今回、「ワガママン」として登場いただくのは、
東京西荻窪で紅茶教室「お茶時間」を主宰している村上みゆきさんです。
私は、いつからだったかインスタグラムをフォローさせていただいて、
そこにアップされるケーキやクッキー、紅茶、
たまには日々のご飯まで……。
そのたまらなくおいしそうな写真に、いつも舌なめずりしていたのでした。
でも、おいしそうだけじゃない……。
そんな予感がしていました。
細やかで、でも決して押し付けがましくない。
きっと、完璧な準備をされているだろうに、
「よかったらどうぞ〜」的な、ゆるやかな空気が流れていて、
なんだか見ているだけでほっとして、心地いいのです。
紅茶教室に行ってみようかなあと考えていた時、
「よかったら、お茶会にいらっしゃいませんか?」
と誘っていただきました。
その時からのご縁です。
今回久しぶりにお邪魔すると、
まず出してくださったのが、ホットアップルジュース。
てっきり紅茶が出てくるものと思い込んでいただけに、
思わぬフェイントにびっくり!
でも、これがおいしかった〜。
「小鍋にアップルジュースとシナモンを砕いて入れてから、火にかけるんです」
と教えてくれました。
ぷ〜んとスパイシーな香りがして、りんごのすっぱ甘さだけでない
大人の味わいです。
これは、帰って真似してみよう!
と思ったのでした。
そして「サプライズ」もおもてなしのひとつなんだなあと。
幼い頃、本屋さんでお菓子作りの本を買ってもらい、作り始めるや否や大好きになってしまったそうです。
「丸々1冊全部作れるようになって、次は母が持っていた立派なおお菓子の本を見ながら、
作れるものから作り出して……。
中学生になって進路を考えるときに、母が買っていた「オレンジページ」をパラパラ
見ていたら、『製菓学校』というものがあるって初めて知りました。
絶対ここに行く!って思ってたら、高校卒業していないと入れないということがわかってガ〜ン!
慌ててぶっつけ本番で受験しました」と笑います。
辻調理師専門学校を経て、近所のケーキ屋さんに勤務、その後アフタヌーンティーに勤め
紅茶教室に通って勉強しなおした後に独立。
ざっとその経歴を聞いても、その真ん中には必ず「紅茶」と「お菓子」があったよう。
「自分が何者になるかなんて、ず〜っとわかりませんでした」
と語ります。
でも、今回お話を聞いていると、近所のケーキ屋さんで働いていても、
アフタヌーンティーでも、その後紅茶教室を開いたものの、
なかなかそれだけでは食べられなくて、アルバイトをしたときも
「楽しかったんです〜!」とニコニコと笑います。
けれど、どんな時にも、お菓子について、紅茶について突き詰める緻密さといったら!
「気が長いのと、しつこいのと、粘り強いっていうのが、自分の性格っていうのが
やっとこのごろわかってきました。
うちの母親にずっと言われ続けていたのは『頑固だから』という一言。
やりたいことしかやってこなかったと思います。
自分がこうって思ったら、あんまり人の話を聞かず、それをやるぞ!って突き進むので、
いつも周りの人が突然の変化に『えっ!』ってびっくりするの。
でも、私にとっては、ずっとずっと考え続けてきたことなんです」
そんなお話を聞いて「やっぱり〜!」と思いました。
そう、つまり村上さんはきっと、「ワガママン」だってこと。
これから、そのワガママンぶりをゆっくり伺ってみることにしました。
おいしいケーキとお茶をいただきながらの、
幸せなインタビューをお届けします。
撮影・清水美由紀