穏やかな瀬戸内海には、いくつもの島がポコポコと浮かんでいます。
そんな風景を眺めながらバスに揺られていると、
「毎日こんな風景を眺めながら暮らしたら、
どんな毎日だろう?」と、うっとりとしてしまいました。
そんな島のひとつ、大三島(おおみしま)に行ってきました。
このサイトでもご紹介し、
拙著「キッチンで読むビジネスのはなし」でも取材させていただいた
愛媛県大洲市でお洋服のブランド「SA-RAH」と営む帽子千秋さんが
海を見下ろす素敵な宿「Yu-Rah」をオープンされ、
そのオープニングパーティがあったので……。
たまたま大洲から遊びに行ったこの島で、
驚くほど安い値段で土地が買えると知り、
落札に参加し、あっという間に手に入れてしまったとき、
「さあ、どうする?」と考えたという千秋さん。
「私が来るだけでなく、みんなが来れる場所を作りたい」
とヴィラ2棟とギャラリーを作ってしまったといいますから、
その勇気と行動力にはびっくりです!
![](https://ichidanoriko.com/ichidanorikowp/wp-content/uploads/2024/03/Yu-Rah_Opening2W6A3172-1024x683.jpg)
部屋からはこんな風景が目にできます。左に座っているのがワタシ
2棟のヴィラのうち、
1棟(イル)をフラワースタイリストの平井かずみさんと、
イラストレーターで版画家の平澤まりこさんが。
1棟(モーネ)をギャラリーワッツを営む山本詩野さんと、
インテリアコーディネーターの木村奈穂子さんが内装やインテリアを担当。
今回はイル棟に、平井さんと平澤さんと一緒に泊めていただきました。
それぞれの個性を持つ部屋は、キッチン付きで、
窓からは海と、そこから上る朝日と、橋と、空が眺められます。
朝はキッチンでパンを焼き、コーヒーを入れて。
夜は、大きな窓のあるお風呂に入って、布団でゆっくり眠る……。
な〜んにもしなくても、ただそれだけで癒される……。
その心地よさは、帰ってきてからじわじわと思い出されてくるよう。
また「あそこに帰りたい」。
そう思わせてくれる宿なのです。
![](https://ichidanoriko.com/ichidanorikowp/wp-content/uploads/2024/03/Yu-Rah_Opening2W6A3149-1024x683.jpg)
部屋の中には、平澤さんの版画や絵が飾られていました。
パーティには、料理担当の方や、ミュージシャン、建築家、銀行の方
など、さまざまな関係者が集まってお祝いをしました。
今回、2泊の滞在中に私が感じたのが、
千秋さんの自分の手放しっぷりでした。
部屋の内装は、頼んだ4人にすべてお任せ。
滞在中「ここは、これじゃなく、こんなのがいいと思う」
と平井さんたちが提案すると
「確かにそうやね〜」とニコニコ。
普通なら、オーナーである千秋さんにすべてを決める権限があり、
自分の意向通りに作るのが当たり前なのに、
千秋さんは、ぜ〜んぶお任せ! なのです。
でも、だからこそ「お任せされた」人は、全力で頑張る!
建築家も、銀行の人も、
そしてパーティ当日は、料理担当、カメラ担当、音楽担当と
千秋さんのために、みんなが団結し、千秋さんが喜ぶように……
と動いていて、
その姿になんだか感動してしまいました。
![](https://ichidanoriko.com/ichidanorikowp/wp-content/uploads/2024/03/Yu-Rah_Opening2W6A2579-1024x683.jpg)
福岡からかけつけてくれたアコーデオン奏者の荒井武人さん。ここはギャラリー棟
私は、ついぜ〜んぶ自分で頑張って、
人に頼ることができない上、
人を信頼できなくて、「自分らしくいなくちゃ」
と肩肘張りがちなのに……。
穏やかな瀬戸内の島のように、
平かな心になるためには「こうじゃなくちゃ」と
ひとつに決めてしまわない方がいいのかもしれません。
「これもいいし、ああでもいい」。
そんな広さを持てば、「あなたの力でお願いね」
と隣にいる人に託すことができるようになるのかも……。
1年に何度か、この宿に泊まって、
心を空っぽにして、
「こうじゃなくちゃ」と「穏やかな海の波動」を交換できたらなあ
と思わずにはいられませんでした。
素敵な写真を撮ってくれたのは(一番上以外)
これまた、千秋チームの一員のカメラマン、 SHOKOさんです。
「Yu-Rah」の予約はすでに始まっています。
みなさん、自分の中の何かを海と交換しに出掛けてみてはいかがでしょう?
今日もいい1日を。