都会でエコ生活その3 生ゴミとの快適な付き合い方

レジ袋が有料になりました。日本もプラスチックのゴミ問題について、ようやく向き合うようになったことがとても嬉しいです。

私たちが生活で使うプラスチックは多種多様にあり、全体の量から考えるとレジ袋の割合はとても低いという指摘もあります。しかしレジ袋はポイ捨てから、川や海に流れ、その先で動物や鳥、魚が間違って食べてしまうこと、また軽くやわらかいことから風に飛ばされやすく、かつ紫外線や水の流れの中で早く劣化し、マイクロプラスチックになりやすいと言われています。

マイクロプラスチックを海の生物が食べ、それらは魚介類として、私たちの食卓にも上ります。また海水にマイクロプラスチックが含まれることで、私たちの日々の料理に欠かせない塩にも、マイクロプラスチックが含まれてしまいます。韓国の研究者グループ(注1)の調査によると、世界中で生産されている塩の9割からマイクロプラスチックが検出されたとのこと。

たかがレジ袋、されどレジ袋。手軽に使ったその1枚は、いつか自分の元へ戻ってきてしまうのですね。そして知らず知らずのうちに、私たちも食べてしまっている可能性も。そう思うと、レジ袋が有料になった意味が大きなことであると思えませんか?

さて、レジ袋をもらえなくても、エコバックを持ち歩くことで問題は解消できます。しかしながら、生ゴミを捨てるのにレジ袋がないと困るという声を聞きます。生ゴミはこの季節、臭いの問題にも悩まされます。ならば、レジ袋が手に入らなくなったこの機会に、ぜひトライしてもらいたいものがあります。

コンポストです。

私は、料理と庭仕事が好きなこともあり、生ゴミをコンポストで堆肥化しようとチャレンジしてきました。始めたのは10年前ぐらいでしょうか。最初にトライしたのは、庭に設置する釣鐘状の形をしたコンポストです。庭がある方に限られてしまうのですが、コンポストに生ゴミを投入し、土と混ぜるだけなので、とても簡単です。同じ仕様のものを段ボールで自作することもできます。段ボールであれば初期投資はほぼ不要で、手軽に始めることができます。

しかしいずれも、虫に悩まされました。生ゴミを投入する際に虫が混入したり、コンポストの蓋やかき混ぜるスコップに虫がついていたり、卵を産みつけたりすることがあります。そのことに気づかず、しばらく放置したり、熟成してしまうと虫が大量に湧いてしまうことがあるのです。

実際、私は蓋を開けて、卒倒しそうになったことがあります(書くのも恐ろしいですね。)ズボラな管理の私には向かないことがわかり、一時は断念しました。

しかし、最近はもっと手軽なコンポストが登場しています。室内で管理できたり、虫の混入がないようにと工夫がされています。特に使い勝手がよかった2種類をご紹介します。

1つ目は、EM菌を使った生ゴミ処理容器です。EMペールやエコペールと検索すると見つかります。バケツ型の容器で、生ゴミと生ゴミを発酵させるためのぼかし(EM菌)一緒に入れて蓋をするだけです。室内で管理できるで、虫の混入の心配が少ないこと、また台所に置いておけるので、切ったその場で投入できること、加えて大容量であることが魅力です。

バケツの中身がいっぱいになったら、2週間~1ヶ月ほど容器のまま熟成させ、さらに土に混ぜ込み熟成させると立派な堆肥になります。写真のように、土に混ぜた時点では野菜クズが見えていましたが、熟成が進むと見えなくなっていきました。生ゴミが土に還ったのです。なんと嬉しいことでしょう。

 

虫の大量発生もなく、無事に堆肥化できたことで私は感動してしまい、我が家ではエコペールを愛用しています。しかしながら、土と混ぜて熟成する場所が必要です。庭がないとハードルが高いなと感じます。

そこで、もっと手軽なものをとトライしてみたのが、トートバッグ型の生ゴミコンポストです。LFCコンポストと検索すると見つかります。トートバック型なので他のコンポストよりも小さく、持ち運びできること、ファスナーでしっかりと閉められ、スコップもカバンの中にしまえるため、虫の混入が少ないことが魅力です。そして何より、最初からバックの中に生ゴミを混ぜるためのくん炭などが入っているので、そのまま熟成できること。これは素晴らしいポイントです。

これなら何の準備もなく始められ、スペースも必要ありません。バッグを床置きすると底が湿気てしまうので、カゴなどの上に置く必要があり、どこにしようかと最初は悩みましたが、自転車のカゴに乗せることで解決しました。自転車を使うときだけ、一時的にバックを床置きしていますが、今の所は問題ないようです。

この2つを順番に使う(熟成期間はもう一方を使う)ことで、生ゴミをほぼ出さずに生活できるようになりました。生ゴミがなくなると、燃えるゴミの日に出すものがほとんどありません。もちろん臭いの心配も全くありません。うっかり、朝、出し忘れても大丈夫。煩わしい朝の仕事がひとつ減っただけで、とても快適です。

生ゴミを分解しやすくするためには、水気をよく切り、また小さく切る必要がありますが、調理中に生ゴミになる分までついでに切ってしまうと簡単です。ただ、とても疲れている日などは、小さく切ることも、生ゴミをペールに入れることでさえ、面倒だなと思う日もあります。そんな日は無理をせず、生ゴミは冷蔵庫に保管して、次の日以降に処理することにしています。

また、すぐに分解するもの、しにくいものがあります。肉や魚の骨、また、とうもろこしの芯のような大きいものは、分解するのに時間がかかります。これらは生ゴミ処理に慣れてきてからの課題としてとっておき、慣れてきてからでいいのではと思います。実際、我が家では、肉や魚の骨はごくたまにしか出ないということもあり、まだ燃えるゴミに捨てています。

それぞれの家庭にあった方法があると思います。全てをコンポストに入れることができなくても、これまでよりも生ゴミを少なくを目標に、できる日だけ、できる範囲でトライしてみてはどうでしょうか?これならできそうと思えるコンポストに出会ったらぜひトライして、生ゴミ臭のない夏を体験してみてほしいです。臭いのない快適さに感動して、ずっと続けられるのではないかと思います。コンポストを始めるなら、発酵が早い上、臭いの差がよくわかる、夏の間がおすすめですよ。

私のエコルール【生ゴミの処分編】
1)続けられるコンポストを見つける
2)分解しやすい野菜や果物のクズから始める
3)できない日は無理せず、冷蔵庫で保管してできる日に
4)臭いの出やすい肉や魚は慣れてきてから

*注1:参考サイト 一般社団法人環境金融研究機構
*この記事は2020年7月に書かれたものです。
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