「今の環境」が未来の私を育ててくれる

寒いけれど、空気が澄んで美しい日々が続いています。
みなさまいかがお過ごしですか?

少し前のことですが、平井かずみさんに「いいですよ〜」と教えてもらって
群馬県の館林美術館で開催されている「フワンソワ・ポンポン展」に行ってきました。
とても美しい建物で、感染対策がばっちりなされ、
さらに空いているので、安心して巡ることができました。

ポンポンさんは、20世紀前半にフランスで、革新的な動物彫刻を生み出した方。
上の写真の白熊が代表作です。

最初は人間の彫刻を手掛け、あのロダンのもとで働いていましたが
なかなか日の目を見ることができなかったそう。

あるとき、遠くの風景の中に浮かぶ動物のシルエットの美しさに打たれた……。

そして、毛並みなどのディティールを徹底的に排除して「単純化」を進めて
この美しい動物彫刻のスタイルを生み出したのだと言います。

幼い頃から動物が大好きで、
鳥や馬、熊やうさぎなど、いろんなスケッチも館内に展示されておりました。

このごろ、「その環境」に身を置くことで、
「環境」から得たものが、未来の自分から出てくるんだなあと感じることがよくあります。

ポンポンさんも、
ロダンのもとで人間のリアリティを徹底的に彫り出していたからこそ、
単純化しても、まるで今にも動き出しそうな生命感を生み出すことができた。
さらに、動物が好きで、いつもいつもスケッチしていたからこそ、
長い時間はかかったけれど、
「自分の動物」を彫ることができた……。

私は、暮らしと向き合うことで、その中で少しずつ感じたこと
工夫したことを、文章に書きます。

みんな、自分の日常=環境の中で、
毎日ご飯を作ったり、毎日掃除をしたり、毎日家族と話したり、
毎日窓から空を眺めたり、毎日庭仕事をすることで、
意識はしなくても、
自分の中にしんしんと何かが降り積もります。

それってすごいことだなあと……。

だとすれば、もし自分を変えたいとか、
新しい何かを得たいと思ったら、
自分を変えるんじゃなく、「環境」を変えてみたらいい……。

引越しをしたり、部屋の模様替えをしたり、
日々のご飯作りの方法を変えてみたり、
掃除グッズを変えてみたり……。

そこに適応するために、
私たちは、また暮らしをちょっと変え、
時間の使い方を変え、
そこでの経験が、ほんの少しではあるけれど変わってきて、
それがまた降り積もって、
やがて、何年か先の未来に
その経験が、手先からこぼれ出るように出てくる。

「こんな人になりたい」
「将来こんなことがやってみたい」
と思っても、どこから手をつければいいのか途方にくれるし
「ほんとにできるのかなあ」と、見えないゴールに不安になります。
でも、「今」に真摯に向き合ってさえいれば、
「今」は、必ず降り積もって、
いつか、私の体から、そこで見て、聞いて、やってみたことすべてが出てくる……。

そう考えれば、
「今」がとても尊いものに思えてきます。

少し遠出をした日には、必ず道の駅によって、
新鮮な野菜をしこたま買って、
帰ったら鍋にする、というのが定番です。
この日は、ちぢみほうれんそうで、常夜鍋にしました。
おいしかった〜!

みなさんは、どんな環境で、どんな今を積み重ねていらっしゃるのでしょうか?

今日もいい1日を!


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