大雑把から細やかに

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突然ですが……。
ずっと自宅で作ってみたかったベーコンを作りました。
ただし、「なんちゃって」ベーコンです。

市販のベーコンって、裏を見るといろんな添加物や保存剤が入っていて、
いつも「ムムム」と思っていました。

先日、このサイトの「もの風景」でも作品をご紹介した陶芸家の大谷哲也さんにお会いして、
本格的燻製とは違う「なんちゃって」のやり方を教えていただきました。
梅雨の時期作るなら、カビが生えたりと失敗しやすいので、
オーブンで作るのがおすすめなのだとか。
しかも市販のスモークウッド(燻製用チップとは違い、煙だけが出て、お香のように
燻製の香りをつけることができます)を使えば簡単。

豚バラ塊を買ってきて、塩を刷り込み1週間ぐらいおきます(2〜3日でもできました)
その後水につけて塩抜きして、
オーブンを120度ぐらいの低めの温度にして2時間ぐらい焼きます。
その後、スモークウッドに火をつけて、鍋に入れ、その上にオーブンで焼いた肉を並べた蒸篭をのせ
煙で香りをつければ完成!

もう、それは感動するぐらい、いい香りで美味しいベーコンができました。
時間はかかりますが、ずっとついていなくていいので、何かをしている合間にできます。

こんなことをしていると
「マメだね〜」と言われます。

でも、私は、周りの仕事仲間の間では知る人ぞ知る大雑把人間です。

ベーコンを作ったり、ジャムを煮たり、と楽しいこと、新しいことは
多少手間がかかってもやるのですが、
面倒臭い確認事項となるともうダメです。笑

先日も、ある人に送る企画書をちゃんと確かめずに、全く別の人に送ったものを添付して送る、
という失敗をしでかしたばかり。
最後にちゃんと書類をもう一度見る、確認する、ということをせず
「とにかく急いで送っちゃえ〜!」となってしまう……。
校正で赤入れするときも、全くザルのように取りこぼすし、
ほんと細やかさに欠けるのです。

どうにかしなくちゃ、と思いつつも……。
正直に告白すれば、
心の片隅で、「だって、私は大きくものを見る人なんだもん!」と思っていたのも事実。
物事の片隅から一歩ずつ進めて、ミクロの視点になり、全体がどうなっているのかわからない……
というよりも、「これはこういうことなんだ」「こっちへ向かって進んでいるんだ」と
大きく捉えて、全体を把握しておきたい。
だから、ディティールは、全体を把握した後に詰めればいい。
どこかでそう考えていたのだと思います。

ただ……。
ここ最近、私の身の回りで起こることが、私に
「そろそろミクロの視点を持ちなさい」
と言っている気がしています。

先日ご紹介した、キャスターの国谷裕子さんの、インタビュー前の準備の緻密だったこと!
おへその別冊「わが家 お金を整える」では、元朝日新聞編集委員の稲垣えみ子さんは
暮らしの本当に小さなことから、お金を使わず工夫する実験的生活を営んでいらっしゃいました。
暮らしのまんなか」で取材したエッセイスト、広瀬裕子さんは、
数学者、森田真生さんがの書籍を深く読み、お話会を企画されていました。

みんな視点が小さく深く緻密だった……。

もしかしたら、私は前ばかりを見て走り続け、足元にあったものを全部すっ飛ばして
きてしまったのではないか……。
そんな気分になりました。

世の中には、「そんな小さなことにこだわっても、何の意味があるの?」
というさもないことがあります。
毎日新聞のコラムに目を通すことだったり、
ボールペンの芯を取り替えてまた使うことだったり、
今日食べたものを書き残しておくことだったり……。

そこに、心を向けて静かに何かを積み重ねてみたい……。
それが今の私の憧れです。

今まで私は、知らず知らずの間に「結果を出す」ことだけにフォーカスしていたのかもしれません。
そろそろ、すぐに役に立つわけじゃないんだけれど、
自分の興味の畑を耕すような楽しいことを
見つけ始めようかなあ、と思うこの頃です。

 

 

 


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