6年間をかけて自宅を片付けたのち、新生鈴木尚子誕生!     鈴木尚子さん vol4

昨日は、久しぶりに夫も私も自宅にいる日でした。
昼食にスープを作ったのに
「さっきグラノラ食べたからいらない」と言われてムカ〜ッ!
さんざんむかっ腹を立てたあと、
「私だってお腹がすかないときに、食べるのイヤだよね……」とちょっぴり反省しました。
いちばん身近な人に優しくするって、本当に難しい……。

夫婦って、なんだろう?
みんな、どうやって「夫婦をやって」いるのだろう?
そんなことを知りたくて始めたこの連載「夫婦って、なに?」
ライフオーガナイザーの鈴木尚子さんにお話を伺っています。

第3話では、「不機嫌を続けているのはこの私なんだ……」
と人生のスイッチがパチンと切り替わり、片付けを始めたお話を聞きました。

それにしても、6年間も飽きずに諦めずに、
家の中を片付け続けたという粘り強さには驚くばかり。
しかも、片付けている最中は、相変わらずご主人との喧嘩は絶えず、
お母様からは家事についてダメ出しを受け、息子さんはいうことを聞かず……。

そこで、鈴木さんは、手を動かしながららも、片付けの一歩奥にある
「心の片付け」に取り掛かったのだとか。
「実際に部屋は片付いているのに、心はザワザワしたままだったんです。
自分の心が整わないと、片付けってうまくいかないんだなって思いました。
空間と心ってリンクしているんですよね。
私の心の中や考え方が変わらないと、いくら片付けてもすぐリバウンドするんです。
ひとつずつ、これは大事なのかな?とものと向き合うことで、自分と向き合っていきました。そうやって、6年間かけて、すこしずつ自分が大事にしたいものが見えてきたかな」。

そんな片付けの最中に、鈴木家では、新居を建てることになりました。
そして引越した頃には、部屋はすっかりきれいに片付いたそう。
そこで、鈴木さんはおそるおそる新居に友達を招きます。
「当時、私は子供を外に出すことが恥ずかしかったんです。
よその家に遊びに行っても、すぐにおもちゃをガッシャ〜ンとひっくり返すし。
でも、自宅だと誰にも迷惑をかけないじゃないですか?
部屋が片付いたことで、ママ友たちに来てもらえるようになって、
閉ざされていた友達関係が少しずつ開かれていきました。

そうしたら、みんなに『どうしてこんなに片付いているの?』
って言われるようになったんです。
『私も最初は全然片付けられなかったんだよ』って言ったら、
『じゃあ、うちも片付けて欲しい』って言われて……。
「でも、あなたの家って綺麗だったじゃん』っていうと、
「それは、人が来る前に、ちらかっていたものを紙袋に突っ込んで
押入れに隠しているからだよ」って! 驚きましたね〜。
そんなことをやってたんだ! 片付けられないのは私だけじゃなかったんだ!って」。

この頃から友人たちにすすめられてブログで自分のことを赤裸々に語り始めました。
「『今こんなにきれいに暮らしているけれど、実は汚部屋出身です』って書きました(笑)。
当時そんなに正直に自分を出して書いている人っていなかったんです。
私が一番伝えたかったのは、子供がいちばんかわいい時期、
私は不機嫌に片付けばっかりして終わっちゃったということ。
本当だったらすごくかわいいはずだった子供のことを
『どうしてこんな子なんだろう?』と思いながら育ててしまったこと。
それは、すごくもったいないことだから、私と同じようなことはして欲しくない。
そんな思いでした」

すると、ブログのランキングはぐんぐんと上昇。
そして「整理収納アドバイザー」の資格を取得し、その報告をしたとたん、
「うちに片付けにきてください!」という依頼が殺到しました。

「そんな様子を見た義母が『あなたは外に出た方がいい』って言ってくれたんです。
『あなたは、外に出て誰かの役に立てる力を持っているから』って。
夫までが『働いてみればいいんじゃない?』って言い出して……。
『やっぱり家の中に収まっている人じゃないと思う』と言い出した。
やっと気づいたの?と思いましたね(笑)」

 

こうして、新生鈴木尚子が誕生したというわけです。
私が驚くのは、鈴木さんはどこかに片付けを習いに行ったわけでも、
誰かに心のあり方を教えてもらったのでもなく、
このプロセスすべてをご自身の葛藤と試行錯誤と分析と整理の中で
構築されていったという点です。
その経験すべてが、今の「スマートストレージ」での仕事に生かされています。
子育てや片付けに悩むすべての女性が、
自分を取り戻し、生き生きと生きるお手伝いをするために、
神様があのつらい時期を鈴木さんの人生の中に
プログラミングしたのではないか?とさえ思えてきます。

「自分で気づく力」ってすごい!

次回は、新たな仕事で忙しさマックスになってからの夫婦関係について伺います。

撮影/近藤紗菜

 

この連載をまとめた書籍「ムカついても、やっぱり夫婦で生きていく
絶賛発売中です!

「どうにもならなさ」が、夫婦で生きるといういことを、
面白くしているんじゃなかろうか? と思うようになりました。
自分と違う人間を自分の中に取り込むことで、
人生は太く奥深くなり、予想外の方向へと転がり出す……。
それが、ひとりでは得られない、共に生きるとおいうことの
味わいなのだと7人の方のジタバタが教えてくれた気がします。

「おわりに」より


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