今年の目標は「この人のために」

あけましておめでとうございます。

いつも、この「日々のこと」を読んでくださるみなさま、本当にありがとうございます。
どこかの誰かの日々の暮らしの中に、
このサイトをそっと開いてくださる時間がある……。
そう想像するだけで、ああ、これからも頑張って
小さなことを丁寧に綴っていこう、と思うことができます。

みなさま、どんな新年をお迎えでしょうか?

先日、買い物に行く途中に、
木蓮のつぼみが大きく膨らんでいるのを見かけました。
もう春は着実に近づいているのですね〜。

さて……。
今年の目標は、「この人のために」です。

なんだか、よく聞く言葉ですよね〜。

年末にあさイチを見ていたら、俳優の松下洸平さんが出ていらっしゃいました。
実は私、彼のことをよく知らなかったのですが……。

そんな彼の言葉にびっくりしたのでした。

映画やドラマに出演する時、
例えば、「光る君へ」なら、主演の吉高由里子さんのために、何ができるかを
ひたすら考えるのだそう。

へ〜〜〜!

俳優さんって、自分がいかに良い演技をするか、を
一番に考えるものかと思っていました。
そうじゃなくて、「吉高さんのために」「何ができるか?」と考える……。

そこで、はたと振り返ったのでした。
私は、周りにいる誰かのために何ができるか?なんて
考えてないんじゃないかって……。

常に、いい文章を書くためにはどうしたらいいだろう?
いい本を作るためには、どうしたらいいだろう?
どうしたらもっと成長できるだろう?
幸せな1日を送るためには、どうしたらいいだろう?
と考え続けてきた気がします。

つまり、いつもベクトルが自分自身の方を向いていたということ……。

いい文章を書き、いい本を作り、いい仕事をしたいと思うのは、
それが、私にとって幸せだ、と思うからです。
じゃあ、「いい文章」の「いい」ってどうやって判断するの?
と考えると、
誰かが「いい」と言ってくださること……。
できるだけたくさんの「いい」を手にしたい。
ずっとそう考えてきました。

でも……。
たくさんの「いい」がどこにあるのか、
どうすれば、それを集められるのか、
ちっともわかりません。

本が売れて、重版がかかるとそれは嬉しいけれど、
その「いい」を求めていると、
自分が空回りしている気がしてくるのです……。

私は、どこにあるのかわからない「幸せ」を求めて
走り続けている……。

それよりも、もっと確かなことは、
一緒に仕事をしている人や、出会った人、家族……など
今目の前にいる「この人のために」何ができるか?と動くことなのかも、
と思い始めました。

目の前にいる人は、たった一人かもしれないし、二人か、三人かもしれません。
つまり、大勢ではないってこと。

正直に告白すれば、
私は、ずっと「ちょびっとだったら意味がない」と思ってきた気がします。
たった一人に「いい」と言われても仕方がないって……。

でも、このサイトを読んでくださったり、
拙著を読んでくださった方が、
時折メッセージをくださいます。
ご自身のことを少し綴って、私が書いたことでどう感じたかを伝えてくださる……。
そうすると、
どこかのどなたかの暮らしが目に見えてくるようで、
会ったことのないその方の1日に私が書いた拙い一文が
確かに入り込んでいるんだなあと感じることができます。
その確かさと言ったら!

「この人のために」と真剣に考えたら、
時間の使い方が変わってくるんじゃないかと思います。
例えば一緒に仕事をしている人に対して、
「風邪だって言ってたけど、大丈夫かな?」
とひと声かけるようになったり、
「この本、あの人が読んだらいいかもしれないな」
とURLをメールしたり、
「私がこれをしておいた方が、あの人、助かるかもな」
しなくてもいいけれど、しておいた方がいい仕事を手がけたり……。

すると、きっと自分のために使う時間がちょっと減る……。
けれど、そんな「この人のために」と動いた時間が積み重なったら
私の生き方の何かがちょっと変わるんじゃないか……。
そんな気がしています。

結局は、「誰かのために」も、
自分の幸せを、別の形で生み出すためなんですけどね……。

でも、今年はちょっと今までとは違った「幸せ」を肌で感じてみたいなあと思うのです。

今年も、その日にあったことを心のままに綴っていきたいと思います。
読んでくださる方がいてくださることを、
本当に嬉しく思います。

皆さんの2025年が、健やかでハッピーになりますように。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。


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