ライフオーガナイザーの鈴木尚子さんに初めて会ったのは、
「暮らしのおへそ」別冊の「時間を、整える」というムックの取材でした。
整理整頓のプロということで、さぞかしきっちりした几帳面な方なんだろう、
と思いながらご自宅に伺い、話を聞き始めてびっくり!
「私ね、片付けができるようになるまでは、汚部屋に住んでいたんです。
そして、私の人生がうまくいかないのは、全部人のせい、って思っていたんですよ」。
え〜っ?
「ある時、主人に家事の不満、育児の不満、環境の不満をぶちまけて、大喧嘩したんです」。
なんと〜! ずいぶんイメージと違う……。
目の前にいらした鈴木さんは、とにかく自分に格好をつけない、愉快な方でした。
時に「べらんめえ」口調で夫や家族のことをこき下ろし、
でもそのすぐ後に「どうしてそうなるか」を分析し、必ず解決策を導き出す。
話を進めるうちに、どんどんその人柄に引き込まれ、
「鈴木尚子」という人物について、もっともっと知りたくなっていきます。
どんな時にも、人生に本音で向き合い、自分に嘘をつかない。
だからこそ、今まで歩いてきた道まるごとが、どこかの誰かの役に立つ……。
そんな鈴木さんの発信に片付け以上の生きる力を与えてもらえると、
多くの人が共感するのだなあと納得したのでした。
アパレル会社勤務を経て、専業主婦に。
出産後、どうにもうまくいかない子育てにイライラし、部屋はしっちゃかめっちゃか。
そこから抜け出すために、引き出し1個を片付けたのが、今へつながる第一歩だったそうです。
その後、ライフオーガナイズを学び、個人向けに片付けと、
ファッションのスタイリングサービスを提供する「スマートストレージ」を立ち上げられました。
私は鈴木さんのブログの大ファンで、facebookで更新のお知らせがあるたびに、
ワクワクとページを開きます。
今年3月、そのブログのタイトルを見て、えっ?と目を疑いました。
以前の取材の際に、5年前に大腸癌を煩われたことは聞いていました。
今回のブログには、昨年末に乳がんが発覚したこと。
検査、宣告を経て、冷静に家族に伝え、きちんと仕事をこなす鈴木さんの姿が綴られていました。
そして、その経験を「生きている限り全てネタ!」と笑い飛ばし、
さらに「誰かの役に立つように」と、どう対処したかを綴られていたのです。
実は私がこの「夫婦のはなし」のインタビューをさせていただきたい、
とお願いしたのが2月16日でした。
鈴木さんの手術は2月6日。つまり取材を快諾いただいたのは、
術後まもない頃だったと知って、思わず涙がこぼれました。
それなのに……。取材依頼に対して、鈴木さんはこんな風にお返事をくださったのでした。
「夫婦の話? う〜ん、私に話せることがあるかな?
紆余曲折を経て、相手に期待を持ちつつ自分を変えてきました。
でも今は、子供が成長したら、普通ではない夫婦のかたちがあるのかな?と思っているんです」。
なんとなんと! 「普通ではない夫婦のかたち」ってなんなのだろう?
お話を聞くのが益々楽しみになって、インタビューの日を迎えたのでした。
次回から、そんな鈴木さんの夫婦のお話をじっくり伺います。
撮影/近藤沙菜
このウェブでの連載を書籍にした「ムカついても、やっぱり夫婦で生きていく」
(本では、ウェブの記事よりも、もう少し詳しい内容になっています)
昨日、重版が決まりました。
ばんざ〜い!!
手にとってくださったみなさまのお陰です。
まわりで、ムカついている人、夫婦のことでもやもやを抱えている方がいらしたら
ご紹介いただければ嬉しいです。