本当のことは「正解」からでなく、「間違う」ことからスタートする

このコンテンツ「もっと早く言ってよ!」は、ずっと前から知っていると思っていたことなのに、この年齢になって「あ、そうか!」とやっとわかった気がする体験を、50代の私が、20代だった私に伝えるつもりで綴っています。

 

ノリコさん、私はノリコさんぐらいの年齢のとき、「早く人生の正解を知って、そこに向かってまっしぐらに走って行きたい!」って思っていました。その「正解」さえわかれば、私は全速力で、一生懸命走ることができる。だから、いったいゴールはどこにあるのか誰か教えて! って心の底から思っていたのです。
でも、何歳になっても、誰もその「正解」を教えてくれませんでした。そして、やっとこの歳になって、この世の中に目指す「正解」なんてないんだ、ってことがわかってきたところです。

「正解」って「正しい答え」っていう意味でしょう? そう、若い頃私が求めていたのはひたすら「正しい」ってことでした。「間違えていること」は悪くて、「正しいこと」がいいこと。でも、実はそうじゃなかった! そのことをごく最近知りました。

最近ね、ビジネス書を読んだんです。「暮らしのおへそ vol31」で取材させていただいた、勝間和代さんが書かれた「勝間和代のビジネス頭をつくる7つのフレームワーク」という本です。勝間さんって、料理をすべて調理家電で作ったり……とひたすらロジカルで効率的なことしかしない方っていうイメージだったのに、お会いして話を聞き、その後昔のご著書をじっくり読むと、すごく人間的な方だとわかりました。

で! この本でいちばんびっくりしたのは「ビジネス思考」は「間違えること」で磨かれるってことだったんです。

ビジネス頭をつくるためのスタートはまず「仮説」を立てるという論理的思考=ロジカルシンキングから。
これは「手持ちの情報の中から、まだ事実としてつかんでいないことに対して、こうではないかな?と想像、予想すること」と書かれていました。
その後で、水平思考=ラテラルシンキングに移ります。これは、想定した範囲以外から答えを導き出すということ。自分がまったく考えもしなかった領域から答えを見つける……。そのために必要な3つのテクニックは、1、前提を疑う。2、見方を変える。3、組み合わせてみる。さらに、見つけるための4つの実践方法は、1、アイデアの量を増やす。2、アイデアを試してみる。3、失敗から学んで修正する。4、チームを活用する。

勝間さんはコンサルタント時代、しつこく「ゼロベースでものごとを考え直せ!」と言われたそうです。それは視野を広く持つため。

どんなビッグなビジネスも、小さな種になりそうなアイデアを集めることからスタートし、それをいろんなものと組み合わせ、仮説をたて、そしてアウトプットしてみる……。
そこで失敗したら、何かいけなかったのかを考え、さらにブラッシュアップする。
ビジネスはその繰り返しだと……。

私は、このことに大層びっくりしました。
大きなお金が動くビジネスでさえ、「失敗」したっていいんだ! って……。

そして、人が何かをやろうとするとき、どの方法がいいかは、「いいか悪いかはわからないけれど」まずはアウトプットしてみる、ということからスタートするんだって。

ノリコさん、この話を聞いたとき、ああ、私はなんて今までもったいない時間の使い方をしてきたんだろう!って思いました。だって、「失敗しないように」「間違わないように」「正しいように」って、歩いてきたんですから……。つまり、失敗しそうなことは、最初からやならなかってこと。正解率が高そうなことだけを選んでやってきたってこと……。

だからノリコさん、ノリコさんはぜひ、いっぱい間違えてみて!その時は「あちゃちゃ〜!」って、誰かに叱られたり、笑われたりするかもしれない。でも、それがあってこそ「想定した範囲以外からの答え」という、果実を手にできる……。

ちょっと遅いかもしれないけれど、私もこれから「失敗」をやってみたいなあと思っています。進む道がわからない、やり方がわからない。そんな時、「まず正解をさがす」のではなく、自分が持っているモノを総動員して、正しいか正しくないかはわからないけれど、自分だけの「仮説」を立ててみる。間違えてもいいからそれをやってみる。その結果から「どこが悪くて、どこがいいか」を学び、次の一歩を考える……。
それはビジネスだけでなく、人生すべてで使えるテクだなあと思います。

「間違える」ことから何が見つかるか、ちょっとワクワクしませんか?


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