「がんばらなくてもできること」の中に力が潜んでいるかも。

大阪の「triproom gallery」で開催中のフォトグラファー枦木功さんの個展。
先日、そのオープニングイベントのトークイベントに参加してきました。

今回の個展のテーマは「ランドスケープ_エスケープ」。
枦木さんは、ずっと写真家の石川直樹さんに憧れ、山に写真を撮りに行っていたそうです。
石川さんといえば、キリマンジャロやエベレストなどに登ったり、
世界中を旅して、その「行為の経験としての移動」「旅」をテーマに写真を撮っている方。

「でも、どうやっても石川さんみたいないい写真が撮れなかったんです」と枦木さん。
そこで、彼のような写真を撮ることをあきらめた。

石川さんはフィルムで写真を撮っていましたが、
デジタルカメラに持ち替え、山に行ってみたら、
ふと気持ちが軽くなって、「自分の写真」が撮れるようになったそうです。

「あきらめたから、はじまった」
と枦木さんは語ってくれました。

何かを「あきらめる」って、なかなか難しいことです。
今まで「そこ」を目指してがんばってきたならなおさら。
それを一旦捨てる……。
そうやって、両手を空にしたとき、
初めて、自分がつかみたいものは何だったのかを考えることができます。

この写真の後ろにある写真は、枦木さんがインドのダラットで撮ったもの。
いちばん上の山は、白からグレー、黒に写っています。
私は、てっきり山がこんな色なのかと思っていたら……。

「実はこれ、雲の影なんです」とハッシー。(仕事仲間はみんなこう呼びます)
本当の山肌は、下の方のような茶色で、
そこに、雲の影がおちたとき、
この風景が撮れたそう。

トークイベントの中で、ハッシーがこう語ってくれたとき、
私は、自分が登壇していることも忘れて
「へ〜〜〜〜!!!」と心底びっくりしました。

山の写真を撮っているのに、そこには雲の姿までが写っていた……。
ハッシーが「あきらめて」から「はじめた」のは、こういうことだったんだ!って……。

当たり前に山を見ていたら、そこにある雲の姿に気づかなかったかもしれません。
でも、なにかを「やめて」、新しく扉を開けてみたら、
今までと同じ風景の中からでも、新しい発見をすることができる……。

ハッシーは、山に登って、ご来光をみんなが眺めているとき、
くるりと振り返って、登ってきた太陽とは逆側を見るそうです。
太陽が登ると、急に気温が上がって、そこにはもくもくと雲がでてくるんだそう。
その風景はご来光に勝るとも劣らず美しいのだいいます。

すごいなあ〜!
くるりと視点を変えるって。

 

いつも読んでいる、勝間和代さんのサポートメールにこんな言葉がありました。

「がんばれば、何とかなるというのは実は自信過剰なのです」

なんと! そっか〜と思わず唸りました。

「私たちが自然体ではなく、必要以上にがんばらないといけないという状況はすでに問題を抱えています」。

がんばらなくても、自然にできること。
意識に頼らず、無意識にやっていること。
今までは、「当たり前じゃん」と思っていたことの中に、
実は、とてつもない「自分の力」が眠っているのかも……。

「無理」を手放して、軽やかに歩き出せば、
ハッシーが見たように、私にしか見えない山が見えてくるかもしれないなあと
ちょっとワクワクしました。

みなさんにとって、「がんばらなくてできること」ってなんでしょう?

 

今日もいい1日を!

 

 

枦木さんの個展は12月5日まで開催中です。
TRIP ROOMギャラリー
大阪市吹田区垂水町3-34-22-2階南

2021年11月27日〜12月5日 11:00~18:00 (月曜休み)

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