好きなことが仕事になったら、家事がうまくまわらなくなった! 本多さおりさん vol2

「夫婦って、なあに?」というお話を伺うこのコンテンツ。
3人目は、整理収納コンサルタントの本多さおりさんです。
第一話では、片付けなら自分で考え、工夫すればうまくいくのに、
子育ては、考えても考えてもうまいくいかない。
子育てがつらい……。
それを夫にわかってもらえないのがもっとつらい……というお話を伺いました。

夫とは、高校の同級生だったそう。
最初に好きになったのは本多さんの方。
「いつもおどけていて、大きな声で笑ってて。とにかく明るい人なんです。
私が通っていたのは真面目な校風の学校だったので、その明るさが光って見えたんですよね。
クラスのムードメーカーっていう感じでした。友達に協力してもらって、私から告白したんです」。

別々の大学に通い、就職して数年後の25歳の時に結婚。

この人が生涯の伴侶だという決め手は何だったのでしょう?

「一緒にいて、精神が安定するんです。楽しませてくれるし、害がないんですよね(笑)。
喧嘩でも、私が何か言い出さない限り、向こうから仕掛けてくることはありません。
平和なんです。結婚後も私の機嫌のアップダウンに耐え忍んでくれました」。

つまり結婚当初から、暮らしはすべて本多さんペース。

「私はたぶん、やってあげたい派なんです。
主導権を握るほどではないかもしれないけれど、
誰かに引っ張ってもらうよりは、自分で考えて動きたいタイプ。
夫は逆に、もし身近にそういう人がいればラッキー!ついて行こう!っていうタイプで……。
『あなたがいいと言うなら、僕もいいと思う』という人なので、相性がよかったんだと思います」。

それにしても、25歳という若さで、ご自身のことをきちんと分析できたクレバーさはさすがです。

 

 

本多さんには、夫に出世して欲しい、という願望はあまりなかったのだと言います。

「生きていくにはお金が必要だし、子供を育てていくにはお金がかかる。
お金って本当に大事なんだなってことが、やっとこのごろわかってきたぐらい(笑)。
彼自身にも出世欲はあるのかないのか、どっちつかずの感じ。
出世すれば年収はあがるけれど、その分責任が重くなって、
家族の時間も犠牲にするのが目に見えているからって……」。

結婚当初、意外や本多さんは専業主婦でした。
そして、ご主人との喧嘩の種は、もっぱら本多さんの仕事について。
ご主人は、本多さんにも働いてもらいたかったのだと言います。

 

「自分の収入だけじゃ不安だし、『俺について来い!』っていうタイプでもないから、
『俺がぐらついたらふたりとも倒れる』という不安があったみたいです。
『あいつの家は、ダブルインカムだから強いよな〜』って知り合いの話をしたり……。
「それって私への嫌味?」と喧嘩になっていました。
『いや、私だって働くよ』『ちゃんと考えてるよ』って」

 

 

自分を生かせる仕事ってなんだろう? 本当に好きなことってなんだろう?
と模索する中で、知り合いのカフェオーナーにこう言われたそう。

「好きなことって、知らず知らずのうちに、やっちゃっていることなんだよ」。

「『もうやっていることってなんだろう?』と自分の周りを改めて見渡してみたら、
『私、片付けてるわ〜!』って思ったんです(笑)。
カフェや化粧品売り場などでアルバイトをしていた時も、
暇さえあれば、片付けていました。
バックヤードや在庫の倉庫ってすぐに散らかるんですよね。
私がやらずにはいられないことって『片付け』だ!って思ったんです」

ちょうどその頃、整理収納アドバイザーという資格があることを知りました。
さらには雑誌「エッセ」の読者リポーターに応募すると即採用。
整理収納アドバイザーの資格を取りながら、取材を受け、
思いつたことをどんどんやってみたそう。

これが、今の本多さんの仕事のはじまりでした。
資格取得後は、個人宅へのお片付けサービスを開始。
仕事はたちまち軌道にのり、たまたまブログの読者だった編集者に声をかけられて、
初めての著書の出版もトントン拍子に決まりました。

ところが……。仕事が忙しくなるにつれ、だんだん家事との両立が難しくなってきました。
そんなある日、本多さんはとうとう夫に対してプチン!と切れてしまったのだと言います。

やりたいことが見つかったのに、
今度は夫婦の間がうまくいかなくなった……。
次回は、なにに「プチンと切れた」のか。
本多さんの不満の中身について伺います。

 

撮影/近藤沙菜

 

 

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「ムカついても、やっぱり夫婦で生きていく」
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