「今」の先には、5年後、10年後がつながっている。

台風の影響で、東京は朝から曇りです。
みなさまの地域はいかがでしょうか?

私は連日「大人になったら着たい服」の撮影へ。
昨日は早めに撮影が終わって帰路へ。
4階にある自転車置き場にふ〜ふ〜言いながら登ったら
夏の青空が広がっていました。

さて……。
最近、NHKのテレビドラマ「舟を編む」を楽しみに見ています。
三浦しをんさんの小説を、ずいぶん前に夢中になって読んだけれど、
細かい内容はすっかり忘れてしまい
(いつもそう……。めちゃくちゃ面白かった!ということは覚えているけれど、
ディティールが思い出せませんん)
新鮮な気持ちで見ています。

知らない方のために少し説明すると(ネタバレあります)
人気ファッション誌の読者モデルを経て、編集部に入った主人公が池田エライザさんが演じる岸辺みどり。
そのファッション誌が廃刊になり、
辞書編集部に移動になります。
「え〜、私が?」と落ち込んでいたのに、
辞書編集部の上司、野田洋次郎さん演じる馬締光也らと共に
辞書編集にかかわるうちに、
その魅力を少しずつ知っていくというおはなしです。

前回は、10年以上もかけて辞書作りをしてきたのに、
紙の辞書はなくして、デジタル化するという会社の方針に
編集部が立ち向かう、というハラハラするストーリーでした。

その中で、とても心に残った言葉があります。
それが「今はゴールじゃない」
という一言。

紙の辞書はなくす、という会社の方針に落ち込んで、
女性ファッション誌時代の編集長に会いにいくみどりさん。
その編集長が言った言葉です。
正確には覚えていないけれど、

若い頃は、『今』がゴールだと思っていた。
努力したり、がんばった結果の「今」。
それがうまくいかなかったら、落ち込んでいたけれど、
でも歳を重ねて、「『今』は通過点にすぎない」と知った。

ということです。

「今」の先には、5年先、10年先がつながっている。
歳を重ねることで「その先」が見えるようになった。

挫折が夢の始まりだったり、
別れた2人がまたくっついたり、
つらいを思いをした友達が、今目の前でゲラゲラ笑っていたり……。

その言葉を聞きながら、
なんだか目の前がパッと明るくなった思いでした。

そして、このテーマが、ストーリの中で、二重、三重に折り重なっていきます。
ここのところの展開が素晴らしい!

辞書編集部では、柄本時生さん演じる人気の装丁家ハルガスミさんに、
辞書の装丁を依頼します。
ハルガスミさんにお願いすれば、中が白紙でも本が売れると言われる人です。
でも、本人は「それでは辞書に申し訳ない。僕はもう装丁なんてやめたい」
と言います。

そんなハルガスミさんにみどりさんは、
「やめないでください。おわらせないでください。
私たちは、必ずあなたをその先へ連れていきます」

と言ってくどきます。

「今」の先に行くには、仲間が必要なんだなあ〜。

そして、紙の辞書を作るか作らないかという会社の会議で、
社長に「勝算はあるのか?」と聞かれた馬締さんは語ります。
「あります。その方法が、作り続けることです。
絶やさなければ、いつか世界で最後の紙の辞書になります。
そうなれば、一人勝ちです!」と。

今は、通過点に過ぎない。
今が苦しくても、その先に続きがある。
その先に一緒に行ってくれる仲間がいる。
続けることが、「その先」へ行くための唯一の方法……。

つい視野が狭くなり、
今がすべて、と考えがちだけれど、
この先に道が続いているとしたら……。

少しでもその道が明るくなるように、
「その先」にある幸せを信じてみたくなりました。

NHKプラスでは、前回の放送を見ることができます。
よかったらぜひ!

みなさま、今日もいい1日を。


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