「どうせ、わからない」はもったいない!

 

 

このコンテンツ「もっと早く言ってよ!」は、ずっと前から知っていると思っていたことなのに、この年齢になって「あ、そうか!」とやっとわかった気がする体験を、50代の私が、20代だった私に伝えるつもりで綴っています。

ノリコさんぐらいの年齢の時、目の前に広がる「社会」や「世間」といったものが、いったい何なのか、途方にくれたことを覚えています。わからないことがいっぱいで、いったいどこから手をつけたらいいかさえわからない……。ノリコさんも、そうじゃないですか?

でもね、私は今振り返ると、「わからないこと」にもっと真正面から向き合えばよかった、と大いなる反省をしています。「わからないこと」って、「わかる」ためにはどうしたらいいのか、さえ「わからない」んだよね。「わかる」方法が見つからない……。だから見て見ぬふりをする……。

たとえば、お金のこと。どうしたら儲かるのか、どうしたら金銭的に安定するのか、どうしたら将来の心配がなくなるのか……。ノリコさんは、「そんなこと、考えたってわかるはずなんてない!」と思っているでしょう? でも、本当にそうかな?

今、私は50歳をすぎて、やっと「お金」の勉強を少し始めたばかりです。知れば知るほど、「どうして、もっと早くに知っておかなかったんだろう……」と思わずにはいられません。貯金にしても、保険にしても、投資にしても、早く始めれば始めるほどいいんですから……。

ねえ、ノリコさん。「わからない」ことがあったら、徹底的にそれと向き合ってみればいいよ。私たちは、あまりに巨大な「わからないこと」という山の前に立つと、途方に暮れて、登ることさえやめてしまいます。でも、たとえ細い細い道でも、一歩ずつ登ってみれば、きっとその道は頂上まで続いているはず。

知ってそうな大人に「教えてください」って聞きに行ってみる。「こんな知識もないのに恥ずかしい」とか思わずに、どんどんいろんな人に会いにいくことを心からお勧めします。今、私はこの年齢になって、もしノリコさんみたいに20代の子が、「ライターになるためにはどうしたらいいですか?」って真剣に聞きにきてくれたら、喜んで自分が持っているものを手渡すと思います。真摯な思いで「教えて」といえば、きっと教えてくれる人がいる……。私も若い頃に、もっともっと思い切っていろんな人に会いに行けばよかったなあと思います。

いちばん手軽にできる方法は、「本を読む」ってこと。たとえば「お金」について知りたいと思ったら、検索したら山ほどいろんな本が出ているでしょう?「どれから読んだらいいかわからない」と思っても、とりあえず1冊読んでみることをおすすめします。あのね、読書って、その本を読んですぐ回答が得られる、ってものじゃないと思うんです。でも、わからないなりに、2冊目を読んでみたら、1冊目と2冊目で、同じことを言っていることが見えてきたりする。3冊目を読んだら、違うことを言っていることを見つけたりする……。そうやって、だんだん読む本が、線でつながり、やがて面で広がっていくと、ものごとが理解できてくるのだと思います。

「本を読む」という行為は、答えを見つけるためではなく、知識を入れることによって、「何か」にひっかかるフックを手に入れるってことなんじゃないかなあ。

もし「きれいになりたい」って思ったら、美容やおしゃれの本をとことん読んでみるのもいい。メイクを習ったり、好きなセレクトショップで店員さんと友達になったり……。高校生たちが、すごく上手にメイクをするでしょう? あれってまさに「きれいになりたい」って思いがものすご〜く強いから。私もずっと「眉の描き方がわからない」って思っていました。でも、取材で教えてもらったり、ヘアメイクさんに道具をきいたりするうちに、少しずつ描けるようになったところ。ああ、20代から50代まで30年間もへたっぴな眉の描き方でソンしちゃったなあって思っています。

たぶん、必要なのは「わからないこと」を「知りたい」という強い思い……。「どうせわからないから」って横に置きっぱなしになっているものを、ちょっと思い出して整理してみたらどうかな? ひとつ入り口を見つけたら、「知る」ってことが、とってもワクワクするプロセスなんだって、わかってくると思います。
私は、すご〜く遅くなっちゃったけど、今からでも「わからない」の山積みを片付けてみようかなあと思っているところです。


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