文字に意識がいかない文字を作る

桜の花が一輪、二輪と咲き始めました。
朝のウォーキングコースを少しだけ変更して、
公園脇の道を通って、桜チェック。
遠目では「あれ?まだ全然咲いてないなあ〜」
と思ったけれど、近づいていくと、
「あ!咲いてる!」
と枝先に、ぽつんぽつんと咲き始めた花を見つけました。

そんな姿を見ながら、
若い頃は、いちばん先に咲いてやるぞ!
と意気込んでいたんだよなあ〜と思いました。
でも、一番先に咲いたら、早く散る……。
追いかけるようにやっと咲いた花は、最後まで咲き続ける。
そんなことが、この年齢になってやっとわかるようになりました。
「急がないで、ゆっくり咲きな」
心の中で、つぶやきながら桜の木を見上げながら歩いておりました。

帰りには、コンビニでボックスティッシュを購入。
6つセットなどの方がリーズナブルなのはわかっているのだけれど、
置き場所を取るので、
なくなったら、買いに行くという方法にしています。
我が家は夫婦ふたりだけなので、
そんなにティッシュの減りが早いわけでもなく、
それで十分。
リビングに置くティッシュは、鼻をかんでも赤くならないように、
ちょっといいものを。
洗面所に置く方は、安い方をと使い分けています。(笑)

いつもは安い方は、真っ黒なパッケージのものを買うのだけれど、今日はなかったので、かわいらしいデザインを。

先日「情熱大陸」で、書体設計士の鳥海修さんの回を見ました。
私たちが使っている、パソコンのフォント「ヒラギノ明朝体」を作ったのは
鳥海さんなんだと初めて知りました。
そのほかも、高速道路の地名の表示だったり、
スマホの文字だったり。
あのスティーブ・ジョブスも鳥海さんの書体を気に入って、
マックへの搭載が決まったそう。

ほんのちょっとのカーブの角度、
ほんの少しの太さの違いにこだわって、
一文字を設計する。
こんな仕事があるんだと驚きました。

その中で、とても印象に残った言葉がこれ。

「文字に意識がいかない文字を作る」

かっこいい!
美しい!
と気づかれるのではなく、
当たり前に通り過ぎてしまうような文字。
たぶんそれは、いやなところがひとつもなく、
空気のように、水のように、
人に自然に取り入れられるってことなんだろうなあ〜。

そして、私もそんな文章が書けたらいいなあと思ったことに、
自分で驚いてしまいました。

私は、「いちだのりこが書いた」とわかる文章を書きたい、
私らしい文章を、私にしか書けない文章を書きたい、
とずっと思ってきたのだから……。

でも、そこに書いてある内容が、
「本当にそうだよね」という気づきや、
「そうそう、私もこう考えていた」という共感や、
「そうか!そうだったのか!」という発見になって、
読み手の心に深く刻まれるとしたら、
その文章は、私から離れた「真実」となっているはず。
それは、誰が書いたかは関係なく、
その「内容」が、
読み手の人生とリンクして、その人の中に蓄積されるのだと思います。
だったら、私はそんな文章が書きたい……。

「ねえ、ねえ、見て見て〜!私が書いたんだよ!」
という自己主張はそろそろ卒業して、
自分の姿をできるだけ小さくし、
読んでくださるみなさんの心にす〜っと染み込んでいくような、
そんな文章が書けるように、
精進したいなあと思ったのでした。

さ!これからもがんばろ!

みなさま、今日もいい1日を。

 

 


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