ピンクのリンゴジャム

私にとって、家は職場。用事がない限り、ほとんど外に出ることはありません。
便利なのですが、一日中、工房で仕事をしているとだんだん煮詰まってくることも。
そんな時、台所で料理やお菓子を作って気分転換するのです。
陶器を作る作業に疲れても、台所作業をしていると、少しづつ気持ちがリセットされたり、作りたい器のイメージが固まってきたり、、、工房と台所を行ったり来たりしながら心や体のバランスをとっているように思います。

娘たちが小さかった頃は、台所は子供と過ごす場所でもありました。
子供達にとって、工房はなんとなく空気が張り詰めていてちょっと入りにくい場所。
でも、私が台所で何かし始めるとワラワラと寄ってきて、遊び半分でお手伝いするのを楽しんでいました。
リンゴジャム、マーマレード、オレンジピール、梅ジュース&梅酒、蜂蜜レモン、お味噌、、、、
これまでたくさんの保存食を(遊びながら)子供達と一緒に作ってきました。
初めは、私の周りにまとわりついて、ジャムの鍋に指を突っ込んで舐める、鍋についたジャムをパンで拭いて食べたいとせがむ、(梅ジュース用の)氷砂糖を一人何個食べていいかと永遠に聞き続ける、青梅にかじりついて慌てさせる、などなど、手伝いとは程遠い状態。それでもだんだん、リンゴを剥いたり切ったり、夏みかんの皮をむいて刻んだり、梅を洗って拭いてヘタを取ったり、ちゃんとお手伝いができるようになって、私はほとんど口で指示を出すだけで、大量のジャムやシロップが出来上がるようになり、助かるなあ〜と思っていたのはほんの一瞬。その内、部活や友達との遊びに忙しくなって、週末はほぼ不在。また、私が一人でジャムを煮て、娘たちは食べる専門に。そして気付けば、娘たちの大学生活が始まって、家から一人、また一人と出て行く段になっています。

先日、一人でジャムを煮ながらふと、30年後(くらい?)の自分の姿が見えたような気がしました。
シワだらけの小さいおばあちゃんになった私は、やっぱり、てっちゃん(夫です)の平鍋で大量のリンゴジャムを煮て、子供達に届ける準備をしていました。そう、多分、私はこれからもずっと、娘たちが遠い所でそれぞれの暮らしを営むようになっても、春には苺ジャム、夏にはブルーベリージャム、秋にはリンンゴジャム、冬には夏蜜柑のマーマレードを、季節が巡るように届けてゆくのだろうな。いちど浮かんだこのイメージ、「明らかに一人では食べきれない量のリンゴジャムを煮る約80歳の私」は、その後、白いシャツについた醤油のシミのようにしみこんで、頭から消えなくなってしまいました。「80歳になっても2キロ近くのリンゴをジャムにするのは体力がいりそうだし、頭もそこそこしっかりしていないとね。。。」かくして、このビジョンを実現すべく、これからの私の30年は筋トレとか脳トレに励まなければならないような?そんな予感のする2020年師走なのでした。

みなさま、どうぞ良いお年を!

 

<材料>(5人家族の朝食と何人かの友人に配る分。量は調整してください)

リンゴ 7個(皮とヘタを除いた正味1500gくらい)
グラニュー糖 750g (リンゴの正味の50%から始めて、最終的に自分好みの甘さに調整するとよい)
レモン 2個(タネを除いて絞る)
水 適量

1. リンゴの皮をむき、ヘタを取って8等分にし、いちょう切りにする。色が変わらないようにレモン汁の半量を回しがける。無農薬のいいリンゴがある時は、皮を少し取っておいて、お茶パックに入れ一緒に煮ると綺麗な色になる。
2. 圧力鍋に1のリンゴの半量とお茶パックに入れた皮、水200ccを入れて火にかけ、シューっといったら弱火にし10分くらい加熱して火を止める。鍋を水につけて急冷し、大きめの鍋に移す。お茶パックの皮は少し絞って取り出す。残りの半量も、同様に加熱する。(圧力鍋を使うと大量のリンゴを一気に柔らかくできるので便利ですが、もちろん、お鍋でゆっくり煮てもいいです。)
3. 圧力鍋でくたっとしたリンゴに砂糖を加えて中火にかけ、煮立ったら、ごくごく弱火にして煮詰めていく。
焦げ付きやすいので、木べらで頻繁に底から全体にかき混ぜる。少しぽってりしてきたら、味見をして、甘さを調整し、レモン汁を加えて軽く煮立たせて仕上げる。冷めると、固くなるので、少しゆるいくらいで止めると良い。
4. 熱いうちに煮沸消毒した瓶に詰めて蓋をする。

ちょっとワイルドなリンゴとレモン、農薬無し

 

レモンを絞って

 

無農薬のリンゴがある時は、皮をまだらに剥いて一緒に煮るとジャムが綺麗なピンク色に

 

いちょう切りにしながら、色が変わらないようにレモン汁の半量くらいをまぶしておく

 

剥いた皮を着色用にお茶パックに入れる

 

今回の量の場合、2回に分けて圧力鍋でリンゴとお茶パックに入れた皮を煮る

 

大きな鍋に移して

 

砂糖を加えて中火にかける

 

煮立ったら焦げないように時々混ぜながらごく弱火で煮詰めていく

 

煮詰まって全体にぽってりしてきたら、味見をして甘みが足りない場合は砂糖(分量外)で調整し、残りのレモン汁を加えて軽く煮立てて火を止める

 

ジャムが熱いうちに煮沸消毒した瓶に詰める

 

大谷家では当然、ジャムはバターと一緒にトーストにのせる。
甘くて、ちょっとしょっぱくて、たまらない美味しさ!

 

ジャムのピンクとヨーグルトの白のコントラストの美しさに見惚れる…


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