時間をかけないと見えない世界がある

小さな紫の百合のようなこの花が「アガパンサス」という名前であることを知りました。
最近は、グーグルの画像検索があるので、
写真を撮れば、すぐに名前がわかって嬉しいです。

以前もここに書いたことがあるけれど、
花の名前を覚えたら、
この花が枯れて姿を消してしまっても、
来年また花を咲かせたら「あら、アバカンサスちゃん!」と
すぐに気づくことができます。
名前を知らないと、通り過ぎてしまうことが多い……。
「知る」って、そこに意識を留めることなんですね〜。

みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

最近、改めて小説をよく読むようになりました。
そして、やっぱり「小説っていいなあ〜」と思うのです。

仕事柄、インタビューをする方のエッセイを読んだりと、
ノンフィクションの本を読む機会が増え、
さらに、ビジネス系の本や、ハウツウ本など。
気がつけば、読んですぐに仕事や暮らしに役立つ本を読む機会が増えていました。

このジャンルはジャンルで、事実の中に見え隠れする人間の本質のようなものを
知ることができて大好きです。

対して、小説は物語です。
だから、そこにノウハウやすぐに役立つ情報はない……。
ず〜っと、ノンフィクションばかり読み慣れていると、
この小説の物語性の中へ、自分が入っていく……
という切り替えに時間がかかるようになっていました。

でも、夜寝る前に毎日毎日ページをそっと繰っているうちに、
だんだんと、その「勘」を思い出し、
本を広げるや否や、「そっち」の世界にワープできるようになってくる……。

目の見えない小さな女の子の物語や、
お寺のクスノキの番人をすることになった少年や、
アルバイトで働いても働いても、生活が豊かにならない女性の話。

私は、ただストーリーを追うだけでなく、
その主人公が住んでいる家や、
いつも散歩している道や、
コーヒーに匂いや、おいしそうなパイののったお皿など、
その周りに繰り広げられる世界を
「文字を読む」ことによって、自分の頭の中で立ち上げていく……
という作業が大好きです。

幼い頃からずっと
「四人の姉妹」のローラたちが過ごした部屋や、
「赤毛のアン」のマリラのキッチンを
頭の中で立ち上げながら、楽しんできました。

1冊の小説を読むには時間がかかります。
でも、時間をかけないと見えない世界がある………。
そこがいいんだよなあと、最近特に思うようになりました。

咲きおわったら、しばらくの間忘れていて、1年後に「あら!」と再開する花や、
毎日毎日作り慣れて、やっと自分のものになっていく料理や、
何度も会ううちに、沈黙も共有できるようになっていく友人や。

時間をかけないと見えたり、わかったり、感じられないものって、
すぐに目の前に現れるわけではないから、
少しずつ、自分の心の中に積み重ね、
そこから「想像力」という力で、膨らませていく……。
そのプロセスは、かけがえのない時間だよなあと思います。

それを味わえるようになったら、
何かを得なくても、
1日を豊かに楽しめるんじゃないかなあ。
おばあさんになっても、ワクワクと1日を過ごせるじゃないかなあと思います。

ひとつお知らせです。

今週末7月20日(土)に、
「暮らしのおへそ」でも取材させていただいた
「CAIITA手帳」の考案者、青木千草さんの新刊「CITTA LIFE」の発売記念トークイベントに
参加させていただきます。

なんと、千草さんが我が家にお越しくださり、
そこから配信する予定です。

テーマは「感性の磨き方」

「本当は私、何をしたいのだろう?」
と心の底から願っていることを知り、自分を大切にする。

私も千草さんのそんなお話を伺うのを楽しみにしています。

20日(土)10時〜11時半まで
お申し込みは、こちらから。

よかったら聞いてみてくださいね〜。

みなさま、今日もいい1日を


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