扉を開く

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先日、松浦弥太郎さんに呼んでいただき、「スチーヴ」のイベントに参加してきました。
「スチーヴ」は、松浦さんが主宰されている「くらしのきほん」や、「灯台もと暮らし」「箱庭」など
さまざまなメディアが集まっている「プラットフォーム」みたいなものだそうです。

実は、参加する前は、とっても気が重かったのです……。
だって、お会いしたことがあるのは松浦さんだけだし、
どんな人が集まるのか読めないし、
なんだか、若者が多そうで、
アウェイ感満載。

あ〜、やだな〜。気が重いな〜。
病気になっちゃいたい……。
そう思いながら会場に出かけました。

控え室として通された部屋で初めてお会いしたのが、
この日来ていただいたみなさんに出す料理を用意してくださった「坂ノ途中」の
倉田優香さんと原田有佳子さん。
「坂ノ途中」は京都を拠点に無農薬、無化学肥料、有未栽培など、持続可能な農業の普及のために活動している会社だそう。
東京には代々木に小さな八百屋さんがあるのだとか。
私よりぐんと若いそのおふたりの明るかったこと!
挨拶するや否やおしゃべりに花が咲き、私の心のモヤモヤを吹き飛ばしてくれたのでした。

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次にお会いしたのが、野菜をつけて食べる味噌を持ってきてくれたという山梨県の「五味醤油」の五味洋子さんと、発酵デザイナーというヘンテコな肩書きの小倉ヒラクさん。
トークイベントの前におふたりで、味噌作りのワークショップをされました。

 

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このおふたりのお話も超おもしろかった!

実家が味噌屋なのに、自分で作る味噌のワークショップをしている五味さん。
スキンケア会社のデザイナー部門でバリバリに働き、身体を壊したときに発酵食品を食べぐんぐん調子が
よくなった、という経験を経て、「発酵」を学ぶようになったというヒラクさん。
(上の写真はヒラクさんの新著「発酵文化人類学」 今読んでます!)
「え〜、ほんとに?」「へ〜、そうなんだ」「どうしてそうなったの?」
私は、すっかりインタビューモード全開!

自分のトークイベントがなかったら、もっとつっこんであれこれ質問したかったなあ〜。

そして、気づいたら、すっかりリラックスしていたのでした。

さらに、おふたりのワークショップをちょっと覗いてみたら……。

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1時間という限られた中で味噌作りができるよう、
「味噌作りキット」というのが配られていました。
この箱の中に、すでに煮た大豆や説明書などが入っているのです。
そのデザインの素敵なこと!
これもヒラクさんのデザインだそう。

あ〜、味噌作りのワークショップってこんなにコンパクトにこんなにおしゃれにできるものなんだ、
とすごくいい刺激になりました。

あんなに気が重かったのに、
気がつけば、若者たちのパワーと新しい視点や感性、アイデアに
本当にいろんなことを教えてもらい、ワクワクしている自分がいました。

 

そして松浦さんとのトークイベント。
この詳細は、のちにスチーヴのサイトにアップされるそうなので、
ここでは詳しく書きませんが……。
松浦さんのお話でひとつ心に残ったこと。

松浦さんはご自身のサイト「くらしのきほん」をほぼひとりで運営されています。
私もこの「外の音、内の香」をひとりで運営しています。
大事なサイトを長くずっと続けていくためには、ある程度の利益を出さなくてはいけません……。
私のサイトはまだ始まったばかりなので、お金を生みません。
どうしたらいいのでしょう……と松浦さんに聞いてみました。

すると……。
ずっとやっていくと、「信頼」がついてくるんです。
とひとこと。

なるほど〜と思いました。
私が目指すのは、このサイトを読んで面白いな、ちょっと元気になったなと思ってもらえて
また読みたいと思ってもらえること……。
今はコツコツ書き続けていけばいいのかなと
教えていただいた気がしました。

こうして、終わってみればいろんな収穫があって
あ〜楽しかった!
と行きとはまったく逆の心持ちで帰路についたワタクシ。

そして思ったのです。
自分が知らない人、まだ見ぬ世界はまだまだある。
大人ぶっていないで、
もっともっと新しい扉を開け続けないといけないな〜って。

みなさんも、「あっちは私とはちょっと違う人間関係だから」とか
「あそこは、私の好みとは違うから」って
扉を閉めてしまうことってありませんか?

もしかしたら、「違う」ことの中にこそ、
まだ見ぬ何かが隠されているかも。
知っている、見たことがある世界の中で拾えるものは、
すでにもう一度手にしたことがあるものだけ……。

「私と違う」ってすごく魅力的な世界なのだなあと思いました。

 

 

 


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