「今ここ」にないものに、心を向けられる人に

雨の日の翌日のウォーキングは、一面の落ち葉。
しっとりと濡れて、まだ明けきれぬ空気の中できれいだったなあ〜。
これは、昨日の様子です。
今日は、朝早くから出かけなくてはいけないので、ウォーキングはお休み。

昨日、私はもやもやと考えることがあり、
ウォーキングに出かけても、そのことばかりを考えて歩いておりました。
そうしたら、
いつもは、並木道を抜けた先にある、パ〜ッと空が抜ける場所で、
登ったばかりの朝日を眺めるのに、
ハッと気づいたら、その朝日ポイントを通り過ぎておりました……。

ありゃ!
と振り返ると、ずっと後ろに美しい朝焼けの空。

ああ、そうか……。
目の前のことに囚われすぎていると、
こんなに素晴らしい朝日にさえ、気づかないのね、
と改めて思いました。

目の前に心配事や、解決しなくちゃいけない問題や、
いろんなことが詰まっていたとしても、
そのことに、心を占領されず、空を見上げられる人になるには、
どうしたらいいのでしょう?

 

やっと日常が戻ってきて、昨日は吉祥寺の「ギャラリーフェブ」で開催されていた
版画家、松林誠さんの展示会に行ってきました。

素晴らしい版画の数々をゆっくり拝見した後、
松林さんのインスタでちらりと見かけて、どうしても欲しかったこの本をゲット!
今回の展示会のタイトルでもある「木と星」の作品集でもあるんだけれど、
中にたった1ページだけ文章のページがあります。

松林さんの手書きの文字で綴られた、その文章にノックアウトされました……。
「15年一緒にいた猫のビーが星になりました」
と綴られて、
その後、盛岡のギャラリーで宮沢賢治の「注文の多い料理店」の復刻版を手にとった
お話が続きます。
「これまでほとんど読んだことがなかった賢治の創作が
染み入るように入ってきました」。
原稿用紙の隅に描いた木兎や猫の絵に惹きつけられたそう。
そして、「賢治の森」が描きたくなったと……。

「そこは賢治の創作のように動物と人間の境界がなく
空間や次元の垣根もない森なので、
ビーも好きな木を見つけて大好きな木登りをしているかもしれません。」

は〜。
なんて、しみじみとした文章なんでしょう……。
もうここにはいない人に心を重ね、
もうここにはいない猫のビーを思い、
森の絵を描く……。

現実の向こうに、朝焼けの空を見つけられる人に。
今ここにはない賢治の森が見える人に。
そういう人に私はなりたい。
と思ったのでした!

ぜひ、本物の文章を読んでいただきたいです!

松林さんの展示は11月27日(日)までです。

みなさま、今日もいい1日を。


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