世界はひとつだけじゃない、と実家で考える朝

駅から見た夙川の風景。水がきれいでした〜

早朝から暑さマックス!
お盆を過ぎてもなかなか涼しくなってくれませんね。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

 

私は出張のため関西へ。
実家に泊まっています。
最近、出張があると、少し前に帰って母の手伝いをあれこれするようにしています。

実は今、「大人になったら着たい服」の取材と原稿が重なって
バタバタの毎日。
取材のない日は、家にこもって原稿だけを書いておきたい……。
自宅を出る前、荷作りしながら、
「あ〜、帰るの面倒くさいな〜」とちらりと思っていたのでした。

ここで帰るために、原稿も前倒しで、
まだレイアウトがあがっていないのに、だいたい文字数が決まっている
本文だけを先に書いておいたり、
取材が終わって写真があがったら、すぐにコンテを組んで
デザイナーさんにデザインを出しておいたり……。
いつもより、先回りにして仕事をすすめておりました。

原稿はスケジュールに余裕を持って書きたい、と常に思っています。
というのも、「あ〜、間に合わない〜」と切羽詰まって書くのが
本当にキライだから。
若い頃、段取りが悪かったり、なかなかエンジンがかからなかったりで、
「明日の朝が締め切りなのに、まだ書けていない!」
と泣きそうになりながら徹夜したことが何度もありました。
あのキリキリした気持ちは本当につらい……。
しかも、時間がないから原稿もいい加減になりがちだし……。

なので、今は逆算して、ゆっくりと書けるスケジューリングをするようになりました。
ま、気持ちはいつも「あ〜、原稿てんこ盛りじゃ〜!」
って焦っているんですけどね。

いつ帰ってもピカピカ。年老いても、体力がなくなっても、我が家よりずっときれいです。反省……。

 

さて……。
何度かここに書いたことがあるけれど、
新幹線に乗ると、どこかに無色透明の時空の扉があって、
東京での仕事モードから、実家モードへカチリと切り替わる瞬間があるなあと感じます。

さっきまで、「あれもしなくちゃ、これもしなくちゃ」と考えていたのに、
「ま、いっか、あとで」
と自然に思えるようになっていくから不思議。

そう! あれもこれも「今日じゃなくてもいい」のです。
忙しい、忙しいと焦っていても、
そうでもないかもしれないのです。

「いつものモード」を外側から見たら、
「そんなに頑張らなくてもいい」し、
「そんなに急いでやらなくてもいい」。

ただ、自分の気が焦るから「すぐやらなくちゃ」と思い込んでいる
だけだったりします。

思い切って、仕事をやめて、外に出れば、
そこにはもうひとつの世界がある……。
「いつも」の真ん中で見ている世界の周りには、もっと広い世界があるんだよなあ。

夕立が降って、大きな虹が。

東京での仕事中心での毎日と、
実家での父と母のゆるやかな毎日。
そのふたつの間を行ったり来たりしながら、
仕事を離れたところにも、きっと違う幸せがあるんだよなあと感じます。

母の横で、夕飯のための配膳をしたり、洗濯物をたたんだり。
おつかいを頼まれて、
近所を歩いていると、
ライターであることを離れて、こうして過ごすっていう選択肢もあるんだよなあ、
ここにも、もうひとつの幸せがあるんだよなあと
しみじみ思う……。

いつも当たり前だと思っている世界は、
ただそれを表から見ているだけであって、
裏側に回ってみたら、まったく違う風景が広がっている……。
裏側を表にひっくり返すことだってできる。

そう考えると「幸せってこうじゃなきゃ」と考えていることは
もしかして幻想で、
幸せって、もっともっと豊かで幅広くて、多様性のあるものなのかもしれない
と思えてきます。

そんなことを考えながら実家で迎えた月曜日の朝でした。

さ、両親が寝ている間に私は原稿を1本書こうと思います!

みなさま、今日もいい1日を。


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