「大好き」の力ってすごいぞ!

真夏のような暑さだった昨日から一転、今日の東京は朝から雨で少し肌寒いようです。

昨日は、福島の山の中にある「空cafe」さんへ行ってきました。
福島駅でレンタカーを借りて40分ほど。
くねくね道を登っていく途中は「ほんとにこっちでいいのかな?」と不安になりました。

そこで、わざわざ外に出て待ってくださっていたのが、イラストレーターのコーチはじめさんと、
カフェオーナーの阿部典子さんでした。

どっしりとした木造の建物は、山だったこの地に道路を通すときに伐採した木で100年ほど前に建てられたのだそう。

どうして、はるばるここまでやってきたかと言うと……。

新著「もっと早く言ってよ 50代の私から20代の私に伝えたいこと」(扶桑社)
の表紙や、中ページの絵を描いてくださったコーチさんの個展が開催されていたから。

中に入ると、壁一面のチューリップ!
私はこの、削ぎ落として単純化させてあるのに、
「手触り」や「揺らぎ」によって、なんともいえない味わいのあるコーチさんの絵が大好きです!

カフェの窓からは、木々に囲まれた庭が見えて気持ちいいことといったら!
ここで、ゆるマクロビのご飯を食べながらコーチさんのお話を伺いました。
実は、本を作るときにはZoomで打ち合わせをし、実際にお目にかかるのは今回が初めて!
コーチさんは、かつて吉祥寺に住んでいらしたと聞いて、不思議なご縁を感じました。

この、コーチさんのお話の面白かったこと!
福島の広告代理店でイラストレーターとした働き始め、その後上京。
東京に来る際に、どうしてもやりたいことがあったそうです。
それが、当時大好きだった「無印良品」の仕事をすること。
もうひとつは、大好きだったミュージシャンと会うこと。

奥様と一緒に東京に来られて、福島での仕事もしながら営業の日々を。
そんな中でとある広告代理店で打ち合わせをしていたら、
隣のテーブルから「今度『無印良品』の仕事をするかもしれない……」という話が聞こえてきたそうです。
打ち合わせを終えたコーチさんは、なんと、そのミーティングの末席に座って内容を聞いた、と言いますからびっくり!
さらに驚きなのは、内容を聞きながら、その場で紙に絵を描いて
「こんな感じではどうでしょうかね?」と見せたのだとか!!

まったくの門外漢だったのに、「無印良品が大好き!」という思いだけで、
ジリジリと近づいていき、ずっと「僕が絵を描きたい」と思いを暖めていたからこそ、その場で手が動いた……。
担当者が「だったら3案ある1案に、これを入れましょうか」と言ってくれたそう。
そこで、今度は家に帰り、頼まれてもいないのに、ポスターや店内ポップなど
いろんなパターンの絵を描いて持っていき、
それが見事に採用されて、コーチさんのイラストが、全国キャンペーンに使われたのだと言います!

もうひとつの「やりたいこと」=大好きなミュージシャンと会うの場合は……。
とあるデザイン事務所に売り込みに行く際、少し早くつき、打ち合わせまでの時間を待っていたら……。
デザイナーの方が机の上で名刺入れをめくっていた手元をなにげなく眺めていたら、
なんと、そのミュージシャンの名刺があった!
初対面だったにも関わらず、デザイナーに「絶対に悪用しませんから」と言って
連絡先を教えてもらい、
熱い手紙とイラストを送ったら……。

なんと、そのミュージシャンのCDジャケットを手がけることになり、
さらには、その後彼と一緒にライブペインティングまでをやることになったそう。

カフェでご飯を食べながら、このお話をきいて、
「え〜〜!」「まさか〜!!」と声をあげること数回。
コーチさんは、強運の持ち主であったことは確かだけれど、
話を聞いている途中も、
「ぼく、『無印』大好きだったんで〜」とか「そのミュージシャンが好きすぎて」と
会話の節々に、純粋に本当に「大、大、大好き!」だったことが伝わってきました。

そんなお話を聞きながら、自分が若い時のことを思い出しました。
「私って、そんなに大、大大好きなことあったかな……」
「自分が好きか嫌いかってことより、人生がうまくいくかどうか、ばかり考えていたよなあ」って……。

若い頃の私に言ってあげたい!
「うまくやろう」とするよりも、自分の中にある「大好き」って気持ちをいかに
ピュアに熱く持ち続ける方が、ずっと大きな力になるよ!って。

本当に「もっと早く言ってよ!」ですよね〜。

コーチさんは、私の書籍のときにも、何パターンもの絵やタイトルの書き文字を描いてくださいました。
今回、和紙に書かれた原画を見せていただき、その手間と時間に改めて感謝……。

そもそも、今あたりを見渡して「私、これ大好き!」って言えるものあるかな?
と改めて考えてみたくなりました。
もしかしたら、それほどの熱量で「好き」と言えること自体が、
才能だったのかもしれません。
「これやって、どうなる?」「こんなこと今更……」
そんな「余計なこと」をとっぱらって、自分の芯にある「好き」を今一度見つけてみたくなりました。

その後、「暮らしのおへそ」の取材でもお世話になった「あんざい果樹園」のおかあさんに会いに。
さらに、1時間ほど車を飛ばして三春まで。in-kyoの長谷川ちえさんに会いに行きました。

ああ、楽しかったなあ〜。
やっぱり「会える」っていいですね。
いつもとは違う、心のパーツが動き出した気がします。

みなさんは、心から「好き」なもの、ありますか?

もっと早く言ってよ。50代の私から20代の私に伝えたいこと」(扶桑社)は、
いよいよ明日6月1日発売です。
よかったら、お手にとってみてくださいね。

今日もどうぞ、いい1日を!

 


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