チャイを淹れるひとときで、自分の居場所が見えてきました。 五十嵐安恵さん vol.2

新潟県三条市で、豆乳を使った「チャイ教室」を開く、五十嵐安恵さんにお話を伺っています。
前回は、チャイの本に出会ってから、
迷って、思い悩んで、やっと教室を開くまでのエピソードをお届けしました。

不定期で開いている「チャイの部屋」では、
少人数で、いろいろなチャイの淹れ方を教えているそうです。

マサラチャイ、ほうじ茶チャイなどを、牛乳と豆乳で。

まずは、五十嵐さんが実際にチャイを作りながら手順を説明してくれます。
ポイントは、鍋に水と茶葉を入れて、しっかり煮出すこと。
ここで、紅茶のコクとスパイスの香りを引き出すことで、
牛乳や豆乳を入れても、味が薄まることがありません。

さらに砂糖でしっかり甘みをプラスするのも、
スパイスを引き立てるコツなのだとか。

一連の作業を終えて、出来上がったチャイを「おいし〜!」といただいたら、
いよいよ、今度は私ひとりで作ってみることになりました。

見るだけなのと、実際にやってみるのは大違い。
鍋の中の水と茶葉がフツフツと沸騰してきたら、
「あわわ……。これ大丈夫?」と火加減が心配になったり、
どれぐらい煮出したら火を止めていいのか、
その塩梅を見極めたり……。

チャイ作りを教えて全国を回っている神原さんのワークショップに参加するために、
新潟から東京へ出かけていったこともあったそう。

「ワークショップの空間がすごくしっくりきたんです。
紅茶やスパイスの香りがして、
周りは知らない人ばかりなのに、こんなに居心地がいいんだ!って。
ワークショップは『参加するもの』だと思っていたのに、
ちょっと自分でやってみたいな、って思ったんですよね」。

でも、夫の両親と同居の上、子供がいる自宅での開催は無理。
足踏みしている時間が長かったそう。
「ちょうどコロナになって、自宅でチャイ作りに没頭していましたね」と五十嵐さん。

そんなとき、やっと近所のカフェが営むスペースに巡り会いました。
そこからは、茶葉を1回分ずつ小分けにしておいたり、
スパイスをブレンドしたり。
ワークショップのためのノウハウや、システムを自分で構築していったそう。

水と豆乳は同量で。
茶葉を煮出す時間は3分半。

「豆乳のパッケージの裏に、沈澱しやすいから振ってから使った方がいい、
と書いてあったので振っていたんですよね。
ちょっと考え事をしていたら、ふと気づくと長時間振り続けていて……。
その泡だった豆乳でチャイを作ったら、すごくおいしかったんです。
それを機に、シェーカーで豆乳を振ってから加えるようになりました」

シェーカーで泡立てたら、鍋に泡まできちんと加えます。
グラスには、泡立つように注ぐのがコツなのだとか。

こんなふうに、ほんの少しの火加減、茶葉とスパイスのバランス、
豆乳の加え方などで、味が微妙に変わってくるのが、
チャイづくりの面白さなのだそう。

さっそくできたてをいただいてみると……。
スパイスがしっかりきいて、ほんのりとした甘み。
牛乳よりもずっとさっぱりといただくことができます。
しかも、スパイスの力で豆乳っぽさがあまり感じられないので、
豆乳が苦手な人もおいしく飲めそう!

若い頃から「私はこれをやりたい」とか「何者かになりたい」
という思いはまったくなかったのだと言います。

でも、子育てがひと段落した頃にチャイと出会い、
初めて「何かができるかも?」と感じ始めました。
ただ、それは「今のまま」では実現できない。
家族のためにご飯を作りながらはできない。
とずっと諦めていたそう。

「もしかしたら、『場所』を探したらいいのかも」
とひらめいた時、ことが動き出しました。

レンタルスペースを借りての教室を始めてみると、
チャイ作りの楽しさを誰かと共有できることはもちろん、
自分も、「いつも」から一歩抜け出し、家庭から離れることで、
妻でも母でも嫁でもない自分を楽しめることに驚いたのだと言います。

「チャイってすごいですね。
なんだか、チャイに肩を叩かれたような気がします」と笑う五十嵐さん。

同じようにチャイに興味を持ってくれる人は、
今までのママ友とも、近所の同世代の仲間とも違い、
同じ価値観でつながることができるようになってきました。

コトコトと茶葉を煮出し、豆乳を加えて、
砂糖や小豆、そして塩少々で味を整え、1杯のチャイを淹れる……。

それは、五十嵐さんが「自分で自分の楽しみを見つける」ためのひとときでもあったよう。

たった一杯だけれど、
その一杯に含まれる工夫や思いや力は、想像以上に大きなもの。

自分のためにチャイを淹れる。
そんな体験を、五十嵐さんと一緒にしてみてはいかがでしょう?

五十嵐さんのチャイ教室は、レッスン予定日は設けずに、
希望の日時を伝えて、五十嵐さんの都合と合わせてレッスン日を設定するシステム。
ひとりでも、友達と一緒(3人まで)でも申し込むことができます。

▷MENU/HOT
❐ 牛乳
• マサラチャイ
• ほうじ茶チャイ
❐ 豆乳
• マサラチャイ
• ほうじ茶チャイ

*MENUの中から気になるチャイを作っていただきます

▷場所
イトウヤカフェ(@itoya.cafe.___281004 )
三条市荒町2-19-10
「離れの個室」または「アネックス」

▷時間
約90分
平日は13:00〜、15:00〜(⚠月曜定休日)
土日は11:00〜、13:00〜、15:00〜

▷レッスン料
2000円

▷お申込み
DMよりご希望の日時とお名前またはニックネーム、人数をお知らせ下さい🗓️

例  〇月〇日、13:00〜、チャイ子、1人

*お申し込みいただいた日時でお部屋が空いていない場合はご相談となります

詳細は、五十嵐さんのインスタグラム@kaorihirogaruをチェックしてみてくださいね。

 

撮影/黒川ひろみ

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