わせることで、他にはない傘を生み出すことができるんです。
細い糸を高密度に織るので、デザインの細かさや立体感、光沢感を表現できる。
今、出回っている多くの傘は、白生地にプリントを施すのが一般的なのですが、
うちのように糸1本1本の色を組み合わせて色柄を表現するジャカードという技術を
展開しているのはとても少ないんです」と槇田さん。

さっそく工場内を案内していただきました。
ジャカード織り機が並ぶ工場では、ガッシャンガッシャンと音を立て、
生地が織られている最中。
ここは、生地を織るところから、傘の組み立てまでを一貫して行う
世界唯一の工場なのだとか。
1枚の生地には、なんと1万2000本以上の経糸がかけられているそう!

そして、使い込んだ三角形の木の定規で布をカットするのも、
ミシンで生地を縫い合わせるのも、傘の骨に縫い止めるのもすべて職人さんたちの手作業。
こうして1本1本大切に、傘が仕上げられていくんだと知って、
なんだか胸が熱くなりました。

三角形の定規は二等辺三角形ではなく、少しアールがついているそう。
これによって、傘のきれいなカーブが生まれるのだと言います。
傘専用のミシンは、上糸のみで縫います。
これを骨の先端に固定することで、簡単にはほつれなくなる。
すると、縫ったところに弾性が生まれ、美しいフォルムが生まれる、というわけです。

そこには、職人さんたちの手仕事でしか生み出せない、繊細なディティールがありました。

 

そんなお話を伺ってから、傘を広げると、その模様が一層愛おしくなります。

実はこのペイズリー柄は、大和田さんが提案したそう。
高橋さん、大和田さんが立ち上げた「工場十貨店」は、
こんな作り手と、消費者を直接結ぶ「産直生活」を提案する
新しいライフスタイル提案ショップなのです。

野菜の産直売り場で、鮮度がいい野菜や安く買えるように、
東京日本橋の「コレド室町テラス」内にあるショップでは、
日本各地の工場から集まった商品を手に取ることができます。

どうして、おふたりが、このショップを立ち上げることになったのか……。
私は、大和田さんが今のお仕事を選ばれるまでのストーリーにも興味津々。
そのお話はまた次回伺います。

上記の傘は、すべて工場十貨店で購入できます。
ECサイトでも。

2周年感謝祭を開催 9/18(土)~10/17(日)
今回大和田さんのご好意で、このブログを見てご来店いただいた方には店頭にて
『<外の音内の香>を見て来ました』とお伝えいただければ対象商品を20%OFF
としてくださるそうです!(私も行こう!笑)

みなさま、ぜひ!

東京都中央区日本橋室町三丁目2番1号 コレド室町テラス2階
03-6262-1334
12時〜18時
https://ko-bajukkaten.jp

東京都千代田区丸の内1-9-1 大丸東京店9F
03-6206-3238
11時~18時
埼玉県さいたま市大宮区大門町1-32 高島屋大宮店3F
048-729-6580
10時~19時

 

撮影/近藤紗菜


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