「子供を授かってから、 “できること”と”できないこと”を明確にした」大内美生さん vol.4

「お母さんが働くって、どういうこと?」というテーマで記事を書かせていただいています。

町田市で地域活動をしながら、
フリーランスでイベントや展示会などの企画・デザインをしている大内美生さんにお話を伺っています。

前回は、インテリア・ショールームビル「東京デザインセンター」で働きながら、
作り手を繋ぐイベント「NOMADIC CIRCUS (ノマディックサーカス)」を始めるまでのお話でした。

 

8年間待ち続けて、待望のお子さんを授かったそうです。

「目の前に子供が来てくれて、私をやっと母親にしてくれた。
母親という仕事を与えてくれたなら、
せめて幼稚園に入るまでは思いっきり母親業をやりたい、と思いました」。

悲しみを乗り越えて、
お子さんを授かった喜びを思うと、
私も胸が震えます。

“自分のことはしばらくいい”と思ったものの、
出産後も各方面から展示会の企画などのオファーは絶えなかったそうです。

「ブランディングを依頼されたり、
母になったことでベビー用品のメーカーさんからの執筆依頼や、
広告などへ親子出演オファーなど、新たな分野の依頼も増えました。
“NOMADIC CIRCUS”の企画展も形を変えて続けていました」。

子供を授かってから、
「できること」と「できないこと」を明確にした、という大内さん。

「できることは、ポップアップやイベントの企画ディレクション。
クライアントの希望を汲んでコンセプト提案から進行管理、
内容や時期、ターゲット層の設定、
SNSやチラシ、どういった媒体で告知をするかなどのマーケティング、
出展者のマッチング、出展料や条件面でのコーディネートもします。

逆に、できないことは子連れで現場に入ること。
会場が商業施設内であれば、深夜や早朝の設営や子連れ接客などはできません。
だから、代わりにスタッフを雇うなどして
それでも“大丈夫ですよ”と言ってくださる取引先とだけお仕事をしてきました」。

こういう風に頭の中を整理できることができる人は本当に賢いなぁと思うのです。

日中は子供と住んでいる町で過ごす時間が自然と長くなっていったそうです。

お子さんが幼稚園に入る前、
ある一人のママとの出会いが、
大内さんの次の扉を開いていくことになります。

「幼稚園に入るまでの3年間、子供とよく家の近所を散歩していました。
ある日、いつものように散歩していたら、
子連れの一人のママと出会いました。

聞けば、お隣のマンションにお住まいの保育士さんでした。

次第に親しくなり、
未就学児のいるお母さんたちの心の拠り所になるような、
子育てサロンを開きたいね、という話をよくしていました。

私も彼女も引っ越してきたばかりで、
最初は知り合いもいなかったですし、
どこに行っていいかも分からなかった。

当時、住んでいる町は再開発中。
再開発されて大きな町になったら
ご近所付き合いがさらに希薄になってしまうのではないか、と懸念していました。

道路で子供が泣いていても知らん顔ではなくて、
近所でおじいちゃんが歩いていたら、
あら、あのお家のおじいちゃんじゃない、と
そういうことが分かるご近所付き合いがしたい。

災害時や困ったときに手が差し伸べられるような、
まちづくりがしたいと思っていました」。

その頃、偶然にも
お住まいの町田市では、
チャレンジ事業として市民の取り組みを支えるプログラムが始まっていました。

事業が認定されると助成金が交付されます。

「ある日、お料理教室に誘われて、
ご近所に住む甘酒料理家さんのお宅に伺いました。
そこで一緒だった参加者が、同じようにまちづくりへの想いを持っていて。
たまたま全員がチャレンジ事業へのエントリーシートを持っていたんです!」

そして、仲間たちと「地域の魅力を集め、イベント開催やフリーペーパーの発行などを通して地域交流の場づくりをする」
という事業でエントリーしたそうです。

すぐに行動に移すのが大内さんのすごいところ。

次回は、まちづくりのお話について詳しく伺います。


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