主役から脇役へ。うまく老いるって?

木々の紅葉が始まって、少しずつ冬の足音が聞こえてきます。
みなさんのお住まいのあたりは、いかがでしょうか?

先日、吉祥寺のコロモチャヤさんで打ち合わせがあり、
ず〜っと食べてみたいと思っていた、この秋の新作デザート、
クラシックプリンをいただいてきました。

いや〜、おいしかったなあ〜。
私は、少し前に流行った「とろとろプリン」系が苦手で、
幼いころ、母がオープンで焼いて作ってくれたような、
卵の香りがする、しっかりと固いプリンが好き。
このコロモチャヤさんのプリンは、「クラシック」という名の通り
そんな昔ならではのプリンなのです。

でも、やっぱり母のものとは違って、洋酒がちょっときいていて
大人の味わい。
甘さを抑えたフワフワのホイップクリームを絡めながらいただくと、
かなりのビッグサイズなのに、ペロッと頂けちゃいます。

さて……。
ベストセラーともなっている
不安と折り合いをつけて、うまいこと老いる生き方」という本を読んでいます。

精神科医だったという92歳の中村恒子さんに、
同じく精神科医、産業医で54歳の奥田弘美さんが話を聞きながらまとめた本で、
私は知らなかったのですが、「心に折り合いをつけて、うまいことやる習慣」という
本がこれまたベストセラーになり、その第2段だそう。

まだ読み始めたばかりなのですが、最初からグッとくる1文が……。

「主役から、脇役へ。新たな役割を受け入れるごとに、『素敵なお年寄り』になっていく」

う〜ん。なるほど。
私は若い頃から「いいライターになりたい」とか「人よりうまく書けるようになりたい」
とか「自分の名前で勝負できるようになりたい」など
野心ギラギラ人間でした。笑

つまり「主役」になりたい願望が強かったなあと思います。
それはそれで、自分で腹を括るために必要であったとは思うけれど、
50歳を過ぎた今、人と競っているだけでは、
自分が主役になろうとあがくだけでは、
幸せになれないんじゃなかろうか……と感じています。

そんな時、中村さんはこんな風に語られるのです。

「子どもたちが独立してくれてからは、仕事は『いつ辞めてもええから、
人の役に立つ間だけ無理せずに働かせてもらいましょ』って心境で、
すごく気楽になったわね」。

人生後半は、できれば自分に無理をせず、
ラクな心持ちで、周りの人と一緒に笑いながら「うまいこと老いて」
いきたいなあと思います。

そのためには、主役を降りて、脇役に回る……。
今すぐ仕事を辞める、というわけではないけれど、
「脇役の心」を受け入れることは、少しずつはじめていってもいいのかなあと思います。

今まで仕事が優先順位の一番だったけれど、
それをちょっと緩めて、誰かとお茶を飲みにいくだけでもいいのかも……。
何かにプラスになることを、とつい考えてしまいがちだったけれど、
何にも生み出さなくても、ただプリンを「おいしいね」と
食べて帰ってくるだけでもいいのかもしれない。

上手に寄り道を楽しめる練習を少しずつ始めたいなと思います。

みなさま、今日もいい1日を!


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