じっくりゆっくり、残り物の天ぷらを温める

いよいよ大晦日ですね〜!
今年は倒れて救急車で運ばれたり、
年末にインフルエンザになったりといろいろありましたが、
なんとか健康で1年を終えられたことを感謝したいなあと思います。

それでも、無理が効かなくなったなあ〜と思うお年頃……。
スケジュールが間に合わない!
というピンチを、これまで体力で乗り切ってきたけれど、
同じことはもう無理……とやっとわかってきました。
詰め込みすぎず、ゆったりと予定を組んで、
忙しい合間には、1日空白の日を作る……。
そんな自分を「長持ち」させる工夫をしなくてはいけないなあと思っています。

さて……。
昨日は、あっちこっちにおつかいへ。
午前中に、母が注文をしておいたというパン屋さんへ。
年末年始がお休みなので、
ブドウパン、食パン、それぞれ6枚切りを3つずつ。
合計6つをとりに行ったら……。
なんとまだ焼き上がっていないと!
仕方なく、今度は反対方向にあるスーパーへ。
夕飯用の足らないものを、母のメモを見ながら買って帰り、
午後からもう一度パン屋さんへ行きました。


自分が育った街というのはいいものですね〜。
学校帰りにいつも通っていた公園や、
新しく建て替わってしまった中に、
当時と全く変わらない佇まいの家々を眺めていると、
なんだか、次の街角に
ランドセルを背負った私や、
ワンレンボディコン時代の私が現れそうな気がします。

さて……。
ある日の昼ごはんは、前日の残り物の天ぷらでした。
「家で天ぷらなんて、滅多にしないでしょう?」
と母が揚げてくれたもの。
その残りのさつまいもの天ぷらやかき揚げを
昼ごはんのおかずに。
フライパンにアルミホイルを敷いて、
その上で焼くと天ぷらがカリッと美味しく仕上がります。
しかも、弱火でじっくりゆっくり……。
「まだ、焼いているの?」
とびっくりするぐらい、長い時間を
母は、フライパンについて、天ぷらをひっくり返しておりました。

は〜。なるほど〜。

私が、母の家事を手伝うと「もうできちゃったの?」とびっくりされます。
パン屋さんやスーパーへのお使いでも、
きっと、父と母が一緒に出かけたら、
えっちらおっちら。
何時間もかかるのだけれど、
私ならピュ〜〜ッと行って帰ればおしまい!
掃除だって、ガガガ〜ッと掃除機をかけて、たちまち終了!
「ヘン! こんなの簡単簡単!」
と私は、そのことをちょっと自慢気に思っていたのです。

昔のまんま残っている公園。

でも……。
母はなんでも、じっくり、ゆっくり。
夜、中のお湯を捨てて、ポットの中を拭き上げるのも、
1日以上をかけて、黒豆を煮るのも……。

すぐに完成しなきゃイヤだ。
とっとと終わらせないと気が済まない。
そんなふうに「時間」はかからなければかからないほどいい!
と思っていた私は、
母の中に流れる時間を体感して、
なんだかいいなあ〜と思ったのでした。

歳をとり、何をするにも時間がかかったとしても、
それは決してがっかりすることじゃない。
時間の流れ方が変わったら、
その歳で味わえる時間を大切にすればいい……。
そして、私も暮らしの中で、もう少し「待つ」ということを
学ばなくちゃなあ〜。

吉祥寺のあの我が家を離れ、実家での暮らしの中に身を浸すと、
いつもとは違う心の揺れ方がするんだなあ……。

さあ、今日は無理のない範囲でちょっとだけ、と母が言うお節作りを手伝います!

みなさま、今日もいい1日を。

 


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