前回に引き続き、吉田穂波さんの時間整理術について伺っています。
産婦人科医で4女1男のお母さんでもある吉田穂波さんは、
“緊急だけれど重要ではないこと”は、人に任せることにして、
“緊急ではないが重要なこと”に力を注ぐことにしたそうです。
でも、多くのお母さんたちは、
料理や洗濯などの“緊急で重要なこと”に大半の時間を取られているのではないでしょうか。
吉田さんはどうやって“緊急ではないが重要なこと”に使う時間を捻出したのでしょう?
「ハーバードに留学する前から、受験勉強の時間を捻出するため、
家事に優先順位をつけるように心がけていました。
子どもと一緒に過ごす時間は短いのに、
“子育て”のための時間が掃除や洗濯などのハウスキーピングに取られてしまうことに
フラストレーションを抱いていたのです。
子どもが構ってほしいのに「今お夕食の支度をしているから、後にして!」と言ってしまったり、
自分が疲れていても無理をしてお料理を作って結果的には自分がイライラしてしまったり。
そこで、週に2回ヘルパーさんに料理と洗濯をお願いすることにしました。
そして、週に何度かベビーシッターさんに子どものお迎えをお願いすることにしたんです」
と語ります。
人にお願いする時にも吉田さんの“受援力”が発揮されます!
近所のサークルで知り合った女子大学の学生さんに「力を貸してほしい」と、
ベビーシッターをお願いしました。
その学生さんに友人を紹介してもらい、
一時期は、3人くらいのシッターさんに交代で子どものお迎えをお願いし、
吉田さんが帰宅するまで子どものお世話をお願いしていたそうです。
子どもたちは、歳の近いお姉さんが大好き。
楽しく遊んでもらいながら親の帰りを待っていてくれました。
「ベビーシッターや家事代行にそんなにお金はかけられない」
というご家庭もありそうですが…。
「お金を何に使うか、何を大事にするかは、そのご家庭の価値観だと思います。
我が家はマイホームもマイカーもないですし、高価なアクセサリーや時計も持っていません。
実際、シッターさんとヘルパーさんを頼むと月々約5万円の出費でしたが、
ヘルパーさんたちは2時間単位からお願いすることができますし、
クオリティの高い仕事をしてくれます。
健康のために野菜をたっぷりとることなどにはこだわっていましたけれど、
料理や洗濯をアウトソーシングしても、月に何十万なんていうお金はかかりません。
私たちにとって大事なのは“時間と健康”。
自分の心の安定と、毎日家族が健康的なものを食べているという安心感。
自分の仕事や、自己研さんのための勉強会に行く時間も必要ですが、
だからといって忙しいあまり毎日コンビニ弁当になってしまうのも嫌だったんです。
家族が美味しくて身体によいものを食べているという“目的”が大事で、
“誰が作ったか”という手段は大事ではありませんでした。
“家事がお母さんの愛情表現”なのではなくて、
お母さんが手を動かさずとも、
家族のことを考えて、ホームマネジメントをしているだけで重要な存在なのだと思うんです」。
吉田さんは、親としての役割を、子どもに何かしてあげる「Doing」から、
そこに在るという「Being」に変えることにしたそうです。
親はあれこれ子どもの世話を焼かなくても、ただ一緒に“居る”だけでいい。
そう聞いて、胸が軽くなるのを感じました。
私が一人で勝手にあれもこれも抱え込んで苦しくなっていただけではないのか、
そう思いました。
このお話は、また次回に続きます。