時間をかけてわかっていくこと

梅雨は、実りの季節でもありますね。
梅の実はもうすっかり落ちてしまったようですが、
びわやさくらんぼなどがたわわになっていたり、
ウォーキング途中の柿の木には、小さな固い緑色の実が姿を見せて
思わず嬉しくなってしまいました。

「何かの実」って、見つけると、どうしてワクワクするんでしょうね〜。

みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
私は、いよいよ「おへそ」の執筆時期に入り、
なのに、ちょっと出かけなくてはいけない用事もあり、
落ち着かない日々を過ごしております。

そんな中、「国宝」を見て「なんじゃこれ?」
とその世界観にびっくりたまげ、
その勢いのままに、なんと歌舞伎座に歌舞伎を見に行ってしまいました!笑

お恥ずかしながら、歌舞伎には30代の頃に1度行ったっきり。
なんだか訳がわからないし……。
とか
奥様方のたしなみだし……。
と、自分とは縁遠いものに感じていたのでした。

今回、改めて調べてみると、
ネットで簡単に予約ができ、
数日後にはもう歌舞伎座へ。

演目もしらないし、役者さんについても、
海老蔵さんとして知った市川團十郎さん、
藤原紀香さんとご結婚されて知った片岡愛之助さん、
テレビでお馴染みの香川照之さんの市川中車さんと、
極めてミーハーな知識しかありません。

それでも、「国宝」の中に流れている「あの世界」はなんだったのか、
身を持って感じたくて、出かけていったのでした。

ちょうど、オーディブルで読み手を務められていた
尾上菊之助さんが、8代目菊五郎を
11歳の息子さんが、6代目菊之助を襲名する
襲名記念公演でもありました。

なんにも知らない初心者なので、
イヤホンガイドをゲット!
どきどきしながら席に座ると、艶やかな菊で富士山が描かれた祝幕を眺めただけで、
もう異次元の世界にやってきたような気がします。

あれ?
若い時には、こんなふうに感じなかったのにな。
あの時は、理解しすぎようとしてわからずに、ただただ退屈だけだったのにな、
と年齢によって感じ方が違うことにも驚きました。

奮発して花道近くの席だったので、
よく見えて、
何を言っているのかは、ほとんどわからなかったけれど、
イヤホンガイドのおかげで物語の筋はなんとなくつかめたし、
襲名披露の口上も素晴らしかった。
菊五郎さんと菊之助くんは、この舞台までにどれほどの稽古を積んだのだろうと思うと
胸がいっぱいになりました。

そして、改めて思ったのでした。
歌舞伎は数百年も変わらぬ芸を、その型通りに引き継ぐものです。
この日見た演目は、もう何百回も違う役者さんたちによって演じられてきたもの。
それってすごいことじゃないか!って……。

そして、これは観客の側も、
ぽっと見に行ってすぐ理解するのではなく、
長く通い続け、
○代目が演じたのはこうだったけれど、○代目はああだったね……、
と、果てしない時間をかけて鑑賞するものなのだなあと。

この「歌舞伎は、時間をかけて感じわかっていくもの」
ということが、
いちばんの発見でした。
この年齢になっていまさらではありますが……。

世の中には、時間をかけないと見えないものがある……。
それって、歳を重ねるうちで、お楽しみがずっと続くってことで、
それを「面白いなあ」と感じられるようになったのも、
この歳になったからなんだろうなと思います。

すごく遅くはあるけれど、
私にとっては、今が歌舞伎デビューのベストタイミングだったのかもしれません。

思い切って出かけてみてよかったなあ〜。

知らないことを知るって楽しいものです。

 

みなさんは、最近知った新しい世界はありますか?

 

 

今日もいい1日を〜


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