もう「成果」を目指す生き方はやめてみてもいいのかも、と初めて思った日。

日が暮れるのがどんどん早くなってきて、ちょっぴり寂しい気分です。
庭のホトトギズの蕾が膨らんできました。
秋ですね〜。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

先日駅のポスターで見た雑誌「anan」のテーマは「ターニングポイントのつかみ方」。
なんだか面白そうで、ひさしぶりに手にとってみました。
拙著「大人の片づけ」を書いたのを機に、
本を増やしすぎないよう、電子書籍を利用する機会が増えました。

その中で山崎ナオコーラさんが「足元にソーダ水」というエッセイを書いていらして、
それにもう!!
本当に衝撃を受けました。

まずは書き出しからこんな感じ。

昔、「仕事は、誰かから認められないと始まらない」と私は思っていた。

ええ、ええ、私もそう思っていますよ!
と思いながら読み進めてみると……。

数年前にお父様ががんを患われたそうです。
体力が落ちていく日々の中、ベッドテーブルで震える手で新聞を広げ
新しい言葉に出会うと自分のノートに書き写していたそう。

「新しい人生もおそらくない、と自身でも思っているはずだが、
新しい言葉を覚えようとしている。
父のその行為を垣間見て、私はちょっと感動した」

「震える手で新聞をめくったり、字を書いたりすることは、冒険でもあったと思う。
(中略)つまり、冒険はベッドの上でもできるのだ。
『人と比べてすごいことをやる』のが冒険ではなく、
「自分が冒険だと感じることをやる』のが冒険なのだ」

「それに気づいてから、私はだんだんと自分の小さな暮らしや地味な仕事環境に
満足するようになってきた」

私も最近、老いた父の姿を見る機会があって、
この体験が胸に染みました。
さらには、ずっと「もっともっと」と生きてきて、
この先もずっと「もっともっと」って言っていないといけないのかなあ、
何かが違うよなあと、この数年ずっと考えていました。

いろんなことが、このナオコーラさんのエッセイでパシリ!とつながった気がしたのです。

そっか、もう「成果」を求めなくてもいいのかも……。
そう思いました。
思い返せば、私はずっと「成果」を気にして走り続けてきたよなあと思います。

本を出したら売れて欲しいし、重版がかかってほしい……(笑)
仕事をしたら「すごいね」って言って欲しい。
でも……。
もちろん、今もそう考えるんだけど、もうそろそろ、そこを目指さなくてもいいんじゃない?

そう思えた自分にびっくりしたのでした。

「成果」を求めるからこそ、自分の中に「足らないこと」を見つけ、
それを補うために頑張れると信じてきました。
でも、「成果」は自分の力だけではコントロールできません。
それに振り回されると、本当に大事なことを見失ってしまいそう……。

朝ドラ「おかえりモネ」で、モネちゃんは東京でお天気キャスターの仕事をしているけれど、
地元の島に帰ろうとしています。
今までの私なら、「東京でキラキラ活躍する方がずっといいじゃん!」
と思っていたと思います。

でも、「成果」だけが「正解」でないとしたら……。

そう考えてハッとしました。
キラキラしたキャリアを求めることをやめたら、
「島へ帰る」という選択肢を手にすることができる。
だったら、「成果」を目指す生き方をやめてみたら、
もっと生きる選択肢が増えるのかも……。
すると、なんだかワクワクしてきたのでした。

まだ、「このこと」は考え始めたばかり。
ちょっといろいろな角度から検証して、より深めていきたいなあと思っています。

山崎ナオコーラさんのエッセイ、全編読んだらすご〜くいいので、
機会があったら、ぜひ読んでみてくださいね。

みなさま、今日もいい1日を。

 

 

 

 

 

 


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