実家で「娘」に戻る幸せ

今朝は実家のぬくぬくしたベッドの中で目覚めました。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

新大阪駅から、JR神戸線に乗り換え、六甲山の山並みが見えてくると
「帰ってきたなあ」と思います。

駅から実家への道すがらは、ずいぶん変わってはしまったけれど、
それでも、小さな頃から見慣れた街の風景で、
ひとつひとつの公園や曲がり角や、むか〜しからあるお宅の庭の椿に、
ひとつひとつ思い出があるって、
幸せなことだなあと思います。

帰ると、さっそく母の買い出しや、夕飯作りを手伝ったり、
高いところにあるものをおろしたり、
父の話し相手をしたり……。

年老いた両親を手伝うつもりで帰ってきているのに、
確かにあれこれ手伝ってはいるのに、
どこか、心と体を預けたような安心感を感じるのは、
何歳になっても、いつまでたっても、
父と母の前では、私は「娘」になれるからなんだなあと思います。

実家のキッチンで、新たな風景を発見!
食器棚に、紙ばさみみたいな透明なクリップがふたつ、取り付けられていました。
「これ、なあに?」と聞くと
「私が発明したんよ」と母は得意顔。

家の中でも杖をつくようになった母。
キッチンに立つときには、両手を使うので杖を置かなくてはいけません。
ところが、立てかけておくと、すぐに倒れる……。
市販の「杖ホルダー」みたいなものを取り付けてはみたものの、
いちいち「カチッ」とセットし、また外して……というのが面倒なのだとか。

そこで、100均で、この大きめサイズのクリップを見つけて取り付け
ふたつのクリップの間に、杖を置くようになったというわけです。
これなら、ただ立てかけただけで、絶対に倒れない!

なるほど〜、と拍手!
やっぱり、私はこんな母に育てられたから、
「暮らしの中の小さな工夫」みたいなことが好きになったんだなあ〜。
たったクリップふたつで、
いつもの「不便」が解消する。
杖が倒れる……という不便がなくなるだけで、
キッチンの作業がスムーズになり、イライラがなくなり、暮らしの質がちょっとあがる……。

「自分の幸せを自分でつくる」って、こんなささいなことなんだよなあと
改めて教えられた気がします。

夕方、自分が持ってきたスーツケースをあけると、
なぜか、うちに飾ってあったはずのnutelさんの「おじさん」が
持ってきた洋服の下からひょっこり現れてびっくり!

年末ぎりぎりまで仕事があって、自宅にいる夫のいたずらでした。
思わずププッと笑ってしまいました。
ご飯も作ってあげられないのに、快く送り出してくれて、
こんな小さなサプライズを仕込んでくれて感謝です。

今年も多くの方に、この「外の音、内の香」を読んでいただいて、
本当にありがとうございました。

毎日、朝起きて、ウォーキングに行って掃除をすませたら
書斎にこもって、この記事を書きます。
正直、「ああ、今日はもう書くことないよ〜」と思うことも度々……。

それでも、今日見た椿のことを書けば、
そうそう、あの時こう思ったんだよなあ〜と書くことがするする出てきて、
私は、この「日々のこと」を書くことで、
日常の中から、たくさんのものを拾い上げることができたなあと思っています。

そして、コメントをいただいたり、
イベントでお会いして「いつも読んでいます」と声をかけていただくたびに
どなたかの毎日の中に、この「外の音、内の香」が確かに届いていることを感じて
書き続けていて本当によかった、と思えます。

今年の更新は今日で最後です。
また新しい年から、新しい気持ちで綴っていきたいと思います。

みなさまの年末年始が心穏やかな時間でありますように。

今日もいい1日を!


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