自分を半分だけ明け渡すって楽しいかも。

みなさま、台風の影響はいかがでしょうか?
早く行きすぎてくれることを祈りつつ。
どうぞ気をつけて、お過ごしくださいね。

昨日は、拙著「うちでごはん」の新刊記念プレイベントの、インスタライブにご参加くださったみなさま、
ありがとうございました。

おやつを食べながら話をする。
ってことしか決まっていなくて、
「これって、みなさんに面白がっていただけるのかな?」って少し不安だったのですが、
「楽しかったです〜」「また、やってください〜」というコメントをたくさんいただいて、
ほっとしました。

みなさんがくださった「このお菓子、おいしい!」っていうコメントをメモできなくて残念……。
でも、終わってからインスタのコメントで教えてくださった方もいらして、
新潟銘菓の「流れ梅」というお菓子がめちゃくちゃおいしそうで、
よし!取り寄せようと思ったら、今年はもう終わっていました………。
来年こそ!

上の写真は、富山の不破福寿堂さんの「鹿の子餅」です。
ふわっふわで柔らかいのにしっかりと角が立っている不思議なお菓子。
中に金時豆(昨日間違えて黒豆とお伝えしてしまいました。訂正します!)が入っています。

昨日もいろいろ急須をご紹介しましたが、
最近、夫用に急須を買いました。それがこちら。

ミニマリストのやまぐちせいこさんがブログで紹介されていたのをずっと前に見て
シンプルでいいなと思っていました。
煎茶堂東京の「割れない『透明急須』」というもの。

夫は最近「朝に煎茶を飲むと体にいいらしい」という情報をどこかで仕入れてきて。
せっせと朝から自分でお茶を入れておりました。
でも、我が家にあるのは、作家さんの作った急須ばかり。
それを使ってくれて全然OKなのですが、
「洗うのが面倒くさい!」というのです……。

飲んだ後、茶葉を掻き出して、捨てて、中を洗う……。
というのが面倒なのだとか。

で、「あのとき、見たあれがいいかもしれない!」と思い出したのでした。

中に茶こしがついているので、茶殻をさっと捨てられて、
口が広いので洗うのも簡単です。

インスタライブが終わって、
「今日は手抜きご飯!」と宣言し、鶏肉を焼いただけ。
白なす(先日、『地産マルシェ』で『おいしいよ』と教えてもらって買っておいた)を焼いて、
残り物の仙台麩の煮物とサラダで夕ご飯に。

やっとひと段落し、IGTVを見直しながら、「楽しかったな〜」「やってよかったな〜」と
ひとりでにんまりしておりました。

いつもイベントの前には「これって、ほんとに面白いかな?」と不安になります。
私はいつも言っているように「明るく閉じている」性格なので、
人と交流することがいまいち苦手…….
でも、やってみると、みなさんに暖かいコメントをいただくこともあって、「よかったなあ〜」と思うのです。
自分の力ではなくて、誰かに「いただきものをする」って、
本当に心がポッと暖かくなるものですね。

「いただく」って難しい。
それは、「自分でどうにかする」っていうことを手放すことだから。
「自分の努力でどうにかする」という世界は、意外に簡単なのです。
自分が、がんばればいいだけだから。

でも、「人とコミュニケーションをする」というのは、
自分が頑張るのは半分。
そして、半分を相手にお任せしなくてはいけない……。
私はその「不確定さ」に不安になって、お尻がもぞもぞして、扉を閉めちゃいたくなるのだと思います。

でも、半分明け渡したときに、入ってくるものって、
「自分の努力では手に入らないもの」だからこそ感動する……。

若いときから「群れる」とか「つるむ」とかがとことん苦手だったけれど、
人生後半にはちょっと、自分を開いてみようかなあと思っています。

「暮らしのおへそ vol30」でご紹介した小曽根真さんの奥様、神野三鈴さんが、
あるウェブサイトのインタビューで語っていらしたことが印象的でした。

イギリスやドイツの映画館や劇場では、
休憩時間になると、観客がロビーに集まって、一杯飲みながら
その作品について議論を交わす習慣があるそうです。

三鈴さんは、それを「半分社交、半分プライベート。夕暮れの文化とでも言えばいいのかしら」
とおっしゃっていました。

その記事に綴られていた

「職場でもなく、家庭でもなく、趣味や嗜好があった人を結ぶ「サードプレイス」」って、いいなあと思ったのでした。

閉じてる私が、人生の後半に目指すコミュニケーションは、この「夕暮れの文化」なのかもしれません。

雨がひどくなってきました。
みなさま、どうぞお気をつけて。


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