はじまりは、いつも思いつき! 中川正子さんの新しい仕事と暮らし vol.1

ちょうど去年の今ごろ。
コロナウィルス感染症によって、ステイホームの毎日が始まり、
当たり前にできたことができなくなった頃……。
どうしたらいいか、「このこと」をどう考えたらいいかわからなくて、
知り合いたちに声をかけて
ZOOMで話を聞きました。そのときの様子をまとめて、この「日々のこと」でご紹介しました。

そのときの参加者のひとり、フォトグラファーの中川正子さんは、
当時、ひたすら家の近所の山の登っていらっしゃいました。
当時のお話がこんな感じ……。

「フォトグラファーの中川正子です。今は、岡山を拠点にして、東京やその他各地に出かけて
お仕事しています。これまでは多い時は週に2回は上京したりの暮らしでしたけど、今はずっと岡山にいます。
STAY HOMEになって、自宅から徒歩5分という位置にある山を歩き始めました。
欲しい刺激とか、新しいものを見たいっていう気持ちを、今は無意識に山に託している気がします」

あのお話会から数ヶ月後……。
中川さんは、オンラインショップを立ち上げて、ご自身の写真の販売を始められました。
「いちださんも、ショップやってみたら! STORESっていうのを利用したらすぐできるよ!」
と連絡をもらい、私もいろいろ調べてみたり……と過ごしておりました。

そうこうしていたら、ある日、中川さんのインスタグラムに「アトリエを借りちゃいました」という投稿が…….
以前から、岡山に「場」を作りたいとお話されていたけれど、
とうとう行動を起こしたんだ〜!とまたまた興味津々で、成り行きを見守っておりました。

さらに、次は「編み物にはまっています」という投稿。
「え〜、あの中川さんが編み物?」とクエスチョンマークが頭の周りを飛びまわりました。

あ〜、中川さんがまた新しい扉を次々に開けているみたい!
あ〜、そのお話を聞いてみたい!
「もし、東京にくることあったら声かけてね〜」とメッセージを送って
「ぜひぜひ〜!」というお返事をもらったものの、なかなかタイミングが合わず、
え〜い!もう「取材」にかこつけて、お話聞いちゃえ!
と今回、再びZOOMでお話を伺いました。

ねえねえ、何かスイッチ入っちゃったの?
すごくいろんなこと始まってるよね〜?
と聞いてみると……。

「いや〜、何か思い立ったとか、決心したとかじゃなくて、
ぜ〜んぶ、自然の流れでこうなっているんですよね〜」と中川さん。

まずは、ウェブで写真の販売を始めたお話から聞いてみました。

中川:いつも、私は後になって気づくんですよね。
振り返ると、あの時スイッチが入ったんだって。
でも、その時、その時は、いつもピンポイントなんですよ。
『あ、お店やってみよう』とか
『お店やるとしたら、元々ポストカードのストックがあるから売ってみようかな』とか
『ポストカードだけだと寂しいから、私は写真家だし、写真作品があった方がいいかな……』とか
そんな感じで少しずつ増やしていったんです。

そもそも、どうしてオンラインショップをやってみようと思ったのでしょう?

中川:以前、アートブックフェアなどに参加したときに、みなさん写真集も買ってくださるけれど、
『ポストカードとかないんですか?』って聞かれることが多くて、少しずつ販売していたんです。
そうしたら、ありがたいことにたくさんの方が購入してくださって……。
一部の写真好きとか、アート好きではなくて、
雑貨のように買いたいっていう方も多いんだなあと肌で感じて。
写真集や写真作品もどこかお店を介するのだけではなく、自分で売れたらいいなと思っていました。
自分の中に散らばる『自分で売れる仕組みがあったらいいな』という思いが、ここ数年間あったんです。

自分の作品の中から選んだ写真を額装し、販売してみると想像していたよりも
びっくりするぐらいの勢いで売れたそうです。

中川:ありがたいことです。ほんとに。
でも、それを家計の足しにしようと思ったわけでもなく(笑)
撮影の仕事がないから、そっちでなんとかしようと思ったわけでもなく(笑)
まあ、コロナで暇だし、自分のウェブサイトもちゃんとしなくちゃというのもずっとあったから、
ホームページを整え、さらにオンラインストアもはじめてみようか……
という思いが、自分の中でふっとつながったんですよ。
そうしたら、便利なツールがそろっているのを知って、ちょっと1日パソコンをいじっていたら、
たちまちデザインができあがって「できるじゃん、これ!」と思って
すぐにアップしたんです。
昔だったら、オンラインショップは、ウェブデザイナーにお願いしないとできないって思ってて、
そこまではできないなあ〜って思ってたのが、
自分でどんどんできるから、「できるんだ〜」ってびっくりしましたね。

上が、当時の中川さんが立ち上げたオンラインストアのトップページ。
写真も、書体の選び方もさすがです!

たまたまやったらできちゃった!
どうやら、中川さんの「はじまり」は、いつもそんな感じのよう。
綿密に計画を立て、準備を整え……と着々と進むというより、
ひらめきが降りてきたら、とりあえず飛んでみる!

その身軽さ、瞬発力にいつも驚きます。
さらに、「ふとはじめてみた」だけなのに、
そのクオリティの高いこと!
それは、きっと「ひらめきが降りて」から、次に進む集中力がとてつもなくすごいから!

直感×集中力
これが、中川さんがいつも新しい世界の扉をあけるときの魔法の正体なのかもしれません。

次は、ご自身のアトリエを持ったお話を伺います。

 

いちばん上以外の写真/中川正子

 

 


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