いつも「初めて」のつもりで。

今日は雨上がりの空気の中、歩いてきました。
昨日はとっても涼しかったけれど、今日はまた真夏日になるのだとか。
夏と秋を行ったり来たり。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

最近のテレビは、見逃し配信があるので、
オンタイムで見られない番組を、
時間があるときに、じっくり見ることができます。

先日NHKプラス見たのが「プロフェッショナル」。夏木マリさんの回でした。
マリさんといえば、「暮らしのおへそ」の創刊号の巻頭で取材をお願いした
私の人生の中で、大切な、大切な方です。

股関節の手術をし、そのすぐあとにロンドンでのミュージカル「千と千尋の神隠し」に出演。
そこまでの密着取材の様子でした。

すっぴんだったり、足を引きずっていたり。
どんな姿も隠さず「撮っていいわよ」とおっしゃっていたマリさん。
かっこよかったなあ〜。

その中で、胸に刺さった言葉がありました。
それが、
「どんな仕事も、『初めて』というつもりでやります」
というもの。

この言葉にガ〜ンと頭を殴られたような気分になりました。

歳を重ねて、キャリアを積むと、
どんどん「ベテラン感」が出てきます。
なのに「初めてというつもり」になる……。
それは、自分が積み上げてきたものを、いったん全て捨ててゼロに戻るっていう意味。

ああ、私はなんて自分の経験にもたれかかって
今まで仕事をしてきたのだろう……と反省しました。

最近、仕事で集まるチームで最年長ということが増えました。
ずっと続けてきた仕事に、
新しいスタッフがジョインすることも増えました。
その時、たとえば、若いスタッフが
「こうしたらいいんじゃないですか?」と提案するとします。

でも、私は「いやいや、それは長年こうしてきたんだから」
とか
「いやいや、この本はそういう路線じゃないから」
と却下する……。
それって、すごく傲慢な態度だったんじゃなかろうか……。

もうちょっと「その時の私」を掘り返してみると
心の奥底に
「いやいや、あなたより、私の方がよくわかっているんだから」
という、「無意識のプライド」みたいなものがあったんだよなあ〜。

つまり、後からやってきた人に仕切られたくない……。
そうやって、私は知らず知らず「マウント」をとっていたよう。

実は、そんな自分の心の狭さを
薄々自分でも勘づいていました。
でも、そんなイジワルな自分を認めたくない……。

それが、マリさんの言葉で、一気に表に出さざるを得なくなりました。

どんなときも「初めてのつもりで」ということは
謙虚な心で……
ということです。

私は、その心が持てていなかったなあと反省しました。

歳を重ね、経験を積み、若い頃よりちょっぴりだけ自信を持つことができる。
それはとても大切なことですが
右手に自信を、左手に謙虚さを
と両方を持ち合わせることはとても難しい……。

謙虚になるのはしんどいものです。
自分が持っているものに支えてもらって歩く方がずっとラク。
でも、それをゼロに戻し
若い人の声も、どんな人のアドバイスも
まっさらな心で耳を傾ける……。
それには、それだけの体力と気力が必要。

でも……。
世の中は、知らないことに満ちている。
そんなワクワクを味わうためには、
そんな「謙虚さ」がいちばん必要なことなのかも。

自分が積み重ねてきたものに頼らない歩き方。
新しい世界を知ったり、
若い人の見ているものをのぞいて、
「へ〜〜!すごいね〜」と笑える
マリさんみたいな、ピュアさと大きさを持っていたいなあと思いました。

 

 

みなさま、今日もいい1日を


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