母のゴロゴロと、明日のための小さな工夫

この週末は、NHKカルチャー講座でのパーマネントエイジさんのトークイベントの司会のため関西へ。
ご参加くださったみなさま、本当にありがとうございました。

ついでにちょっと実家に立ち寄ってきました。

上の写真は、私が大好きな夙川(しゅくがわ)です。
川の上に駅があり、
私は、中学、高校に通うのも、大学へも
そして、OLになっても、毎朝この川を眺めて出掛けていたのでした。

実家に帰ると、母が新たなツールをゲットしていました。
それがこちら!

数年前から杖をついて歩くようになった母。
出かけるときには、杖をつきながら歩くので、どうしてもゆっくりになります。

そんな母がこう申しておりました。
「スーパーでカートを押す時、すっごくラクなんよ〜!」って。
カートを持って、すい〜っと滑らせて歩く方が、
断然体の負担が少ないよう。

そんな時、どこからか情報を仕入れ、
この荷物も運べるし、片手ですい〜っと推しながら、歩くことができるコレを知ったらしいのです。

杖も一緒に入れて持ち運べるし、
「この方が、断然早く歩けるわ」と大喜び!

ただ、先日両手でカートを持ってエスカレーターに乗っていた方が
ころんで、挟まれてしまった……という痛ましい事故があったので、
「くれぐれも気をつけて! 移動するときには、エレベーターに乗って!」
と伝えてきました。

少しずつ歳をとり、あちこち不具合が出てきて、動作がゆっくりになり、
できないことも増えてきたけれど、
こうやって、少しでも「もうちょっとよくなるように」
と新たなモノを注入し、
頑張る母の姿を見ると、頭が下がります。

もうひとつ、見知らぬものを見つけたのがこれ。
冷蔵庫の中に、ブックエンドのようなものがプラスされておりました。
聞けば、100円ショップで見つけたそう。
本来は、冷蔵庫の扉や側面にマグネットで取り付ける「棚」のようなものらしい。
赤い模様の四角形のものが、マグネットシートです。

「冷凍庫がいつもぐちゃぐちゃになるから、
これを入れたら、お肉や冷凍食品をシャキッと立ててしまえると思って。
棚だけだと低くて倒れてきちゃったから、
マグネットをくっつけたままだと、ちょうどいいのよ」と母。
この手前の空いたスペースに、
週に1回買いに行く、お気に入りのパン屋さんのパンが入ります。

私はこうやって、実家に帰って、新たな母の工夫を見つけるのが大好きです。
「ほ〜!そうやったん!」
「なるほど〜!これいいやん!」

ほんのささやかな工夫を、大事件のように自慢げに語る母の話を聞きながら
「昨日より明日がちょっとよくなる」って
素晴らしいなあ〜。
人間は、何歳になっても成長できるんだなあと
感じさせてもらいます。

両親の老いに不安になったり、心がず〜んと重くなるなか、
小さな前向きな工夫が、
明日をパッと明るくしてくれるような気がします。

父も足元がおぼつかなくなっているので、
あのゴロゴロを、もうひとつ買えばいいのに!
というと、「いや、おれはいらん!」と言います。

なのに
「出先で、すぐに俺が持ってやるって、
あれをゴロゴロ押そうとするのよ!
それがない方がしんどいのよ!って言っても、
自分がラクだから、勝手に持っていって!」と怒る母。

そんな老夫婦のおもしろおかしい笑い話を聞いている時間に、
ああ、幸せだなあと思った週末でした。

私も、母に負けず、
暮らしの中の小さな工夫で、明日を少しだけ明るくしたいなあと思います。

みなさま、今日もいい1日を


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