会社の仕事も原稿を書く仕事も、おかげさまで商売繫盛。いつもお世話になっている皆さんありがとうございます。
思い返せば、会社で今の仕事を担当するようになって5年目に入ります。ブログから始まった執筆活動もほぼ同時にスタートしたので、ダブルワーク体制も5年目。それまで省エネ・コンサバに生きてきて溜め込んだエネルギーを、根こそぎ使っている感じでしょうか。

やっと着れた単衣で伺いました。
さて2025年は、少しモードチェンジします。
力技ではなく、仕組みから変える。瞬発力だけでなく持続力も大事。仕事の構造転換だけでなく、年明けに通い始めたピラティス・飲み始めたサプリ・やることリストの優先順位づけ……コツコツと生活改善を進めています。
そしてもう一つ、ずっと心惹かれていた「茶道」。日本文化と精神性の集大成であり、資本主義とは違う世界線がそこにはある……らしい。気づけば、関連本もこんなに集めてしまいました。

思えば和装をはじめたときも、その先にお茶の世界が広がっているのを予感していたのかもしれません。SNSを介した素敵なめぐりあわせの末、「茶道の世界」をほんの少し垣間見る機会がありました。
「美しく暮らす私に還る ~茶道はじめの一歩~」
イベントの主宰は、起業家で茶道裏千家師範でもある赤木美日さんと、テーブル茶道家の星野容子さん。
私は赤木さんのインスタグラムのファンで、仕事に遊びに家族との時間に、いつもはつらつとした姿に元気をもらっていました。そしてそんな赤木さんが、茶道を広める活動をはじめられるとのニュースが。私はまったくの初心者、そして赤木さんのSNSに出てくるようなキラキラしたタイプでもないので少し気が引けたのですが、えいや!と参加してきた次第です。

会場は汐留パークホテルの、大きな窓が広がる素敵な一室。主催のお二人はシックな着物を身にまとい、広いテーブルには星野さんが選んだモダンな茶器が並びます。参加者一同、まずは目から癒されます。

茶道歴20年の裏千家師範、赤木美日さん。地方創生と自然共生をテーマに起業した実業家でもあります。

テーブル茶道家の星野容子さん。お二人とも、所作が本当に美しい。
会の冒頭では、茶道の基礎知識と共に、お二人がこれまで茶道から受け取ってきたことなども紹介。どんなに慌ただしい日常の中でも、ほんのひととき、小さな茶盆の上だけででも、心を平和に落ち着かせる……。仕事や育児に忙しい生身の現代女性であるお二人の実体験をもとに語られるお茶の魅力、すっかり引き込まれている自分がいました。
その後レクチャーを受けながら自分でたてた薄茶は、心がほどける豊かな香りと、意外なほどに飲みやすい素朴な味わいです。用意していただいた美味しいお菓子と共に、口の中に「和」が結ばれる感じ。「お、おいしい…」とあちこちから声が上がり、参加者同士目を合わせてニコニコです。


ぽちゃり、音がひびく。蛙か、それとも虫だろうか。ぽちゃり、ぽちゃり。はっとし、胸を押さえる。自分のなかから、漏れだした音じゃないのか。――『且座喫茶』(いしいしんじ/淡交社)より
この日、バッグの中にひそませていた一冊。長年お茶の稽古に通っている作家のいしいしんじさんが、全国各地の茶事や茶会に参加した記録です。茶事にまつわる人・お茶・器・しつらえ・空気……そして思い出。「お茶の一期一会」が、水墨画のように書き留められています。
戦国時代、武将たちを魅了した茶道の世界。血なまぐさい現実を生きながら、同時に「和敬清寂(※)」の茶の湯の世界を愛するという矛盾。私はそれがとても、人間的であると感じます。デモンストレーションをしてくれた赤木さんの清潔な手つき、ただようお茶の香り、目の前のお茶をあじわうことに集中する参加者の静けさが、それぞれが日々背負っているであろう現実の重さと同時に存在することに、なんだかとても納得したのでした。
※和合・敬愛・清廉・閑寂を示し、千利休の茶の精神をあらわすとされる四字熟語

日々、赤い血にまみれていた戦国の武将たちは、みどりの血、光の血を欲し、「和」を求めていった。それは、ただ安寧を、長閑さを欲するのとはちがう、命がけの「和」だったのではないだろうか。――『且座喫茶』より
今すぐではないかもしれませんが、お茶、はじめてみたいです。国際情勢・日本の政治・労働環境どれをとっても、ある種の戦時下に私たちは生きているんですもんね。今こそ茶道が必要な気がする……と感じた、土曜日の昼下がりでした。