朝、外に出ると足元が濡れていました。
夜のうちに雨が降ったよう。
今朝の東京は、とっても暖かくて、ウオーキングから帰ってきたら、
うっすらと汗をかきました。

みなさま、いかがお過ごしでしょうか？

インスタのっとり騒動に翻弄されたここ1週間。
まだ、のっとられた私の旧アカウントから、
フィッシングメールが送られてしまうかもしれない……
という恐怖におののいてはおりますが、
新しいアカウント＠ichidanoriko2023を作り、
やっとひと息つくことができました。

新しいアカウントについて、シェアしてくださったみなさま、
「悪いことはぜんぶ水に流して、これからいいことありますよ！」
と励ましてくださったみなさま、
本当にありがとうございました。

弱っているときに、心を寄せてくださる方がいる、
ということが、こんなにも心強いものなんだということを、
身をもって感じました。

そんな騒動の中で、感じたことをここに書いておきたいと思います。

先週、のっとりがわかって、インスタのアカウントが消えてしまったとき。
それでも、仕事に出かけなくてはいけません。
ぐったりと疲れて、家を出て、
電車に乗ったとき、
「あ、インスタないんだ……」と思いました。
いつも電車に乗ると、すぐにチェックしていたので。

寂しいと思う反面、
「あれ？　私、今ここにいるんだなあ」と思ったのです。

今、動いている井の頭線の中にいる。
周りには多くの人がいる。
窓の外には、紅葉した木々が流れている……。

そんな「今」を感じたのは、
もしかしたら久しぶりかもしれない……と思ったのでした。

インスタは、遠くの人とも、なかなか会えない人ともすぐに繋がることができて、
落ち込んでいた私は、いろんな人に励ましてもらって、
そんな「つながり」を感じることができる
本当に便利なアイテムです。

でも、一方でいつも「どこかの誰か」が「どこかでなにか」をしている様子を流し見て、
その結果、いつも「ここ」ではないどこかに心が飛んでいってしまっています。

「アカウントがなくなったのはすご〜く悲しいけれど、
私は、もうちょっと『ここ』にいなくちゃいけないなあ」
疲れて、ぼ〜っとしながらも、
心のどこかがとても繊細に反応して、思考がクリアになっていく気がしました。

そんな中で、まさにベストタイミングのように手にしたのが
以前「暮らしのおへそ　vol35」で取材をさせていただいた
「夏葉社」という出版社をひとりでやっていらっしゃる島田潤一郎さんの著書
「電車のなかで本を読む」（青春出版）でした。

ご自宅から、会社のある吉祥寺まで電車で通っている島田さんは、
スマホを見る人がほとんどの中、
必ず本を読むそうです。
この1冊は、そんな島田さんが読んだ本を紹介したもの。
とはいっても、具体的な本の説明はほんのちょびっと。
それよりも、島田さんがその本と一緒に過ごした時間が綴られています。
それがとってもいいんだよなあ〜。

　ぼくは毎日電車に乗って、会社へ通勤しています。所要時間は片道二十五分ほどな
のですが、そのあいだは必ず本を開くようにしています。（中略）
　そうした生活は、一言でいえば、とてもたのしいです。
　本を読めば読むほど、知りたい世界が増え、本を読めば読むほど自分が無知だと
知ります。
　なんというか、本を読んだ時間に比例して、自分が若返っていく、そんな感覚な
のです。

島田さんが出版社を立ち上げたのは、従兄が突然亡くなったことがきっかけでした。
その時であった一篇の詩に救われ、その詩を叔父さんや叔母さん、故郷の高知県室戸市にいる
すべての親戚に届けたいと本をつくりたいと思った……。
私は、取材のこのエピソードを伺っていたし、
「おへそ」の本文にも書いたのですが、
今回、この本を読んで、
弱っていた心に、その詩が刺さって、思わず涙してしまいました。

「死はなんでもないものです。
私はただ、
となりの部屋にそっと移っただけ」。

今回、アカウントがなくなったことで、
見えないSNSという力に翻弄され、
でも、再開してみんなに応援してもらって、
自分の無力さと、人の優しさを感じました。

それと同時に、当たり前のように広がっていく
IT的な世界の外側にこぼれ落ちてしまったような、
昔は当たり前にあった時間を
もう一度取り戻したいなあとも思ったのでした。

じっくり本を読む。
しみじみ電車の中から窓の外の風景を見る。
一緒に乗っている人の服装を観察する。
自分が「ここ」にいると感じる。
時間をかけて、じっくり味わう。
急いで結論を出さない。

今回のドタバタは、いろいろなものを見つめる目を
もう一度考えてみる転機となったなあ。
悪いことの中にも、いいことってあるなあと感じているところです。

みなさま、今日もいい1日を！

 

 

再度ここでみなさんにお願いです！

私がのっとられた旧アカウント@noriichidaから、
乗っ取り犯人が、フィッシングメールをDMで送る可能性があるそうです。
Metaを装ったメールには、決して触れないでください！