読書って、やっぱりいいな。

今日は朝から雨。
ウォーキングはお休みです。
上の写真は昨日のもの。
あま〜い香りのクチナシが咲くようになると、
ああ、梅雨だなあと思います。

最近、久しぶりに帚木蓬生さんの小説「白い夏の墓標」を読みました。

15年ぐらい前に、箒木さんの「国銅」という小説を読んで
「なんて面白いんだろう!」と感動。
奈良の大仏を建立するときのお話でした。

以来、箒木さんの作品を見つける度に読んでいたのだけれど、
この1冊は知りませんでした。

なんと発売は1983年。
でも、帯に「名作は絶対に色褪せることはありません! 店長大絶賛!」と
書いてあった通り、
まるで今年書かれたような新鮮さなのです。

というのも、題材が「ウィルス」!
パリで開かれた肝炎ウィルス国際会議に出席した主人公が、
ある老紳士の訪問を受けるところから物語が始まります。

かつて、仙台で机を並べ、「仙台ヴァイラス」というウィルスを研究していた友人が、
アメリカ留学中に事故死した、と思っていたのに、
実はフランスで自殺した。
と老紳士は語ります。

そんな友人の細菌学者の死の謎を
主人公が追っていくというおはなし……。

帚木蓬生さんは、東京大学仏文科卒業後、TBSに入社。
2年で退職して、九州大学医学部で学び、精神科医になったという方です。

この小説は現在77歳になられる箒木さんが32歳という若さで書かれたもの。
友人の死の謎が、
若き日の研究所内のエピソード、
その頃であったひとりの女性、
細菌兵器開発の実態
といろいろな物語が、積み重ねられる中で
少しずつ見えてきて、
最後に、あっと驚く結末に。

「ふ〜〜〜」とため息をつきながら、
久しぶりに、「あ〜、おもしろかった!」と心満たされて本を閉じました。

仕事柄、取材させていただく方の書かれたエッセイなど
読まなくてはいけない本があって
なかなか自分の好きな本だけ、
というわけにはいかないこのごろ……。

でも、改めて小説っていいなあと思いました。
ビジネス書でも、料理本でも、ノウハウ本でもないから、
直接、すぐに生活に役立つわけではありません。

でも、本を開けば、
フランスのレンヌ通りの裏にあるホテルの一室に飛んでいける……。
そこから繰り広げられる
「ウィルス」の物語にぐいぐい入っていける。
その、扉の向こうの世界へ身を浸す快感は、
小説でしか味わえないものです。

そういえば、幼い頃、母に「早く寝なさい」としかられて
ベッドに入ったものの、
「小公子」や「4人の姉妹」などの少女小説の続きが読みたくて
布団の中で懐中電灯をつけて読んだなあ〜。

あの「夢中」の感覚を、久しぶりに思い出しました。
なんの役にも立ちそうにないけれど、
読んだ体験は確実に心に降り積もる……。

今日のような雨の日は、読書にぴったりですね。

みなさんは、最近面白い小説、読みましたか?

今日もいい1日を。

 

 

 


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