この時間は「私しか知らない」。

曇り空の下では、紫陽花の色がより濃く、鮮やかに見えますね。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

さて……。
拙著「もっと早く言ってよ。」は、50代の私が「あ〜、そうだったのか!」とわかったことを
20代の私に伝える、という形で書いていますが、
みなさんが、20代の自分にいちばん伝えたいことってなんですか?

先日、夕飯後夫もいなかったので、ひとりで「アマゾンプライム」で映画を見ました。
その日選んだのは「エール」。
父も母も弟も全員耳が聞こえない家庭で、ひとりだけ聞こえるという高校生ポーラの物語。
歌が上手で、パリの音楽学校のオーディションを受けるため、家族に内緒でレッスンに通います。
でも、家族は彼女の歌声を聞くことができない……。
最後のオーディションシーンで、手話を交えて歌うポーラの姿に号泣しました。(笑)

で、見終わって「あ〜、おもしろかった」とパソコンを閉じ、
いつもの部屋を見渡したときに、ふと思ったのです。
「今晩、この映画を見たことは、私しか知らない」って。

そして、「私しか知らない」ことを積み上げていくのが、私の人生なんだなあ〜って。

若い頃「私はここにいます、誰か見つけて!」と背伸びをしていたし、
誰かに認めてもらいたくて仕事を頑張ってきたし、
本を出せば、より多くの人に読んでもらいたいし……。

でも、そうやって「誰かに知ってもらうため」に使う時間より、
「私しか知らない時間」の方がずっと多い。

毎日どんなご飯を食べているかも、
どんな部屋に住んで、どうやって掃除しているかも
拭き掃除を終えて「あ〜、すっきりした!」と味わった気持ちよさも、
私しか知らない……。

つい、誰かに評価してもらうための時間ばかりを優先させたくなるけれど、
何より大事なのは、そんな「私しか知らない時間」なのかも……。
突然、そう思ったのでした。

だったら、誰も見ていなくても、誰も知らなくても、
私は私の時間をたっぷり、じっくり、存分に味わいたいなあと思います。

そして!
若い頃の私には、こう言ってあげたい!

「あなたの人生は、あなたのものなんだよ!」って。
当たり前ですけどね。
ほんと、もっと早く気づけばよかったなあ〜。

でも、回り道したから、「誰かのための私の時間」をたくさん費やしたから、
「私の時間」の尊さに、気づくことができたのかなあとも思います。

みなさんの「もっと早く言ってよ!」ってことはなんでしょう?

「もっと早く言ってよ。50代の私から20代の私に伝えたいこと」(扶桑社)よかったらお手にとってみてくださいね。

今日もいい1日を。

 


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