貨幣経済の一歩外に出てみる

菜種梅雨とはよく言ったもので、
雨がよく降りますね。
ひと雨ごとに、葉っぱが「グン」と音をたてて伸びているようで、
緑が一際美しいこのごろです。

みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

さて……。
先日、仕事を手伝ってくださった方に、
ほんのちょびっとなのですが、ギャランティーをお支払いしようと
連絡してみたら………。

「貨幣経済とは別の循環に興味があるので、
ご迷惑でなかったら、お金じゃなくて、
イチダさんの好きなお菓子とか、
なんでもいいので食べ物を送ってくださいませんか?」
という返事が返ってきました。

思いもかけない提案にびっくり!

実は、正直に告白すれば、最初はちょっと
「面倒かもな?」と思ったのです。
だって、
手伝ってもらった月だけ、お支払いをするつもりだったのですが、
その度に、わざわざ何にしようかな?と考えて
お菓子を買いにいかなくちゃいけないから……。

それでも「貨幣経済とは別の循環」という響きに、
「なんだかおもしろそ〜!」いう興味がムクムクと
沸き起こり、
チャレンジしてみることに!

さっそく仕事帰りにお菓子を買いに行きました。

選んだのが、
「ささま」の最中と「コロモチャヤ」さんのクッキー。
これに手紙を添えてお送りしました。

「宅急便コンパクト」の封筒に入れて、宛名を書いて……。
すると、なんだか不思議な気分になってきました。

いつもなら、お菓子を送るなら、
お世話になった人にとか、両親にとか、
お礼とか、お裾分けが目的です。

でも、今回はまったく違う……。
「仕事のギャランティー」というものを、
今、自分が手を動かして支払っている、という感覚が
とっても不思議〜!だったのです。

これを手にした彼女は、
どんな気持ちで封を開け、
どんな気持ちでお茶をいれて、最中を食べるのかなあと
想像してみても、なんだかワクワクする……。

そして、自分に置き換えたとしても、
仕事をした分、その人が選んだお菓子が送ってくる、
としたら、めちゃ楽し〜!
と思えました。

労働への対価は「お金」だと勝手に思い込んでいたけれど、
当たり前に使っていた「お金」から離れてみると、
新たな交流が始まるのですね〜。

大洲でお洋服のブランド「Sa-rah」を営み、
先日大三島に宿をオープンさせた帽子千秋さん。
以前「キッチンで読むビジネスのはなし」(KADOKAWA)
という拙著で取材をさせていただいたとき、
ビジネスをするときには「お金を見ない」
と聞いて、驚いたことがありました。

今回も、大三島の好きな宿に泊まりにきた。

たまたまいい土地が見つかった

自分のセカンドハウスを建ててもいいけれど、
みんなが泊まりにこれたらいいなと考えた。

宿をつくればいい!と思いついた。

土地を買って、プランを立てた。

だったら、お金をどうしようと考えた。

という順番なのだとか。

まずは「お金」だと、
「できること」が、お金の額で決まってしまいます。
でも、まずは自分がワクワクすることを考える。
そうすれば、「お金を調達する力」も「方法」も
自然に見つかるんですって!
すごいなあ〜。

お菓子を送った彼女からは、
その後お礼の葉書が届きました。
この時代に、めちゃアナログ!
でも、この数日「お菓子届いたかなあ」「気に入ってくれたかなあ」
など、あれこれ考えたり、
パソコンのインターネットバンキングで、
ポチッと振込ボタンを押すのでは味わえない、
いろんな思いを経験させていただきました。

「お金」を離れたら、
今、私が想像もできない世界の扉が
開くのかもしれないなあと、ちょっとウキウキしています。

みなさんは、貨幣経済の一歩外へ出たことがありますか?

 

 

今日もいい1日を!


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